OEKのCD

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2021年4月

2021/04/29

いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2021 オープニングコンサート。今年のテーマ「南欧の風」にちなみ,日本からシルクロード,ペルシャ経由での南欧までの音楽の旅を楽しんできました。特に笛田博昭さんの「オー・ソレ・ミオ」(本日の金沢は朝からずっと雨ですが)にはしびれました。フラメンコに便乗してガルちゃんも登場していました。

いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2021のオープニングコンサートが石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。毎年,4月29日にこのコンサートが行われ,音楽祭が本格的にスタートというのがこの10年ほどの金沢の春の大型連休の恒例でしたが,昨年度はコロナ禍の影響で中止。2年ぶりに行われたことになります。

今年についてもコロナ禍は全く納まっておらず,金沢でも感染者数的には昨年を上回るような状況ではあるのですが,「コロナ感染の要所」が分かってきていることも確かです。今年については,感染拡大防止策のガイドラインに従った上で,「お祭り騒ぎにならないようにお祭りを開幕する」ということになりました。

音楽祭の今年のテーマは「南欧の風:イタリア・スペイン・フランス」ということで,オープニングコンサートもそういう曲が並ぶのかな...と思っていたら,趣向が凝らされていました。日本からシルクロード,ペルシア経由で南欧に行くという「旅」がイメージされていました。司会の木村綾子さん,原田勇雄さんはお二人とも歌手ということで,とてもクリアで美しい声。とてもゴージャスなアテンダントのアナウンスを聞いている気分になりました。

スタート地点・日本の曲として,池辺晋一郎編曲による「春の海」(石川県箏曲連盟の箏合奏とOEKの共演),続いてシルクロードをイメージさせる曲としてNHK「シルクロード」のテーマ(李彩霞さんの二胡とOEKの共演),そして,ペルシャの曲として,ケテルビーの「ペルシャの市場にて」が演奏されました。考えてみると,ものすごく「ベタな曲」ばかりでしたが,この分かりやすさが,懐かしいと同時に(小学校時代の音楽鑑賞や1980年代のNHKの番組の雰囲気)新鮮でした。誰もが同じイメージを持てる曲をみんなで楽しむというのは,「コロナ禍1年」の中,とても貴重なことではと改めて思いました。

この中では二胡の音がすごいなぁと思いました。どこから音が出ているのだろうという不思議な気分になります。弦楽器なので当然ではあるのですが,息が長く歌われたメロディを聞きながら,「南欧に行かなくても,シルクロードでゆっくりしていっても良いかも」と一瞬思いました。

イタリアの曲としては,何と言ってもナポリ民謡の代表曲「オー・ソレ・ミオ」での笛田博昭さんの,力と熱量が自然に備わったような声が素晴らしかったですね。何というかイタリア直送の食材をそのまんま丸ごと食べているような(何の料理か?と尋ねられると困るのですが),ゴージャスさを感じました。ちなみにオーケストラの演奏は,冒頭のティンパニ+弦楽器の響きから例の「3大テノール」版の「オー・ソレ・ミオ」の雰囲気そのままでした。この日の指揮者は,田中祐子さんでしたが,熱さを感じさせつつ,笛田さんの歌にぴたりと付けていました。

その後,司会の3人の共演で「サンタ・ルチア」が大らかに歌われました。テノールとバリトンがハモると,「どこかヴェルディ」といった感じになるなぁと思いながら聞いていました。

続いてスペインに移り,北陸フラメンコ協会のフラメンコのステージとなりました。音楽は「エスパニア・カーニー」。聞けばすぐ,闘牛の気分になるあの曲です。赤いドレスを着た8名のダンサーが,オーケストラの前とオルガンのステージに並び,大いに会場の気分を上げてくれました。このダンスを見ながら,そういえば,北陸フラメンコ協会の皆さんが,自粛期間中,この曲を踊る映像(お寺の本堂とかで踊っていましたね)をYouTubeで見たなぁということを思い出しました。時が経つのは速いものです。

「カルメン」前奏曲では,ダンサーたちに交じって,音楽祭のキャラクターガルガンチュアも登場。フラメンコの衣装は来ていませんでしたが,さらに音楽祭気分を盛り上げてくれました。

その後,おなじみルドヴィート・カンタさんが登場し,カザルスの「鳥の歌」を演奏しました。華やかな曲が続いた後にちょっと気分を落ち着けるような感じで,しみじみと深く沈潜するようなチェロの歌を聞かせてくれました。

