OEKのCD

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2022/01/08

#oekjp ニューイヤー・コンサート2022は沼尻竜典さん指揮によるシューマン「ライン」と自作「竹取物語」の抜粋を中心としたプログラム。どの曲も安心して楽しめると同時に沼尻さんの多才さを実感。砂川涼子さんの正統的な美しさのあるソプラノも見事。そして新年名物,OEKどら焼き!

本日は,私とっての2022年初めてのコンサート,OEKのニューイヤー・コンサートを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。今年の指揮は沼尻竜典さんで,前半はソプラノの砂川涼子さんの歌を交えた,沼尻さん自身の作曲によるオペラ「竹取物語」セレクションを中心としたプログラム。後半は,シューマンの交響曲第3番「ライン」が演奏されました。

沼尻さんの熟練の指揮による大らかな響き,とても耳馴染みの良いオペラ,正統的な美しさをもった砂川さんの声,色々な楽しみどころのある公演となりました。

前半はこの「竹取物語」をベースにプログラムが組まれていました。キーワードは「月」。そのつながりで,ドヴォルザークの歌劇「ルサルカ」の「月に寄せる歌」が歌われました。さらにその前にモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」第4幕,暗闇の中で歌われるスザンナのアリア「とうとう嬉しい時がきた~恋人よ,早くこへ」も歌われましたが,夜の静けさの中で歌われる感じが共通しており(多分,月も出てたのかもと勝手に想像),とても取り合わせの良い選曲でした。

砂川さんの歌を石川県立音楽堂コンサートホールで聴くのは初めてだと思いますが(確か,富山市で一度聴いたことはあります),まず,そのクリアでバランスの良い声が素晴らしいと思いました。衣装は,月明かりの下で輝いているような白いドレス。この雰囲気と相俟って,ステージは優雅でロマンティックな空気に変わっていました。スザンナのアリアは,結婚したばかりの新妻の歌なのですが,そのしっとりとした感じにすっかり魅了されてしまいました。

「月に寄せる歌」の方は,序奏部のハープをはじめ,ドヴォルザークによる音楽が魅力的で,砂川さんの声と一体となって,感動的な雰囲気を作っていました。静かな月夜だけれども,心は熱いという歌でした。

この2曲の前に「フィガロの結婚」序曲も演奏されました。OEKは何回も演奏している曲ですが,沼尻さんの指揮は大らかでありながら,細かいニュアンスの変化が豊かで,「さすが沼尻さん」と思いました。曲の最初の方で音楽がバーンと爆発する部分の,お祭り騒ぎ的な指揮の動作が曲の雰囲気に合っているなぁと思いました。

前半最後では「竹取物語」からの5曲が演奏されました。演奏前の沼尻さんによる大変分かりやすい解説によると,「オペラには昭和歌謡のテイストを入れた」ということでしたが,今回の抜粋部分ではそういう雰囲気はあまりなく,どちらかというとプッチーニとミュージカルの間のような雰囲気を感じました。「姫の告白」では,銅鑼の音が入ったりしたので,「ちょっとトゥーランドットの気分かも」と思いました。

最後の「告別のアリア」と「帝へ捧げるアリア」は,多分,オペラを最初から全部観たら「涙が止まらないかも」と思わせる,熱い思いの溢れる曲でした。砂川涼子さんの歌は凜とした美しさに加え,最後の曲では大きく歌い上げており,大変立派な歌唱だなぁと思いました。

沼尻さんが「ドリフターズのテイストを入れた」と紹介していた「走るおじいさんの間奏曲」は,聴いた感じドリフ感はなく(もしかしたら視覚面がないと分かりにくいのかもしれません),スマートで粋な感じの曲だと思いました。

最初の「月の間奏曲」は,とても素直な感じのワルツ(沼尻さんは「シューベルトの即興曲風」と紹介していました)で,これもまたストレートに耳に入ってくる曲。改めて,沼尻さんの多才さを感じさせてくれる作品でした。

このオペラは今月,びわ湖ホールで上演されるそうですが,機会があれば金沢でも全曲を取り上げて欲しいものです。初演には池辺晋一郎さんも関わっていたとのことなので,大いに期待しています。

後半のシューマンの「ライン」は,トロンボーン3本,ホルン4本が入る曲ということで,OEKの定期公演で演奏される機会はあまり多くない作品ですが,室内オーケストラ編成だとあまり重苦しくならないので,この曲の持つ開放的な気分には合っていると思いました。
沼尻さんの指揮ぶりは,全曲を通じてあわてることはなく,第1楽章冒頭から大らかな流れを感じさせてくれました。第2楽章の「きわめて中庸に」というスケルツォ,第3楽章での弦楽器と木管楽器の対話では,OEKならではの親密な気分がありました。

第4楽章は満を持してトロンボーン3本が登場。ケルン大聖堂での式典のイメージを持った曲ですが,同じモチーフが色々な楽器で演奏されて飛び交う立体感が素晴らしかったですね。ただし崇高で近寄りがたいというよりは,言葉を掛け合うような暖かみがあったのは沼尻さんらしさなのかなと思いました。第5楽章はがっしりとした音楽。楽章最後は,もっと激しく盛り上げる演奏もありますが,本日の演奏は力強く堅固な雰囲気で締めてくれました。

沼尻さんとOEKは,OEKの設立当初からつながりがありますが,今回の熟練の指揮ぶりを聴いて,音楽の立派さをそのまま伝えてくれる素晴らしい指揮者になられたなぁと改めて思いました。今年の楽都音楽祭にも登場されるので,そこでのドイツ・オーストリア系の作品の演奏にも期待したいと思います。

さて,どら焼きです。恒例の茶菓工房たろうさん提供による,OEKどら焼きのプレゼントが今年もありました。すっかりニューイヤーを彩る名物になりましたね。夕食後に味わってみたいと思います。

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