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2022年5月

2022/05/28

本日は加納律子オーボエ・リサイタル Vol.2「ラプソディ」へ。加納さんの充実した音楽活動の積み重ねを伝えてくれるような充実した内容。ダニイル・グリシンさん,鶴見彩さんとともに聴きごたえのある演奏を楽しませてました。秘密兵器ルポフォンも初めて聴きました。結構重そうでしたね。

本日はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のオーボエ奏者,加納律子さんのオーボエ・リサイタルを金沢市アートホールで聴いてきました。この公演は,コロナ禍の影響で順延になっていたもので,加納さんのリサイタルとしては2回目。「ラプソディ」というサブタイトルがついていました。

「オーボエ・リサイタル」という名称でしたが,前半・後半とも,OEKの客演首席ヴィオラ奏者のダニイル・グリシンさんが演奏する曲があったり,この日のピアノ担当だった鶴見彩さんによる独奏曲が入っていたり,「加納律子と仲間たち」といった室内楽公演のような雰囲気もありました。そして,何より最後のヒンデミットの三重奏曲に登場した,ルポフォンという楽器(初めて見ました)が「目玉」となっていました。

この公演に行こうと思ったのは,加納さんのオーボエの音を間近でしっかり聴いてみたいという思いがあったからです。そして期待どおり,どの曲でも,バランスの良い暖かみのある,安定感抜群の音を楽しませてくれました。今回演奏された曲は,どれも複数楽章からなる15分程度ぐらいの曲ばかりだったのですが,グリシンさんや鶴見さんの力のこもった演奏との相乗効果もあり,大きなものに包み込まれるような,スケールの大きさを感じさせてくれるような演奏の連続でした。

まず,最初に演奏されたシューマンの3つのロマンスから見事な演奏でした。染み渡るようなオーボエが一気に浪漫の世界に導いてくれました。次のブリテンの世俗的変奏曲は初めて聴く曲でしたが,「ド#・レー」というモチーフが何かに取り憑かれたように何回も出てきて,最後の部分では鬼気迫るような空気が漂っていました。

前半最後のレフラーの2つのラプソディは,演奏会全体のタイトルが「ラプソディ」でしたので,全体の核となるような曲だったと思います。グリシンさんのヴィオラの深い音と合わせて,神秘的な世界に誘ってくれました。

後半最初のサン=サーンスのオーボエ・ソナタはこの日演奏された曲の中でいちばん気楽に聞ける作品でした。古典的な清澄さと自由でロマンティックな気分とが重なり,聞く方も,とても優しい気分にさせてくれました。

続いて,鶴見さんのピアノ独奏で,ブラームス最晩年の間奏曲が2曲演奏されました。ブラームスがクララために書いた作品ということで,最初に演奏された3つのロマンスとうまくバランスが取れているなと思いました。クララへの思いがストレートに伝わってくるような誠実な演奏だったと思います。

そして最後に,加納さんがオーボエからルポフォンに楽器を持ち替え,ヒンデミットの三重奏曲が演奏されました。ルポフォンという楽器は,オーボエよりも1オクターブ音域が低い楽器で,2009年に発表されたバス・オーボエとのことです。ヒンデミットのこの曲は本来,ヘッケルフォンとヴィオラとピアノのための三重奏だったのですが(それにしても,ヒンデミットは変な(?)組み合わせを思いついたものです),今回はヘッケルフォンの代わりにルポフォンで演奏されました。

楽器の感じとしては,サクソフォンのような感じでした。サックスよりは,かなり重そうな感じで,加納さんは両手を使って運搬していました。音の感じもサックスに似たところがあり,暖かで柔らかな感じでした。

ヒンデミットのこの曲は,ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチの曲を思わせるような狂気をはらんだようなところがあったり,結構晦渋な感じもありましたが,加納さんのルポフォンに加え,グリシンさんと鶴見さんの演奏の迫力が素晴らしく,大変充実した音楽となっていました。特に曲の最後の部分は,何かフリー・ジャズを聴くような不穏な空気をまとった狂気があり凄いなと思いました。

