1年前,コロナ禍で中止となったOEKと石川県学生オーケストラによる合同公演「カレッジコンサート」のリベンジ公演。OEKが首席になる形の合同演奏で,壮麗かつ丁寧なショスタコーヴィチを聞かせてくれました。久しぶりに大編成オーケストラの響きを浴びてきました #oekjp
本日午後は,1年前コロナ禍で中止になったOEKと石川県学生オーケストラによる合同公演「カレッジコンサート」を石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。指揮はOEKを指揮するのは初めてとなる横山奏さんでした。
この時期恒例のカレッジコンサートですが,昨年の丁度今頃から,全国的にほとんどすべての演奏会が中止になってしまいました。そのあおりを受け,直前まで開催予定だったこの公演も中止になりました。出演するはずだった学生オーケストラのメンバーは大変悔しい思いをされたことでしょう。その後も各大学のオーケストラは,お客さんを入れての演奏会はほとんど行っていないようなので,本日の公演は,色々な意味で感慨深いものになったのではないかと思います。本当に実施できてよかったと思います。
演奏曲目は,昨年合同演奏する予定だった曲がそのまま今年にスライドし,ヴェルディの歌劇「ナブッコ」序曲とショスタコーヴィチの交響曲第5番が演奏されました。休憩時間なしの丁度1時間ぐらいの公演でしたが,私自身,久しぶりに大編成のオーケストラ・サウンドに浸ることができ,大変爽快でした。
例年のカレッジコンサートと違う点は,2曲ともOEKの奏者が首席奏者を務めていた点です。例年,メインの曲は学生側が首席を務めるのですが,さすがにショスタコーヴィチを限られた練習時間で仕上げるのは難しかったのかもしれません(練習についても,例年とは違った感じになったのではないかと思います)。
ナブッコの方は,有名な「行け,我が想いよ,金色の翼に乗って」のメロディが途中に出てきて,最後はヴェルディならではの躍動感の中で終わる曲です。冒頭のトロンボーンとチューバの和音から音のバランスが良く,「春ももう間近」という気分にさせてくれるような心地よい演奏でした。
ショスタコーヴィチの方も,OEKメンバーがトップ奏者ということで,アビゲイル・ヤングさんのヴァイオリン,松木さんのフルートなど,要所要所でたっぷりとプロの技と味を聞かせてくれました。全体的に荒々しく熱狂的に盛り上がるという感じはなく,最終楽章のコーダの部分なども,じっくりとしたテンポで壮麗かつ丁寧な演奏を聞かせてくれました。OEKは過去,この曲を演奏したことはありませんが,「OEKがショスタコを演奏するならこんな感じかも」と思わせる演奏だった気がしました。各楽章とも弦楽器の音が非常に美しく,どこか妖艶な気分が漂っている感じでした。第4楽章終盤,弦楽器が同じ音を演奏し続ける部分も大変鮮烈でした。
指揮の横山さんは,合同オーケストラを気持ちよく鳴らし,非常に完成度の高い音楽を聞かせてくれました。今後のOEKとの共演に期待をしたいと思います。
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