OEKのCD

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2021年11月

2021/11/24

#前橋汀子 さんと #秋山和慶 さん―長年日本のクラシック音楽界を支えてきた2人による #oekjp 定期公演。全盛期同様の気迫でベートーヴェンを弾き切った前橋さんのヴァイオリン。古典派交響曲の形の美しさを自然に伝えてくれた秋山さん。色々な点で忘れられない演奏会になりました。

本日は,秋山和慶指揮OEKとヴァイオリニストの前橋汀子さんが共演する定期公演を聴いてきました。

当初,プログラムはハイドンの交響曲第101番「時計」が後半でしたが,前橋さんが演奏するベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が後半に来る形に変更になっていました。この日は,前橋さんとの共演の方をライブ録音することになっていましたので,その都合もあったのかもしれません。

前橋さんがOEKの定期公演に出演するのは今回が初めてのことです。私自身についても,前橋さんの演奏を聴くのは...恐ろしいことに...30数年ぶりです(多分)。1980年代後半,前橋さんが石川県立美術館のホールで,バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを数回に分けて全曲演奏するという素晴らしい企画があったのですが,それ以来だと思います。いずれにしても,前橋さんが協奏曲を演奏するのを聞くのは今回が初めてでした。

前橋さんは鮮やかな赤のドレスで登場。スター奏者の貫禄十分でした。久しぶりに聞く前橋さんの演奏については,技術面では30数年前と同じというわけには行きませんでしたが,ベートーヴェンに挑む気概はしっかり伝わってきました。私自身,それなりに人生経験を積んできていることもあり,最近,高齢者の生き方に関心があります。体力の衰えに応じて枯れていく生き方もあれば,全盛期と同様の高みを目指し続けるという生き方もあると思います。どういう生き方をしようが,結局は自由なのではと思っています。本日の前橋さんの演奏はパーフェクトではありませんでしたが,自身のやりたいことはやりきっていたと感じました。全盛期と同様の気迫で,キリっとした鋭い音をベースに長大な作品を弾き切った点に敬意を表したいと思います。前橋さんの演奏を,どっしりと受け止めていた,秋山さん指揮OEKのバックアップも素晴らしかったと思います。

前半に演奏された,ベートーヴェンのエグモント序曲とハイドンの「時計」は,非常に安定感のある,バランスの良い演奏でした。特に「時計」が素晴らしかったですねぇ。古典派交響曲の持つ「姿の美しさ」や「品格の高さ」を自然に感じさせつつ,オーケストラの音がしっかりと鳴りきった迫力や輝きのある華やかさを味わうことができました。秋山さん指揮OEKのハイドンについては,9月に「軍隊」の素晴らしい演奏を聴いたばかりでしたが,今回も期待どおりのハイドンの世界を楽しませてくれました。

 

2021/11/20

本日は #ルドヴィート・カンタ チェロリサイタル@石川県立音楽堂へ。前回同様,ピアニストの #沼沢淑音 さんとの共演。ショスタコーヴィチ,パーレニーチェク,フランクの聴きごたえのある作品を充実した演奏で聴かせてくれました。最後は恒例大アンコール大会。加賀友禅特使就任記念で,カンタさんは特製陣羽織着用。決まってました。

本日はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の名誉楽団員でもある,ルドヴィート・カンタさんのチェロリサイタルを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。共演は前回同様,ピアニストの沼沢淑音(よしと)さんでした。

カンタさんと沼沢さんは,数年前から意気投合し,前回のリサイタルの時は,プロコフィエフとラフマニノフのチェロ・ソナタというロシア~ソ連の作曲家の作品を取り上げました。今回も最初に演奏された作品もショスタコーヴィチのチェロ・ソナタということで,「ロシア・シリーズ」完結といった趣きがありました。

ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタを実演で聴くのは2回目だと思うのですが,個性的で魅力的な作品だなぁと改めて思いました。憂いとロマンに満ち,2人がじっくりと対話するような雰囲気の第1楽章。ショスタコーヴィチならではの狂気を平然と表現した第2楽章スケルツォ。カンタさんの味わい深いチェロの音が染み渡った3楽章。そして,不思議なユーモアを飄々と表現したような第4楽章。沼沢さんのピアノが冴え渡っていました。

