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2022年2月

2022/02/19

本日はニコラ・プロカッチーニ オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂へ。今年生誕200年のフランクの作品3曲,アランの3つの舞曲などフランスのオルガン曲を中心に健康的だけれども,刺激的な音楽を楽しませてくれました。

本日はニコラ・プロカッチーニ オルガン・リサイタルを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。プロカッチーニさんは,イタリア出身の若手オルガン奏者で,現在,札幌コンサートホールの専属オルガニストとして活躍をされています。

プログラムは,今年生誕200年のフランクの作品3曲,アランの3つの舞曲,フランス古典期の作曲家グリニーの作品,ヴィエルヌの小品などフランスのオルガン曲を中心に,色々な時代のオルガン曲を楽しませてくれました。構成的には,昨年11月に聴いたミシェル・ブヴァールさんのリサイタルと似た部分もありましたが,バッハやメンデルスゾーンの曲が入っており,よりインターナショナルな選曲となっていました。

演奏された曲で特に印象に残ったのは,やはりフランクの3曲でした。プロカッチーニさんの演奏は,とても誠実で,健康的な雰囲気があるのがフランクの音楽にマッチしていると思いました。

「前奏曲,フーガと変奏曲」は,何となくとっつきにくそうなタイトルですが,ちょっとメランコリックな気分が流れる,「ロマン派のオルガンだ」という感じの作品で土曜日の午後に聴くのにぴったりという,落ち着いた魅力がありました。コラール第2番はフランク最晩年の作品で,より重量感がある作品で大変聴きごたえがありました。最後の部分,静かな音が長~く伸ばされて終わるあたりの不思議な気分もとても魅力的でした。パストラールでは,基調と作る穏やかな気分と中間部でのさざ波が起こるような感じの部分の対比が良いなと思いました。

その他の曲では,アランの「3つの舞曲」が大変面白い作品でした。ジャズ~ポップスなどを思わせるリズムが出てくるなど,足鍵盤が大活躍。ミステリアスな気分,オリジナリティあふれる音色,何が出てくるか分からないような曲想...プロカッチーニさんの生き生きとした刺激的な演奏にぴったりマッチしていました。アランというのは,往年の名オルガニスト,マリー=クレール・アランのお兄さんで,第2次大戦中に29歳で亡くなった作曲家です。過去,何回か石川県立音楽堂のオルガン・リサイタル・シリーズでもその曲が取り上げられてきました。どの曲も才気あふれる作品で,若く亡くなったのが本当に惜しいと改めて思いました。

演奏会の最後は,メンデルスゾーンのオラトリオ「聖パウロ」の序曲をオルガン用に編曲したもので締められました。バッハのマタイ受難曲を再演した,メンデルスゾーンらしくバッハへのオマージュのような敬虔な美しさがあり,曲の最後に向かって前向きに高揚していく感じが素晴らしいと思いました。本日の金沢は小雨が降っていましたが,音楽堂内には青空が広がっているような感じでした。

プロカッチーニさんは,札幌で活躍されている方ということで,今後もまた石川県立音楽堂のオルガンを演奏される可能性はありそうですね。今後の活躍に期待をしたいと思います。ちなみに,今年度次回のオルガン・リサイタルでは,是非フランクのコラールの3番を聞いてみたいものです。前回のブヴァールさんの時は1番を聞いたので,これでコンプリートになります。

2022/02/17

雪の中,井上道義指揮 #oekjp 定期公演へ。メンバーへのねぎらいの気分の溢れたハイドンの「告別」,こんなに面白い曲だったのかと魅力を再認識させてくれたショスタコーヴィチの15番。素晴らしい公演でした

本日の金沢は一日中,雪が降ったり止んだりという天候でしたが,幸い大雪という感じではなく,予定通り,井上道義指揮OEK定期公演フィルハーモニー・シリーズを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。

コロナ禍後,井上さんが代役でOEKに登場する機会が増えているのですが,この公演は当初から井上さんが登場予定で,お得意のショスタコーヴィチとハイドンの交響曲を組み合わせた,井上さんこだわりのプログラムを楽しむことができました。

前半演奏された,ハイドンの交響曲第45番「告別」は,演奏されるならば,演奏会の最後ということの多い作品ですが,今回は前半に演奏されました。そこには井上さんの意図があり,「お別れ」というよりは,団員とお客さんへの「感謝」の気持ちが込められていました。

