OEKのCD

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2021/02/27

川瀬賢太郎さん指揮OEK定期公演は,酒井健治さんの新曲「ジュピターの幻影」で始まる「モーツアルト不在のモーツァルト」プログラム。サン=サーンスが15歳で作った交響曲で締めるなど,マイナーでひねりの効いたプログラムを考え,それを気持ちよく聞かせてくれた川瀬さんらしさ満載のプログラムでした

本日の午後は,川瀬賢太郎さん指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演フィルハーモニー・シリーズを石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。プログラムは,OEKの2019~2020年のコンポーザー・オブ・ザ・イヤー,酒井健治さんの新曲「Jupiter Hallucination(ジュピターの幻影)」が演奏された後,チャイコフスキーの組曲第4番「モーツァルティナーナ」,サン=サーンスの交響曲イ長調と続く,新曲と無名の曲が続く,チャレンジングな内容でした。

そのテーマは,プログラムで飯尾洋一さんが書かれているとおり「モーツァルト不在のモーツァルト・プロ」。モーツァルト自身の曲は演奏されないけれども,モーツァルトの作品を引用・編曲した曲が並ぶという趣向でした。というわけで,「モーツァルトらしさ」であるとか「モーツァルトの曲(特に「ジュピター」交響曲)についての知識がある方が楽しめる,一種「知的なプログラム」とも言えたのですが,どの曲についても,川瀬さん指揮OEKの演奏には,瑞々しさとエネルギーが溢れており,予備知識なしでも楽しめたのではないかと思います。

最初に演奏された酒井さんの曲は,タイトルどおり,「ジュピター」交響曲のフレーズが断片的に出てくる曲でした。雰囲気としては,ある映像の中に,突然,ザザザと砂嵐的なノイズが入り込み,一瞬別の映像が見えてくるけれども,すぐにまた元に戻るといった感じがあったのが面白いと思いました。現実と非現実が交錯する感じには,複線的で不安げなところもあり,コロナ禍の気分を表現しているようにも感じました。ただし,最後の部分は,酒井さんのプログラムノートに書かれていたとおり,「アーメン終止」となっており,コロナ禍収束に向けての祈りの気分がありました。

OEKの編成は「ぴったり定員どおり」(酒井さんは「注文に合わせて作曲するのが仕事」と言われていましたが,そのとおりだと思いました)で,打楽器も2名だったのですが,ものすごく沢山の種類の打楽器を使っており,演奏全体に色々な表情を加えていました。オーケストラ全員で厚く演奏するというよりは,色々な楽器が次々出てきて,明快に絡み合うすっきりした感じが,モーツァルトのすっきり感と通じるような気もしました。

今回は「モーツァルト不在」での演奏でしたが,一度,「ジュピター」とセットにしたプログラムにも期待したいと思いました。

次の「モーツァルティアーナ」も,モーツァルトの曲をチャイコフスキーが編曲した組曲なのですが,飯尾さんの解説を読んで,モーツァルトがバッハの影響を受けて作った曲であったり,グルックの作った曲の変奏曲であったり,リストがアレンジした曲であったり...結構,ひねりの効いた「二重のオマージュ作品」だと分かりました。

酒井さんの作品との取り合わせもぴったりという感じでした。アヴェ・ヴェルム・コルプスをアレンジした第3曲の暖かな響きも良かったのですが,グルックの主題による変奏曲をさらに編曲した第4曲の多彩な色合いも面白いと思いました。最後の方,アビゲイル・ヤングさんによるかなり長大なヴァイオリン独奏が入るのですが,さすがといった感じの語り口の巧さでした。曲の最後のところで,目が覚めるような鮮やかなソロを聞かせてくれた遠藤さんのクラリネットも印象的でした。

そして演奏会の最後は,サン=サーンスが15歳の時に作曲したという交響曲イ長調。サン=サーンスの交響曲は3曲だと思っていたのですが,それ以外に番号なしの曲が2曲あるとのことです。その一番最初の作品が本日演奏されたイ長調。

この日の「コンセプト」どおり,いきなりモーツァルト「ジュピター」の「ドーレーファーミー音型」が第1楽章の序奏部から登場(低弦の透明感のある響きが美しかったです),主部に入ってからもまず,「ドーレーファーミー」が出てくるなど,「元祖・ジュピターの幻影」というタイトルを付けたくなるような雰囲気がありました。

その他の楽章についても,確かに先人の影響を沢山受けて「公式どおり」作曲したような作品だったのですが(シューベルトやメンデルスゾーンの曲を聞いたような雰囲気),その完成度は非常に高く,魅力的なメロディが次々と湧き上がってくる親しみやすさに溢れていました。特に第2楽章は,ベートーヴェンの曲を思わせる,秘めた強さを感じさせるような美しさがあると思いました。

最終楽章の最後の部分など,ティンパニの一撃でノックアウトを決める,ような気持ち良さがあり,演奏会の最後を締めるのに相応しい爽快感がありました。

というわけで,こういう,マイナーでひねりの効いたプログラムを考え,それを気持ちよく聞かせてくれた川瀬さんは,さすがだなぁと思いました。今年はサン=サーンス没後100年(何というか意外に新しい人だということが新鮮な驚きです)ということなので,色々な曲を発掘して,聞いてみた

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