この日は客席を1個おきにしていたこともありチケットは完売でした。演奏会の最後,アンコールに代えて,加納さんが金沢で演奏活動を行えることについて感謝の言葉を述べていましたが,お客さんの方からすると,そのまま加納さんへの感謝の言葉として返したいと思いました。加納さんの充実した音楽活動の積み重ねを伝えてくれるような充実した演奏会でした。

2022/05/26

今晩は冨田一樹オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂へ。バッハの作品を中心とした,バランスの良いプログラム。特に「〇〇とフーガ」系の曲の多様性と面白さを楽しむことができました。

今晩は,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた冨田一樹オルガン・リサイタルを聴いてきました。プログラムは,先週土曜日のOEK定期公演に続き,J.S.バッハ。「〇〇とフーガ」といったバッハのお得意の構成の曲4曲を中心に,コラールなどの小品を挟んだ,とてもバランスの良い選曲でした。

バッハの前にまず,ブクステフーデ,スウェーリンク,パッフェルベルのオルガン曲が3曲演奏されました。この中では,最初に演奏されたブクステフーデの前奏曲が大変インパクトがありました。大オルガンをイメージして作った曲で,バッハにつながる重厚な壮麗さがあるなと思いました。

バッハの「〇〇とフーガ」系の曲は,構成的には似た感じなのですが,それぞれ冒頭部分の「つかみ」の部分の音色や音の動きが個性的で,その違いを聞くのが面白いなと思いました。後半最初に演奏された,前奏曲とフーガハ長調は,冒頭のジグザグした感じと,フーガの部分のとても大らかで真っすぐな感じの対比が面白く,王道を進むような立派さを感じました。演奏会の最後に演奏された,トッカータとフーガ ニ短調(ドリア旋法)のスケール感も素晴らしかったですね。演奏会全体を締めるのに相応しい壮大さに包まれました。

オルガンの曲については,最後の音を長く伸ばすのがパターンで,それが聴きどころでもあるのですが,冨田さんは,重厚感のあるフーガを含む曲の間に演奏された,小品については,それほど音をのばさず,すっきりと終わっている感じでした。足鍵盤を使わない可愛らしい雰囲気の曲や素朴な味を持った曲があったり,プログラム全体にメリハリがついていまるのが良いなと思いました。「G線上のアリア」として知られる,管弦楽組曲第3番のエアをオルガン独奏で聴くのは初めてでしたが,オリジナルの雰囲気がそのまま再現されており,オルガンの表現力の豊かさを実感しました。「永遠に続いて欲しい」と思わせる平和な音楽でした。

冨田さんは,1曲目の前と最後の曲の後にトークを入れていましたが,その簡潔で親しみやすい解説もとても良かったと思いました。冨田さんが石川県立音楽堂に登場するのは今回が3回目でしたが,今回の公演で,しっかり固定ファンをつかんだのでは,と思いました。バッハのオルガン作品は,まだまだ沢山ありますので,是非,4回目の公演を楽しみにしています。

2022/05/21

#アンジェラ・ヒューイット さんのオーラがホール内に溢れる弾き振りで,バッハの協奏曲5曲が演奏された #oekjp 定期公演。素晴らしかったです。ピアノと弦楽器の音の溶け合いが素晴らしく,2年越しの待望の演奏を楽しむことができました。

本日午後は,アンジェラ・ヒューイットさんのピアノ弾き振りによる,OEK定期公演マイスターシリーズを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。この公演は,2年前の5月に予定されていたのですが,コロナ禍の影響で中止。今回,仕切り直しで開催された念願の公演でした。

プログラムはヒューイットさんが得意とするバッハのピアノ協奏曲を5曲。OEKの定期公演で,協奏曲ばかり5曲というプログラムは大変珍しいことです(バッハのブランデンブルク協奏曲6曲というのが一度ありましたね)。もう一つ,バッハの協奏曲をピアノで演奏するのも,近年珍しいと思います。私自身,これらの曲のうちのいくつかは,チェンバロ協奏曲として聴いたことはありましたが,ピアノで聴くのは今回初めてだと思います。

OEKの編成は,全曲弦楽セクションのみ。ヒューイットさんは,ステージ中央に斜めにピアノを置き,要所要所でコンサートマスターのヤングさんなど,各パートに合図を出しながらの弾き振りでした。