2曲目に演奏された,チェコのピアニスト・作曲家パーレニーチェクの「コラール変奏曲」は,カンタさんこだわりの1曲です。この曲も以前にカンタさんの演奏で聴いた記憶がありますが,最初から最後まで充実した響きとアイデアに溢れた作品であり,演奏でした。変奏曲形式で,色々なタイプの音楽が次々と登場し,全く退屈しませんでした。カンタさんの気力が乗り移ったような演奏を存分に楽しめました。

後半は,フランクのソナタが演奏されました。オリジナルはヴァイオリン・ソナタですが,チェロでもよく演奏される,名曲中の名曲です。ヴァイオリンで聴く時よりは落ち着いた雰囲気にはなりますが,各楽章の魅力がさり気なくかつ十全に表現されており,「秋に聴くフランク」といったしっとりとした美しさが溢れていました。

この曲はピアノのパートも難しいと言われていますが,沼沢さんのピアノは万全。第1楽章最初の色気が漂う音から,第4楽章最後の速いパッセージまで,カンタさんのノーブルな演奏とがっぷり四つに組んだ演奏を聴かせてくれました。

盛大な拍手に応えて演奏されたアンコールは5曲。この「アンコール大会」もすっかりお馴染みとなりました。当然のように次から次へと演奏。今回は弱音器を付けて演奏する美しい作品が続々と登場。改めて,カンタさんの音の素晴らしさと実感できました。

そして,この日の公演で忘れてならないのは,カンタさんが「加賀友禅特使」というのに就任し,特製陣羽織を着用を着て演奏されたことです。第1曲の前に,この陣羽織をデザインした加賀友禅作家の古泉良範さんがステージに登場してあいさつをされました。石川県をイメージした洗練されたデザインで,クラシック音楽にもマッチしていました。これからこの衣装を着て演奏されることも増えるかもしれませんね。

休憩時間も含めると2時間15分を越える長い演奏会になりましたが,カンタさん,沼沢さん共に気力の充実した,堂々たる内容の演奏会を堪能しました。

2021/11/09

ミシェル・ブヴァール オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂 フランスのオルガン音楽の歴史を一気に体感できる充実の2時間(以上)でした。

今晩は,ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂首席オルガニストである,ミシェル・ブヴァールさんのオルガン・リサイタルが石川県立音楽堂で行われました。演奏されたのは,フランスのオルガン作品ばかり。時間を気にせずにずっと聞いていたのですが,終演時間(アンコール2曲を含め)を見てびっくり。21:15頃までフランスのオルガン音楽のエッセンスに浸ってきました。

前半は16世紀から18世紀の音楽で,素朴で明快な音楽をゆったりと楽しませてくれました。作曲者名さえ知らない曲が続きましたが,音色の変化がとても面白く,色彩感豊かな心地よい世界を堪能しました。

後半は,19世紀から20世紀前半の音楽。最初に演奏されたフランクのコラール第1番が素晴らしいと思いました。15分ぐらいある曲で,この日演奏された曲の中ではいちばん長かったと思いますが,その厚みのある暖かみが大変魅力的でした。ワーグナーのオペラを思わせるような,濃厚で少し甘美な世界は,石川県立音楽堂のパイプオルガンにぴったりだと思いました。

その後演奏された曲は,フランクの弟子のヴィエルヌ(日本の学校でもおなじみのウェストミンスターのチャイムのメロディによる作品),ヴィエルヌの弟子のJ.ブヴァールと系図をたどるような配列でした。ちなみに,J.ブヴァールという人はミシェル・ブヴァールさんのおじいさんです。フランクの演奏が素晴らしかったのも納得という感じでした。

プログラムの最後のコーナーは,「連祷(リタニー)」つながりの3作品でした。デュプレの「行列と連祷」の後は,このデュプレの曲をモチーフとしたJ.アランの「連祷」。最後は,J.アランを追悼してデュリュフレが作曲した「アランの名による前奏曲とフーガ」。「連祷の連続」という面白さがありました。

アランの作品は以前にも一度聞いたことがありますが,とても新鮮さのある音楽で,若くして亡くなった才能をデュリュフレが悼む気持ちが分かるような作品であり,演奏でした。

ブヴァールさんの演奏は,多彩な音色に加え,音量の変化もかなりくっきりと付けていました。各曲とも最後の音を堂々と長く伸ばし,どの曲も自信にあふれていました。フランスのオルガン音楽の王道の歴史を楽しんだ2時間でした。