「終点」はフランスで,ビゼーの「アルルの女」組曲第2番から,メヌエットとファランドールが演奏されました。メヌエットでは,松木さんの聞き応えたっぷりのフルートを存分に楽しんだ後,だんだんとオーケストラに明るい音色が広がっていくのが素晴らしいと思いました。一つ残念だったのは...松木さんに拍手できなかったことです。ファランドールに入る前に,拍手をすれば良かったかなと後悔しています。

ファランドールでは,南フランスの気分を感じさせる,カラッとした音のする「あの太鼓」(渡邉さん担当)のリズムを中心にストレートに盛り上がり,爽快に締めてくれました。

アンコールは何かと思ったら,アルフレッド・リードが石川県のために書いた行進曲「ゴールデン・イーグル」。途中,「石川県民の歌」のメロディが出てくるのですが...この曲の知名度が高くないのが少々残念な点でしょうか。最後は石川県に戻って,コンサートは終了しました。

今年の音楽祭の雰囲気を分かりやすく集約したような曲ばかりで,「色々聞いてみたいなぁ」と思わせるのに十分のオープニングとなりました。今年の場合,上述のとおり,「お祭り気分にならないように祭りを楽しむ」といったところがあるのですが,せめて,心の中でも南欧気分に浸りたいと思います。

2021/04/23

アビゲイル・ヤングさんのリードによるOEK定期。藤田真央さんとの共演によるモーツァルトの20番は音の美しさが際立った室内楽的な演奏。藤田さんのカデンツァも魅力的でした。後半はモーツァルトのセレナード第4番。知られざる名曲を発見した喜びがありました。ヤング&OEKの恐るべき底力を実感させてくれる素晴らしい公演でした。#oekjp

今晩はアビゲイル・ヤングさんのリード,藤田真央さんのピアノによる,OEK定期公演フィルハーモニー・シリーズを聴いてきました。当初はOEKの首席客演指揮者,ユベール・スダーンさんが登場予定でしたが,コロナ禍のため来日できず,指揮者なし(ヤングさんのリード)となったものです。プログラムには変更はなく,モーツァルトのピアノ協奏曲第20番とセレナード第4番「コロレド卿」が演奏されました。

スダーンさんの指揮から,ヤングさんの弾き振りに切り替わった時点で,「ヤング&OEKは,「指揮者あり」の時とは一味違う演奏聞かせてくれるはず」という確信はあったのですが,その期待を遥かに上回る素晴らしい演奏を聞かせてくれました。過去,OEKはモーツァルトの作品を何回も演奏してきましたが,その歴史にしっかりと痕跡が残るような公演だったと思いました。

前半は藤田さんとの共演で,モーツァルトのピアノ協奏曲第20番が演奏されました。ヤングさんの弾き振りの時は,「全員起立」で演奏することがあるのですが,まさか協奏曲の時もこのスタイルだとは思いませんでした。特に弦楽器の場合,腕を大きく動かすので,立つか座るかでかなり音が違うのではないかと思います。ヤング&OEKは,力強い音からしなやかな音まで,音のニュアンスの変化が明確な演奏を聞かせてくれました。オーケストラだけによる序奏部から,彫りの深い,陰影の濃さを感じさせる素晴らしい演奏を聞かせてくれました。

藤田さんのピアノには,OEKの強力な音に挑むというよりは,一緒になって音楽を作っていこうという連帯感のようなものを感じました。最初の一音をはじめ,シンプルな音になるほど音の美しさが際立ち,OEKと競い合うというより,音で会話をしているような,室内楽的な緻密さを感じました。その一方,藤田さん自身による各楽章のカデンツァは非常に技巧的であったり,キラキラしたちょっとロマンティックな気分があったり,しっかり藤田さんが主役になっていました。このバランスが素晴らしいと思いました。

それにしても藤田さんのタッチのさりげなさ,柔らかさと音の純度の高さは素晴らしいと思いました。第2楽章の最初の部分などシンプルなピアノの音を聴くだけで,どこか別世界に連れていかれたような感覚を持ちました。藤田さんとOEKのモーツァルト。個人的にはピアノ協奏曲第23番などもぴったりなのではと思います。続編を期待しています。