演奏された協奏曲は,前半が3番,5番,7番,後半が2番,1番でした。ヒューイットさんのピアノには,バリバリと技巧を聴かせるような派手なパフォーマンスはないのですが,赤いドレスでステージに登場した瞬間から,ステージがパッと明るくなるようなオーラがあり,その安定感と暖かさのあるピアノに,すべてのお客さんが魅了されていたのではと思いました。

何よりヤングさんを中心としたOEKメンバーの音としっかりバランスを取りながら生き生きとしたアンサンブルを楽しませてくれたのが良かったですね。ピアノと弦楽器の音が融合した時の,軽すぎず,重すぎずの心地良い暖かさを持ったサウンドが素晴らしいと思いました。

5曲の中では,後半最後に演奏された1番が曲の構成的にも,いちばんガッチリとした聴きごたえがありました。ピリッとした切れ味の良い音,くっきりとした歌が続く第2楽章,疾走感のある第3楽章と,次のモーツァルトの時代などにつながるような,協奏曲らしい協奏曲となっていました。

それ以外の曲もすべて,急ー緩ー急の構成で,2楽章だけがアダージョになったり,ラルゴになったり,シチリアーノになったり...とバリエーションがありました。元々は他の楽器のための協奏曲をクラヴィーア用に編曲したものばかりで,第3番と第7番はそれぞれ,ヴァイオリン協奏曲第2番と1番が原曲です。ヴァイオリン版は実演で何回か聴いたことがありますが,やはり,ヒューイットさんの演奏の作り出す音楽が何とも言えず優雅で,ヴァイオリンで聴く時とは一味違った,たっぷりした質感が良いなと思いました。

ヒューイットさんは全曲の演奏が終わった後,大きく手を広げたまま,しばらくストップモーションになっていましたが,そのポーズにぴったりの高貴な雰囲気が曲の後にスッと残るような心地よさがありました。

第5番の第2楽章「ラルゴ」は,特に有名な曲です。スイングルシンガーズというヴォーカルグループがこの楽章を歌ったもので馴染んでいたので,実は「ダバダー」という声が頭の中で鳴ってしまっていたのですが,シンプルで静謐な美しさのある原曲の味わいも絶品だと思いました。チェンバロで聴くよりも,少しロマンティックな香りが香る感じだったかもしれません。

というわけで,「2年間待っていた」待望の公演をしっかりと楽しむことができました。今回の共演をきっかけに,ヒューイットさんには是非,金沢にもう一度来ていただきたいですね。

2022/05/17

今晩は1週間前に続いて,アビゲイル・ヤング・アンド・フレンズ第2夜@金沢市アートホールへ。ブラームスの五重奏曲2曲を中心に,弦楽四重奏プラス・ワンの音の厚みと楽しさを実感できる選曲。ヤングさんを中心とした熱いアンサンブルで会場もヒートアップ。遠藤文江さんの表情豊かなクラリネットも素晴らしかったですね。

今晩は,1週間前に続いて,アビゲイル・ヤング・アンド・フレンズと題した室内楽公演の第2夜を金沢市アートホールで聴いてきました。出演者は,OEKのコンサートマスター,アビゲイル・ヤングさん,首席第2ヴァイオリンの江原千絵さん,ヴィオラ客演首席奏者のダニイル・グリシンさん,チェロ奏者のソンジュン・キムさん,クラリネット奏者の遠藤文江さん。そして,客演のヴィオラ奏者の般若佳子さんの6人でした。

本日もブラームスの室内楽が中心でしたが,その前にシェーンベルクの若い時の室内楽曲が1曲入っていたのがヤングさんらしいところかもしれません。後年の無調音楽時代とは一味違った,ブラームスの音楽につながるような,ちょっとゴツゴツした感じの音楽がイントロダクションとして演奏されました。

その後は,クラリネット五重奏曲と弦楽五重奏曲第2番という五重奏曲2曲が演奏されました。先週は六重奏曲第1番が演奏されましたが,改めて,ブラームスの「やや大きめ」の室内楽作品の魅力を実感できました。それぞれ,弦楽四重奏プラス・ワンという編成でしたが,1つ加わることで音の厚みが増し,演奏の楽しさや起伏の大きさも増幅されている感じでした。

