ミシェル・ブヴァール オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂 フランスのオルガン音楽の歴史を一気に体感できる充実の2時間(以上)でした。
今晩は,ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂首席オルガニストである,ミシェル・ブヴァールさんのオルガン・リサイタルが石川県立音楽堂で行われました。演奏されたのは,フランスのオルガン作品ばかり。時間を気にせずにずっと聞いていたのですが,終演時間(アンコール2曲を含め)を見てびっくり。21:15頃までフランスのオルガン音楽のエッセンスに浸ってきました。
前半は16世紀から18世紀の音楽で,素朴で明快な音楽をゆったりと楽しませてくれました。作曲者名さえ知らない曲が続きましたが,音色の変化がとても面白く,色彩感豊かな心地よい世界を堪能しました。
後半は,19世紀から20世紀前半の音楽。最初に演奏されたフランクのコラール第1番が素晴らしいと思いました。15分ぐらいある曲で,この日演奏された曲の中ではいちばん長かったと思いますが,その厚みのある暖かみが大変魅力的でした。ワーグナーのオペラを思わせるような,濃厚で少し甘美な世界は,石川県立音楽堂のパイプオルガンにぴったりだと思いました。
その後演奏された曲は,フランクの弟子のヴィエルヌ(日本の学校でもおなじみのウェストミンスターのチャイムのメロディによる作品),ヴィエルヌの弟子のJ.ブヴァールと系図をたどるような配列でした。ちなみに,J.ブヴァールという人はミシェル・ブヴァールさんのおじいさんです。フランクの演奏が素晴らしかったのも納得という感じでした。
プログラムの最後のコーナーは,「連祷(リタニー)」つながりの3作品でした。デュプレの「行列と連祷」の後は,このデュプレの曲をモチーフとしたJ.アランの「連祷」。最後は,J.アランを追悼してデュリュフレが作曲した「アランの名による前奏曲とフーガ」。「連祷の連続」という面白さがありました。
アランの作品は以前にも一度聞いたことがありますが,とても新鮮さのある音楽で,若くして亡くなった才能をデュリュフレが悼む気持ちが分かるような作品であり,演奏でした。
ブヴァールさんの演奏は,多彩な音色に加え,音量の変化もかなりくっきりと付けていました。各曲とも最後の音を堂々と長く伸ばし,どの曲も自信にあふれていました。フランスのオルガン音楽の王道の歴史を楽しんだ2時間でした。
« 文化の日の午後,石川県立音楽堂で垣内悠希指揮のOEK+石川県民オーケストラの共演による,バレエ音楽「火の鳥」全曲を聴いてきました。素晴らしい曲の素晴らしい演奏。「みんなで演奏,大勢で演奏」というのは演奏する方・聴く方,どちらにとっても最高のしあわせですね。遠藤真理さんとの共演によるドヴォルザークのチェロ協奏曲での充実した音も見事でした。 | トップページ | 本日は #ルドヴィート・カンタ チェロリサイタル@石川県立音楽堂へ。前回同様,ピアニストの #沼沢淑音 さんとの共演。ショスタコーヴィチ,パーレニーチェク,フランクの聴きごたえのある作品を充実した演奏で聴かせてくれました。最後は恒例大アンコール大会。加賀友禅特使就任記念で,カンタさんは特製陣羽織着用。決まってました。 »
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