ハイドンの「シュトルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)」時代の作品ということで,第1楽章から暗くキリッと締まった表情が印象的でしたが(そういえば,前回の鈴木秀美さん指揮の定期公演では,44番「悲しみ」が演奏されたことを思い出しました。続き番号というのも珍しいことかもしれません),終楽章の後半の「告別」のパフォーマンスの部分では,気分が一転しました。

この曲の時は第1楽章の最初から,譜面台のところに本物の火のついたロウソクがセットされていましたが,4楽章途中,ステージ上の照明が消え,ロウソクの火だけに。この雰囲気が実に暖かで,音楽の気分とマッチしていました。各奏者が自分の出番が終わると,立ち上がって退出するというおなじみの趣向でしたが,井上さんはその各奏者を丁寧にねぎらっていました。この団員に感謝をするパフォーマンスが狙いだったように感じました。

最後はコンサートマスターのアビゲイル・ヤングさんと第2ヴァイオリン首席奏者の江原千絵さんの2人だけで演奏。最後の音とロウソクが消えると井上さんだけに。拍手とともに,全メンバーが呼び戻され,ステージ最前列にずらっと並んで,お客さんの方に向かって挨拶。この全員が並ぶという光景がとても新鮮で,見ていて嬉しくなりました。この「お客さんへの感謝」というのも,もう一つの意図でした。

後半はショスタコーヴィチの交響曲第15番が演奏されました。恐らく,石川県で演奏されるのは今回が初めてではないかと思います。この日は演奏会の時間がやや短めでしたので,井上さんがこの曲について語る15分近くのプレトークがありました。まず,この内容が「最高」でした。曲の構成と聴きどころが生き生きと説明され,謎めいた引用だらけのこの曲への期待がさらに高まりました。

第1楽章最初,グロッケンの音がくっきりと鮮やかな音で聞こえてくると,一気にショスタコーヴィチの人生に入り込んでいく感じでした。その後,松木さんによるフルート,柳浦さんのファゴットと井上さんのプレトークどおり,生き生きとした会話が続くような音楽が続きました。編成自体は結構大きい曲ですが,全員で演奏するよりは,ソロが活躍する部分が多い曲で,OEKファンには特に楽しめたのではないかと思います。ちなみに,クラリネットには先日土岐公演でOEKとモーツアルトのクラリネット協奏曲を共演したばかりの吉田誠さんが参加。遠藤さんと一緒に,ものすごく存在感のある音を聴かせていました。

第2楽章は金管合奏で開始。第1楽章とは一転して,深い表情を持った葬送行進曲。ここでは,客演首席奏者の山本裕康さんのチェロの雄弁さも印象的でした。途中,トロンボーンの客演奏者の藤原功次郎さんによる気だるい雰囲気のあるソロ。さらに7人も奏者がいた打楽器を交えての壮大な盛り上がり。最後は井上さんが「天使のような」と語っていたチェレスタが出てくるなど,静かな空気感に包まれました。

いかにもショスタコーヴィチらしい悪魔的な感じの第3楽章スケルツォに続いて,ワーグナーの「神々の黄昏」のモチーフの引用で始まる第4楽章へ。金管合奏が活躍する点で,第2楽章の再現のような感じがありました。その後に続く,ヴァイオリン演奏するメロディは清冽な美しさ。この日は,ヤングさんに加え,水谷晃さん,松井直さんと「3人のコンサートマスター」が揃う豪華メンバーでしたが,その威力が発揮された美しさでした。

井上さんのプレトークで,ハイドンの「ロンドン」交響曲の冒頭のモチーフが出てくることも紹介されたのですが,「なるほど」という感じでした。「交響曲の父」へのオマージュの意味もあるのかなと思いました。

そして曲の最後の部分は打楽器チームの見せ場。時を刻むような精緻な音がクールに長く続きました。この曲を実演で聴くのは2回目なのですが,「こんなに面白い曲だったのか」とショスタコーヴィチの人生を締めくくる作品の魅力をしっかり伝えてくれました。

演奏後のお客さんの拍手も盛大でした。井上さんは,ソロを取った奏者を順に立たせていましたが,何か前半の「告別」の最終楽章での「ねぎらい」と重なるようでした。

というようなわけで,井上さんの得意のレパートリーで曲の魅力を鮮やかに伝えると同時に,OEKメンバーとの結びつきの強さを感じさせてくれた,素晴らしい公演でした。

2022/02/08

本日は広上淳一さん指揮による「和洋の響」公演@石川県立音楽堂。筝・能舞・篳篥と #oekjp の公演という,金沢ならではの内容。北方喜旺丈作曲による新曲,鈴木行一作曲の「森と星々の河(再演)」はどちらも聞きごたえ十分。石丸幹二さんの語りを交えた,グリーグのペール・ギュント組曲も深い余韻を残す演奏でした。

