今晩は平原綾香さんと渡辺俊幸指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のコンサートへ。昨年4月11日から延期された待望の公演。平原さんの声と表現力の多彩さを生オーケストラとの共演でしっかり味わってきました。
今晩は,コロナの影響で昨年4月11日から延期されていた,歌手の平原綾香さんと渡辺俊幸指揮オーケストラ・アンサンブル金沢によるファンタスティック・オーケストラコンサートを聞いてきました。半年以上待たされたことになりますが,自粛気味の生活が続いていることもあり,この間振り返ってみても「一体何をしていたのだろう?何もしていなかったなぁ」という気分ですね。
3月にこの公演のチケットを買ったときは「4月になれば,OEKの公演も再開するだろう」と(今から思えば呑気に)思っていたのですが,第2波,第3波と続き,影響が1年以上になることは必至という状況。それでも,「コロナの要所」に注意しつつ,クラシック音楽系のコンサートについては,対策を取れば再開できる状況になってきていることには感謝したいと思います。
今回のプログラムは,平原さんの代名詞でもある「クラシック音楽のカバー曲」を中心に8曲。オーケストラのみで2曲演奏が演奏されました。平原さんの歌を生で聞くのは今回が初めてだったのですが,表現力豊かな歌唱の連続で,聴きごたえたっぷりでした。平原さんの声は,音域が非常に広く,音域ごとに表情が変わるようなところが魅力だと思いました。ドスの効いた低音,輝きと力強さのある中音域,可愛らしさを感じさせる高音。さらには,聴き手の耳に絡みついてくるような少し粘り気のあるような声。こういった声を使い分けて,安定感たっぷりの歌を聞かせてくれました。
平原さんについては,「音楽大学卒業の歌手」ということで,声楽科卒だとずっと思っていたのですが,実はサックスが専攻,その後ジャズの勉強をしていたということで,「クラシック音楽の専門家ではない」とのことでした。言われてみれば,歌唱法はジャズっぽい感じですね。音楽大学時代,朝早い1限目の授業でたまたま聞いたホルストの「木星」がきっかけとなって,クラシック音楽のカバー曲でデビューして,大当たりしたという話を聞いて,世の中のめぐりあわせというのは面白いものだと思いました。
最後に,この「Jupiter」が歌われましたが,それ以外にも一つとして同じスタイルの曲はなく,変化に富んだ歌唱の連続でした。渡辺俊幸さんをはじめとした各曲のオーケストレーションも変化に富んでおり,平原さんが途中何回も語っていた「生オーケストラと共演できる喜び」を実感することができました。個人的に特に印象に残ったのは,前半の最後歌われた「明日」という曲でした。「今はおかしな世界になっているが,心の豊かさだけは失いたくはない」といった思いが込められた,「しみる歌」でした。
考えてみれば,クラシック音楽以外のコンサートに行くのは本当に久しぶりのことでした。クラシック音楽系以外については,クラシック音楽以上に大変な状況なのかもしれませんが,平原さんの力強い歌を聴きながら,「希望」を感じることができました。
« #三浦文彰 さんの指揮とヴァイオリンによるOEK定期公演。K200台のモーツアルトの作品3曲を楽しんできました。特に仲間との楽しいセッションのようなセレナータ・ノットゥルナが精気あふれる楽しい演奏でした。ヴァイオリン協奏曲3番では大らかで晴れやかな気分を堪能 | トップページ | 本日の金沢は,4月ぐらいの好天。午後から金沢市安江金箔工芸館で行われた,ピアニストの大澤美穂さんによる「きらめきコンサート:ピアノの詩人たちに魅せられて:シューマン,リスト,ショパン」へ。シューマンの「森の情景」など初期ロマン派のピアノ曲を間近で味わうことができ大満足でした。 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント