#前橋汀子 さんと #秋山和慶 さん―長年日本のクラシック音楽界を支えてきた2人による #oekjp 定期公演。全盛期同様の気迫でベートーヴェンを弾き切った前橋さんのヴァイオリン。古典派交響曲の形の美しさを自然に伝えてくれた秋山さん。色々な点で忘れられない演奏会になりました。
本日は,秋山和慶指揮OEKとヴァイオリニストの前橋汀子さんが共演する定期公演を聴いてきました。
当初,プログラムはハイドンの交響曲第101番「時計」が後半でしたが,前橋さんが演奏するベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が後半に来る形に変更になっていました。この日は,前橋さんとの共演の方をライブ録音することになっていましたので,その都合もあったのかもしれません。
前橋さんがOEKの定期公演に出演するのは今回が初めてのことです。私自身についても,前橋さんの演奏を聴くのは...恐ろしいことに...30数年ぶりです(多分)。1980年代後半,前橋さんが石川県立美術館のホールで,バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを数回に分けて全曲演奏するという素晴らしい企画があったのですが,それ以来だと思います。いずれにしても,前橋さんが協奏曲を演奏するのを聞くのは今回が初めてでした。
前橋さんは鮮やかな赤のドレスで登場。スター奏者の貫禄十分でした。久しぶりに聞く前橋さんの演奏については,技術面では30数年前と同じというわけには行きませんでしたが,ベートーヴェンに挑む気概はしっかり伝わってきました。私自身,それなりに人生経験を積んできていることもあり,最近,高齢者の生き方に関心があります。体力の衰えに応じて枯れていく生き方もあれば,全盛期と同様の高みを目指し続けるという生き方もあると思います。どういう生き方をしようが,結局は自由なのではと思っています。本日の前橋さんの演奏はパーフェクトではありませんでしたが,自身のやりたいことはやりきっていたと感じました。全盛期と同様の気迫で,キリっとした鋭い音をベースに長大な作品を弾き切った点に敬意を表したいと思います。前橋さんの演奏を,どっしりと受け止めていた,秋山さん指揮OEKのバックアップも素晴らしかったと思います。
前半に演奏された,ベートーヴェンのエグモント序曲とハイドンの「時計」は,非常に安定感のある,バランスの良い演奏でした。特に「時計」が素晴らしかったですねぇ。古典派交響曲の持つ「姿の美しさ」や「品格の高さ」を自然に感じさせつつ,オーケストラの音がしっかりと鳴りきった迫力や輝きのある華やかさを味わうことができました。秋山さん指揮OEKのハイドンについては,9月に「軍隊」の素晴らしい演奏を聴いたばかりでしたが,今回も期待どおりのハイドンの世界を楽しませてくれました。
« 本日は #ルドヴィート・カンタ チェロリサイタル@石川県立音楽堂へ。前回同様,ピアニストの #沼沢淑音 さんとの共演。ショスタコーヴィチ,パーレニーチェク,フランクの聴きごたえのある作品を充実した演奏で聴かせてくれました。最後は恒例大アンコール大会。加賀友禅特使就任記念で,カンタさんは特製陣羽織着用。決まってました。 | トップページ | #宮谷理香 デビュー25周年記念ピアノリサイタル 未来への前奏曲@北國新聞赤羽ホール。前半は,じっくりと演奏された前奏曲尽くし。後半は弦楽六重奏との共演による正統派のショパンの2番の協奏曲。小林仁さんとの対談を交えた充実の演奏会でした。 »
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