ブラームスのクラリネット五重奏曲を実演で聴くのは久しぶりのことです。ブラームスが作曲活動から引退していた時期(といってもまだ50代ですが)の作品ということで,全体的に物悲しい気分が溢れているのですが,遠藤さんのクラリネットの表現は大変多彩かつ力があり,ぐっと心に迫ってくるような瞬間が沢山ありました。この曲は結構暗いイメージを持っていたので,CDなどではあまり聞いてこなかったのですが,本日の演奏を聴いて,聞きどころに溢れた名曲だなぁと認識を新たにしました。

後半に演奏された,弦楽五重奏曲第2番はCDも持っておらず,聴くのもほぼ初めての作品でしたが,プログラムの解説(ヤングさんによる解説。大変充実したに内容でした)に書かれていたとおり,交響曲を思わせる充実した気分があり,演奏会の最後を締めるのに相応しい熱さがありました。

まず第1楽章の最初の輝かしい響きが素晴らしかったですね。ブラームスは,この曲を自分の最後の作品にしようとしていたらしいのですが,そのことが実感できるような全力をつぎ込んだようなエネルギーが溢れていました。中間の2つの楽章は哀愁の漂う穏やかさや懐かしさがあり,リラックスして聴くことができました。

最終楽章はどこかエキゾティックなハンガリー風のムード。楽章の最後はどんどんテンポを上げていくスリリングな演奏。ブラームス晩年の作品と思えない熱狂が素晴らしく,演奏会全体も大きく盛り上げてくれました。演奏後の拍手も大変盛大でした。アンコールでは,この熱狂をクールダウンするように,ブラームスの「子守歌」。すべてがピタリとはまった選曲でした。

アビゲイル・ヤングさんを中心とした2週連続の室内楽公演企画は,大成功だったと思います。ファンとしては続編を期待したいですね。シューマンやシューベルトでも同様の企画は実現可能だと思います。というわけで,是非,よろしく(?)お願いたします。

2022/05/15

第20回北陸新人登竜門コンサート 弦・管・打楽器部門はモーツァルト尽くし。#ユベール・スダーン さん指揮OEKによる充実の演奏の上で,2人の若い奏者による初夏の気分に相応しいクラリネットとフルートを楽しむことができました。#藤田菜月 #安嶋美裕

本日は,20回目となる北陸新人登竜門コンサートを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。今年は,弦・管・打楽器部門でしたが,OEKと共演したのは,クラリネットの藤田菜月さんとフルートの安嶋美裕さんのお2人。しかも2人ともモーツァルトの協奏曲を演奏。恐らく,それとコーディネートしたのだと思いますが,OEKが単独で演奏した曲もモーツァルトの曲ばかり。今回の指揮者は,古典派音楽をプログラムの中心としているユベール・スダーンさんでしたので,定期公演を思わせるようなオールモーツァルト・プログラムとなりました。

藤田さんが演奏した曲はクラリネット協奏曲,安嶋さんが演奏した曲はフルート協奏曲第2番という,どちらも有名な作品。連休が終わった初夏の日曜の午後に聴くにはぴったりの両曲でした。ユベール・スダーンさん指揮OEKによる万全の演奏の上で,それぞれ気持ちの良いソロを聴かせてくれました。

藤田さんの演奏は,スムーズなテンポ感で演奏されていました。時々デリケートで柔らかい雰囲気で演奏される弱音が美しいなと思いました。明るさの中に淡い悲しみを滲ませたような部分も良いなと思いました。

安嶋さんの演奏は,曲の性格にもよると思いますが,より外向的な演奏で,勢いのあるOEKの演奏にぴったりマッチした活気のある演奏を聴かせてくれました。第1楽章のカデンツァでは,一瞬,「フィガロの結婚」のフレーズが出てくるなど,生き生きとした雰囲気のある演奏でした。

そして,今回の公演で良かったのは,最初と最後に演奏されたスダーンさん指揮OEKによる交響曲2曲でした。交響曲第1番は全体の序曲のよう,最後に演奏された31番「パリ」は,楽器編成がフル編成になり全体を締める華やかさがありました。

