OEKのCD

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2022/04/29

#ガル祭 2022オープニングコンサート。テーマ #ロマンのしらべ にあわせてロマン派作品が10曲以上並んだガラコンサート。昭和の香りもする親しみやすい公演でした。#田中祐子 #金子三勇士 #クリストフ・コンツ #小林沙羅 #コンスタンティン・インゲンパス #北野友里夏 #木村綾子 #高柳圭 #oekjp

本日午後は,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた,いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2022のオープニングコンサートを聞いてきました。演奏は田中祐子さん指揮オーケストラ・アンサンブル金沢祝祭管弦楽団,ということでいつもより増強された編成による演奏でした。

内容は,今年のテーマ「ロマンのしらべ」に合わせて,ドイツ~オーストリア系のロマン派の作曲家の作品を10曲以上並べたるガラコンサートでした。公演時間は75分程度でしたので,一部の曲は省略されていましたが,ピアニストの金子三勇士さん,ヴァイオリンのクリストフ・コンツさん,ソプラノの小林沙羅さん,バリトンのコンスタンティン・インゲンパスさんが登場する華やかさ。さらには,北野友里夏さんによるバレエも加わっていましたので,今年の音楽祭全体を圧縮したような充実感がありました。

演奏された曲は,小中学校の音楽室の壁に貼ってあるような音楽家の作品が次々登場する感じでした。本日は「昭和の日」ですが,印象としては「ロマンの香り」に加え,「昭和の音楽室の香り」も漂うような名曲集だったと思います。

最初に演奏されたウェーバーの「舞踏への勧誘」と最後のリストのハンガリー狂詩曲第2番は,どちらも有名曲ですが,OEKが演奏する機会は非常に少ないと思います。久しぶりにLPレコードを取り出して聞いたような懐かしさを感じました。リストの方は最後の音のタイミングが少々ずれてしまいましたが,その辺もご愛敬という感じでした。

ブラームスの「大学祝典序曲」は,50代以上の人には,ラジオ講座のテーマ曲としてお馴染み(私も該当しますが...番組の方は聞いていなかったですね)。ファゴットで演奏されるテーマを聞くと,やはり昭和の香りがする感じです。ただし,曲の最初の部分が省略されていたのは残念でした。OEKが演奏する機会は非常に珍しい曲なので(もしかしたら初めて?),どうせなら全曲聴きたかったですね。

登場したソリストたちの演奏もそれぞれ楽しめました。過去,何回もOEKと共演をしている小林沙羅さんによるメンデルスゾーンの「歌の翼」はゆったりとした暖かみのある歌唱。シューベルトの「ます」は,クラリネットの伴奏が楽し気な雰囲気を作る中,最後の方,少しドラマティックな気分に盛り上がる感じが良かったですね。

コンスタンティン・インゲンパスさんの歌を聞くのは初めてでしたが,とても品の良い美しさがあり,ドイツ・リートにぴったりだと思いました。歌った曲は,シューベルトの菩提樹と魔王。岩城さん指揮OEKとヘルマン・プライさんが共演した懐かしのアレンジでしたが,瑞々しい気分があり,「風と緑の5月」に聴くのにぴったりでした(シューマンの「詩人の恋」にもぴったりかも)。

ヴァイオリンのクリストフ・コンツさんは,弾き振りでクライスラーの「美しいロスマリン」を演奏。キリっとした表情とリラックスしたムードが合わさった美しい演奏。本日のコンツさんの出番は,この2分程度だけという贅沢さでした。本公演に向けての絶好のPRになりました。

金子三勇士さんの方も,シューマンの「トロイメライ」だけの出演。最後,ゆったりと眠りに入っていくような深さを感じさせる演奏でした。5月3日のOEKとの共演の方も大変楽しみです。

北野友里夏さんが躍ったのは,ショパンの「レ・シルフィード」の中の前奏曲。これもまた昭和の時代からお馴染みの「太田胃散」のCMでお馴染みのあの曲です(ちなみに,胃腸調ならぬイ長調です)。しっとりとしていながら軽やかな,風の精そのものの踊りを観て,正真正銘ロマンの世界だなぁ,感じ入りました。

その他,ワーグナーとメンデルスゾーンの結婚行進曲の聴き比べもありました。ワーグナーの方はやはり,合唱がないと少し寂しいかもしれません。最後アンコールで,レハールの「メリーウィドウ・ワルツ」がインゲンパスさんと小林さんのデュオを交えて演奏されてお開きとなりました。この曲ですが,本来はテノール+もう少し重い声質のソプラノが歌う曲なので,この日の司会を務めていた,高柳圭さんと木村綾子さんに歌っても良かったのではと思いました。とてもスムーズでユーモアを交えての司会ぶりだったので,本職の歌の方も聞いてみたかったなと思いました。

音楽祭の方は既にプレイベントが色々と行われていますが,明日以降,本格的に石川県立音楽堂を中心に160もの公演が行われます。3年ぶりにほぼフルスペックで開催される音楽祭をのんびりと楽しんでみたいと思います。本日は雨でしたが,特に本公演の方は晴れて欲しいですね。

PS. 今年もオープニングコンサートに先立って,オープニング・セレモニーが行われましたが,その顔ぶれが1年前と大きく変わっていたのが新鮮でした。ラ・フォル・ジュルネ時代から10年以上,谷本石川県知事でしたが,今年は馳知事に。そして金沢市長も村山さんに交替。村山金沢市長は,フルート奏者として4月24日に行われた「市民オーケストラ」公演に出演者として登場済。さらには,これからもエリアイベントに登場とのこと。この展開は,選挙の時には予想できなかったことですが,「楽都金沢」にとっては良いことかもしれません。

PS2.本日,春の叙勲の発表があったのですが,実行委員長の池辺晋一郎さんが受章。この発表もオープニングセレモニーであり,馳知事から花束などを贈呈。さらにはウクライナから日本に避難している,タチアナ・ラヴロワさんと娘のヤナさんによるチェロの二重奏も演奏されました。というわけで,いつもにも増して,盛沢山なオープニング・セレモニーでした。ちなみに,ラヴロワさん母娘(遠くからだと姉妹のように見えました)は,セントラル愛知交響楽団に加わって演奏するとのことです。

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