本日は,昨年に続いて行なわれた,邦楽器や能舞とOEKが共演する「和洋の響」公演を聞いてきました。演奏された曲は,公募で選ばれた,北方喜旺丈作曲「随喜乃涙(ずいきのなみだ)」,久しぶりの再演となる,鈴木行一作曲「森と星々の河」,そして,石丸幹二さんの語りをまじえての,グリーグのペール・ギュント第1・第2組曲。指揮は,9月からOEKのアーティスティック・リーダーに就任することになった広上淳一さんでした。

最初に演奏された,北方喜旺丈さんの「随喜乃涙」は,タイトルだけ見ると難解そうでしたが,曲の方はとても耳馴染みの良い曲でした。渡邊荀之助さんの能舞,元井美智子さんの筝を交えた演奏で,10分程度の短めの作品でしたが,能衣装の豪華さに合った華やかさと,筝の音にぴったりのミステリアスな気分があり,映画のテーマ音楽を聴くようなスケールの大きさを感じました。打楽器の多彩な音,弦楽器のトレモロやハーモニクスなど,サウンドも多彩で,次々と景色が変わっていくようでした。途中,非常に壮大に盛り上がっていましたが,曲の最後の方は,最初に回帰していくような静かな雰囲気。とてもよくまとまった作品だと思いました。

この日は,曲自体の演奏時間が短めだったこともあり,司会の池辺晋一郎さん,指揮の広上さんに加え,作曲者の北方さん,語りの石丸さんも交えたトークが各曲の前後に入りました。北方さんへのインタビューも面白かったのですが,次に演奏された鈴木行一さんの作品についての説明もとても面白いものでした。「激しい部分もあるが,水墨画のような作品」「複雑に見えて,シンプルな曲」「篳篥(ひちりき)の音とオーケストラの音が見事に融合」といった解説どおり,オリジナリティ溢れたサウンドをベースにした,聞きごたえたっぷりの作品でした。この曲については,岩城宏之さん指揮OEKによる,1992年の初演も聞いているはずですが,今回の再演を聞いて,OEKが初演して来た曲の中でも特に素晴らしい名曲なのでは,と再認識しました。

特に室内オーケストラの音とは思えないような,全楽器(打楽器も多数)が鳴り響いた時の壮絶な響きが素晴らしかったですね。中村仁美さんの篳篥の「もわ~っ」とした雰囲気の音とOEKとの絶妙のブレンドも印象的でした。曲の最後の方はマリンバの音の繰り返しが印象的で,曲のイメージがしっかりと後に残る感じでした。鈴木さんは2010年に亡くなれれているのですが(本日は,鈴木さん奥さんが来られており,演奏後ステージに登場されました),この曲はOEKのレパートリーとして,これからも繰り返し演奏していって欲しいと思いました。

プログラムの後半は,石丸幹二さんの語りを交えて,グリーグのペール・ギュントの第1組曲,第2組曲に入っている8曲がストーリーの展開順に配列を変えて演奏されました。広上さんの指揮は,いつもどおり,あわてるところは皆無。要所要所で非常に濃厚に音楽を楽しませてくれるような演奏でした。石丸さんは,「スコアを見ながらの朗読」で,音楽とぴたりと合ったナレーションでした。個人的には音楽とナレーションが重なるのはあまり好きではないのですが,石丸さんの語り口にはアクの強さはなく,とても率直な感じでしたので,音楽の流れにはしっかりと合っていました。

特に印象的だったのは,やはり,いちばん最後の「ソルヴェーグの歌」でした。この曲では,同じような音型が何回も繰り返されるのですが,終結部では,ぐっと燃え上がるように力強さを増した後,ふ~っとため息をもらすように終了。深い余韻が残りました。

広上さんとOEKは過去何回も共演をしていますが,新しいポストへの就任後もじっくりと音楽の深さを味わわせてくれるような演奏を期待したいと思います。広上さんは,どうみても「大河ドラマ」のファンなので,広上さん指揮による「ドラマのための音楽」を集めたプログラムがあれば楽しそうだなと思いました。

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