2021/11/03

文化の日の午後,石川県立音楽堂で垣内悠希指揮のOEK+石川県民オーケストラの共演による,バレエ音楽「火の鳥」全曲を聴いてきました。素晴らしい曲の素晴らしい演奏。「みんなで演奏,大勢で演奏」というのは演奏する方・聴く方,どちらにとっても最高のしあわせですね。遠藤真理さんとの共演によるドヴォルザークのチェロ協奏曲での充実した音も見事でした。

文化の日の午後,ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭の一環で,OEKと石川県内のアマチュアオーケストラの有志からなる県民オーケストラとの合同公演が行われました。OEKと県内の大学オーケストラとの共演はすっかり恒例になっていますが,社会人を中心としたアマチュア・オーケストラとの共演は,石川県立音楽堂が開館した20年前以来のことになります。

その時は,OEKからの参加メンバーはもっと少なかったのですが,今回は半数以上のメンバーが参加していましたので,正真正銘の合同公演といえます。20年前は,岩城宏之さん指揮で,ホルストの「惑星」などが演奏されましたが,今回は垣内悠希さん指揮による(予定されていた原田慶太楼さんから変更になりました),ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」全曲(1910年版)と遠藤真理さんをソリストに迎えてのドヴォルザークのチェロ協奏曲が演奏されました。

今回まず驚いたのは,オーケストラの人数です。20年前の「惑星」の時も多かったのですが,本日も特に「火の鳥」の時はステージ上はぎっしり埋まり,さらにはバンダ(別動隊)もオルガンステージに出ていました。「火の鳥」については,これまで実演では,組曲版(1919年版,2菅編成)しか聞いたことはなかったのですが,なるほどと思いました。これだけ大人数(4管編成)だと,滅多に演奏できない曲だなあと思いました。特に目を引いたのはハープ3台。ハープ2台ならば,幻想交響曲などがありますが,3台入る曲を実演で聞くのは初めてかもしれません。

そしてこのバレエ音楽版「火の鳥」。素晴らしかったですねぇ。組曲版は「かっちりとまとまった管弦楽作品」として,聴きごたえがありますが,バレエ音楽版は,組曲版でおなじみの曲の間を次から次へと手を品を変え,多彩な響きでつなぐような豪華さがありました。王子が現れ,火の鳥が現れ,王女が現れ,魔王が現れ...という感じで,ストーリー展開もしっかりと感じられました。大団円に向かって,実に壮大な音楽を楽しむことができました。

そして,今回の合同オーケストラの演奏も見事でした。OEKメンバーが中心になって演奏するのかな,と予想していたのですが,管楽器の方はアマチュアオーケストラが中心でした。フルート,オーボエ,ファゴットなどのソロは,どの部分も安心して楽しむことができました。きっとOEKメンバーの適切な指導もあったのだと思います。特にオーボエの方の演奏は素晴らしかったと思いました。

音楽を大きく盛り上げていたのは,やはり,ずらっと並んだトランペットを中心とした金管楽器と,これまた大勢並んでいた打楽器群だったと思います。途中,魔王の一味が乱入してくる部分でのわさわさした不穏な響き,要所要所での,OEKの渡邉さんの大太鼓とティンパニとが一体となって炸裂していた腹に響く音。CDで聞いているとそこまで引き込まれないのですが,実演だと,オペラか何かを観ているようなワクワク感がありました(音楽の感じとしては,結構,ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」あたりに通じるような響きもあると思いました)。

指揮の垣内さんの作る音楽も,実に雄弁で,爽快でした。大団円でのビシッと決まった爽快さが忘れられません。

前半の遠藤真理さんをソリストに迎えてのドヴォルザークのチェロ協奏曲も大変充実した演奏でした。こちらも大編成オーケストラとの共演ということで,全体的にのびのびと歌うようなスケールの大きさを感じました。遠藤さんの音には,オーケストラの中からスッと浮き上がってくるような輝かしさがあり,堂々たる主役といった充実感がありました。密度の高く,思いがしっかりこもった歌が素晴らしいと思いました。

この日のコンサートマスターは,OEKの客員コンサートマスターの水谷晃さんでした。個人的に「聴きどころ」だと思っている,第3楽章終盤でのソロでは,遠藤さんのチェロと丁々発止の渡り合いを聞かせてくれました。

というわけで,休憩時間を入れて約2時間,大編成オーケストラの魅力にしっかりと浸ることができました。ステージいっぱいの出演者を観ながら,「みんなで演奏,大勢で演奏」というのは演奏する方,聴く方,どちらにとっても最高のしあわせかもと思いました。毎年,合同演奏を行うのは難しいとは思いますが,是非また次の機会に期待しています。

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