OEKのCD

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2022/03/17

川瀬賢太郎指揮 #oekjp 定期公演。深い感動を感じさせてくれた杉山洋一さんの新曲。20歳の亀井聖矢さんによる美しく完成されたショパン。そして清々しく思い切りの良いスコットランド。充実感溢れる公演でした

今晩は川瀬賢太郎さん指揮,亀井聖矢さんのピアノによる,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)定期公演フィルハーモニー・シリーズを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。前回3月5日の鈴木雅明さん指揮による定期公演は,ベートーヴェンの第九のみという短めの公演でしたが,本日の公演はアンコールが2曲演奏されたこともあり,対照的に終演時間は9:15を過ぎるかなり長い公演。演奏された各曲も充実感溢れる演奏ばかりでした。

今回のプログラムは,基本的には,川瀬さんが前回登場した2021年9月の定期公演同様,メンデルスゾーンとショパンの曲を並べた「同世代&初期ロマン派」プログラムでしたが,本日はその前に,OEKの「2021~2022年コンポーザー・オブ・ザ・イヤー」である杉山洋一さん作曲による「揺籃歌(自画像Ⅱ):オーケストラのための」が演奏されました。もちろん世界初演です。まず,この曲が大変充実した作品でした。

コロナ禍をモチーフにしており,Covid-19の「懸念される変異株」が発見された国(中国,英国,南アフリカ,ブラジル,インド)の「寝かせ歌」を盛り込んだ曲となっていました。全体として,ずっと晴れないような不安気な不協和音に包まれたような雰囲気なのですが,その複雑な和音の持続と遷移が,妙に耳に染みました。常に苦みを感じさせるような重みのある雰囲気を持った曲を聞いた後には,何とも言えない感動が残りました。現代音楽らしく(?)とっつきにくい部分も多いのですが,その中から,各国の「寝かせ歌」のメロディの断片が見え隠れすると,かすかな希望のようなものを感じました。管楽器を中心にソロが活躍する部分も多く,聴きどころの多い作品となっていました。

この作品は,「自画像II」ということで,コロナ第1波の時に書いた「自画像」に続く作品とのことです。「自画像III」があるとすれば,コロナ禍後を描いた作品ということになって欲しいものです。

続いて,20歳のピアニスト,亀井聖矢さんとの共演でショパンのピアノ協奏曲第1番が演奏されました。ショパンがこの曲を書いたのも20歳頃(ちなみに石川県立音楽堂も現在20歳)なのですが,今回の亀井さんの演奏を聞いて,とてもリアルなショパンだと思いました。亀井さんのピアノは,タッチが非常に美しく,荒っぽい感じが全くしませんでした。情感の動きを鮮やかに伝えるような繊細な表現,速いパッセージでの音の粒立ちの良さ,そして瑞々しさを感じさせる切れ味の良い技巧。

ショパン本人が現代に蘇って,現代のコンサートホールで演奏したらこんな感じかも,と勝手に想像を膨らませながら聴いてしまいました。特に第1楽章の第2主題や第2楽章などでの,静けさの中に色々な思いが溢れてくるような表現。OEKのバックアップともども,しみじみと聞き入ってしまいました。第3楽章の生き生きとしたリズム感と安定感も素晴らしいと思いました。思わず,ショパン・コンクールのファイナルでの「慣例」のように,ピアノのパートが終わった瞬間に拍手を入れたくなる衝動にかられてしまいました。

演奏前後,お客さんに挨拶する感じは,結構堅い感じで,「やはり20歳のピアニストだな」とちょっとホッとしたのですが,全曲を通じて,若々しさと同時に,きっちりと完成された充実の音楽を聴かせてくれたのが本当に見事だったと思いました。亀井さんの活動にはこれからも注目していきたいと思います。

プログラム後半で演奏されたのは,メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」でした。川瀬さん指揮OEKの演奏を聴くといつも,竹を割ったような清々しさを感じます。そのキャラクターにぴったりの曲であり演奏でした。第1楽章冒頭でのしっとりとした情感に続いて出てくる,生き生きとした動き。第2楽章でのキビキビとしたリズムの上に息の長~いがメロディが続いたり,自然体だけれども思い切りの良い表現が次々と出てきました。この楽章を中心に,全曲を通じて遠藤さんのクラリネットが大活躍でした。

第3楽章ではアビゲイル・ヤングさんを中心とした第1ヴァイオリンの音が美しかったですね(確かヤングさんはスコットランド出身だったはず)。大きく歌い上げる感じも素晴らしいと思いました。第4楽章はキリっとした表情で開始。激しく音をぶつけてくるような厳しさとノスタルジックな気分が交錯する音楽が大変魅力的でした。

お楽しみのコーダの部分は,中音域を中心に大らかに始まった後,ホルン4本が締まった音でバシッと加わり,音楽にさらに精彩が加わります。最後は,「やっぱりスコットランドは良いなぁ」と旅情に通じるような余韻を感じさせるようにゆったりと終結。最後にアンコールとして,バッハのアリアが演奏されたのは意図がやや分かりにくかったのですが(ロシアのウクライナ侵攻の犠牲者追悼?),どの曲の演奏にも充実感があり,OEKらしさ満載のフルコースを堪能したような満足感を味わうことができた演奏会でした。

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