後半に演奏されたセレナード第4番はK.203 ,モーツァルト18歳の時の作品で,これまで実演はおろか,CDでも聞いたことのない作品でしたが,まず,その曲の素晴らしさに感嘆しました。全8楽章からなる大曲で,2~4楽章はヴァイオリン協奏曲的な部分があります。編成はかなり大きく,交響曲的な編成。メヌエットが3つ入るなど,独特の構成の曲でした。といった作品ですが...どの楽章にもモーツアルトの才能があふれるように詰め込まれており,8つの楽章を全く退屈することなく楽しむことができました。モーツァルトの主要なオーケストラ作品はほとんど聞いていたつもりでしたが,こういう素晴らしい曲が「まだあった!」ことに感激をしています。

そしてこの演奏でも,「全員起立」のヤング&OEKの演奏が見事でした。前半と同じことが言えるのですが,この曲では特に音の迫力,切れ味の良さが素晴らしいと思いました。交響曲的な雰囲気にヤングさんのパリっと引き締まったヴァイオリンの独奏による協奏曲が合わさったような贅沢さ。さらには,メヌエット楽章のトリオでの加納さんのオーボエ,松木さんのフルートの瑞々しさ。弦楽パートの首席奏者たちによる室内楽的気分...色々なタイプの音楽が8つの楽章の中にぎっしり詰め込まれたような豪華さがありました。

OEKの皆さんは前半も後半も「立ちっぱなし」で大変だったと思いますが,体の動きがそのまま音の動きになったような自然さが素晴らしいと思いました。その音の動きはお客さんまで伝わっていた感じで,終演後は盛大な拍手。モーツァルトのセレナード第4番は,大半のお客さんは聞いたことはなかったはずですが,その知られざる名曲で熱く盛り上がれたことが嬉しかったですね。

今回の演奏を聴きながら,OEKを指揮する指揮者には大きなプレッシャーがかかるだろうなぁと感じました。それだけすべての面で充実した演奏でした。スダーンさんには,セレナード第4番を選曲してくれたことに感謝したいと思います。そして,いつかどういう解釈で聞かせてくれるのか,スダーンさんの指揮でも聞いてみたいと思いました。

2021/04/09

今晩は渡邉康雄さんのピアノ・指揮OEK+地元のピアニストたちによる ガル祭 2021 プレコンサートを聞いてきました。渡邉さんの貫禄のサン=サーンスは聴きごたえ十分でした。#oekjp

今晩は,いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭2021のプレコンサートとして行われた,渡邉康雄さんのピアノ・指揮+地元のピアニストたちによる,スペイン,フランスの作曲家による演奏会を聞いてきました。

前半,山岸奈央さんによるグラナドス/演奏会用アレグロ,松永みなみさんによるラヴェル/水の戯れ,北林多香子と本多春奈さんの連弾によるサン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」~バッカナールが演奏されました。この日は,「とてもよい席」で聴けたこともあり,ラテン系の音楽ならではの華やかさと,しっとりとした音の流れを楽しむことができました。特に,松永さんの演奏した,「水の戯れ」には,くっきりとした明るい音と異国情緒があふれている感じで,やっぱりラヴェルの音楽は良いなぁと思わせてくれました。

休憩の後は,以前からOEKと頻繁に共演し,CD録音も行っている渡邉康雄さんが登場し,渡邉さんの弾き振りでサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」が演奏されました。ロマン派以降のピアノ協奏曲の弾き振りは,比較的珍しいのですが,ベテラン・ピアニストらしい貫禄に溢れた,どっしりとした音楽を聞かせてくれました。第3楽章の最後,ピアノが音階を上がっていく部分などでは,千両役者がどうだと見得を切るような充実感がありました。サン=サーンスといえば,どちらかというと軽い印象のある作曲家なのですが,ピアノの音が突出しすぎることなく,地に足の着いたような音楽を聞かせてくれました。OEKの方も,弦楽パートの豊かな音の上に木管楽器群が随所で彩りを加えており,南欧よりもさらに南の「地中海~アフリカ」に掛けてのエキゾティックな気分を思わせるような演奏を聞かせてくれました。

アンコールでは,南欧から離れて,ストラヴィンスキーのペトルーシュカの中の「ロシアの踊り」をがっちりと聞かせてくれました。ちょっと不器用な感じのリズムがとても魅力的な演奏でした。この日の公演は,プログラム的にも演奏的にも,楽都音楽祭の気分を盛り上げるための「プレコンサート」にふさわしい内容でした。ここ数日,石川県でもコロナ感染者が徐々に拡大しているのが少々気がかりですが,無事に開催できることを祈っています。

 

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