# 「パリ」の第2楽章は2つの版があるとプログラムの解説に書いてありましたが,本日演奏されたのは,3拍子版(多分)でした。この版で聴くのは初めてかもしれません。

両曲とも,アーティキュレーションや強弱の変化が明快な,インテンポによる自信に溢れた演奏。瑞々しさと堂々とした安定感があり,短めの曲でしたが両曲とも聴きごたえ十分でした。今回は,図らずもモーツァルト尽くしになったのだと思いますが,連休中の楽都音楽祭での大活躍に続き,さすがスダーンさんという演奏を楽しむことができました。

2022/05/10

今晩は ,アビゲイル・ヤング・アンド・フレンズ第1夜@金沢市アートホールへ。OEKファンとしては,「こういう公演を聴きたかった」という,#oekjp のコンサートマスターのヤングさんを中心とした色々な編成によるブラームスの室内楽尽くしの公演。1週間後の第2夜も聞き逃せません。

今年のガル祭が終わってまだ1週間も経っていないのですが,OEKのコンサートマスター,アビゲイル・ヤングさんを中心とした「アビゲイル・ヤング・アンド・フレンズ」という大変魅力的な室内楽公演が行われたので聴きに行ってきました。この公演は2週連続で金沢市アートホールで行われ,本日は第1夜でした。

プログラムは2回ともブラームスの室内楽がテーマです。出演は,ヤングさんの仲間たちということで,本日はOEKメンバーを中心に次のような方々か登場しました。江原千絵(ヴァイオリン),ダニイル・グリシン,般若佳子(ヴィオラ),ルドヴィート・カンタ,ソンジュン・キム(チェロ),藤田めぐみ(ピアノ)。全部で7人登場しましたが,全員が登場する曲はなく,色々な組み合わせの室内楽が演奏されるという趣向でした。

演奏されたのは,ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番,ヴィオラ,チェロとピアノのための三重奏曲イ短調, op.114,弦楽六重奏曲第1番の3曲でした。ブラームスの室内楽というと,「渋い」「秋のイメージ」という先入観を持ってしまうのですが,小ホールで聴く演奏は迫力満点。どの曲も新鮮で切れば血が出るような熱い演奏を楽しませてくれました。

何よりヤングさんのヴァイオリンが素晴らしかったですね。まず,1曲目のソナタ第2番で,たくましく安定感抜群の音を楽しむことができました。そして,美しい歌に溢れたこの曲の魅力を存分に楽しませてくれました。ヤングさんと学生時代からの知人でもある,藤田めぐみさんの柔らかく包容力のあるピアノも大変魅力的でした。

2曲目の三重奏は,元々はクラリネット,チェロ,ピアノのための曲なのですが,ヴィオラで演奏しても良いという曲です。この曲ではヴィオラのダニイル・グリシンさんとチェロのソンジュン・キムさんの多彩な表現力が素晴らしかったですね。ヴィオラとチェロのための二重ソナタといった感じがあり,この二人の音が作り出す音のテクスチュアを楽しむことができました。特にグリシンさんの音の幅の広さに改めて感動しました。いちばん地味な曲かなと思っていたのですが,大変スリリングな演奏となっていました。

後半は弦楽六重奏曲第1番。ブラームスが若い時に作った曲で,編成が大きい分,他の2曲よりも,曲に込められた感情の幅が特に大きいと思いました。ロマンティックな気分が溢れるカンタさんのチェロで始まった後,第1楽章は,今年のガル祭のテーマ同様,「ロマンのしらべ」に包まれました。第2楽章は特に有名な楽章ですがが,一転して大変力強い演奏でした。もがき苦しむような切ない曲,という印象を持っていた楽章でしたが,本日の演奏は,かなり速いテンポで荒々しいほどの力強さ。それが大変新鮮に響いていました。

第3楽章スケルツォは途中から,限界に挑むような猛スピードにテンポアップ。ヤングさんと仲間たちが,真剣に楽しんでいるような鮮やかな演奏でした。第4楽章は色々なメロディが次々と出てくる多彩な雰囲気。最後の喜びにあふれた雰囲気も良かったですね。

というわけで,OEKファンとしては,「こういう公演を聴きたかった」という内容の公演だったと思います。1週間後の第2夜はクラリネットも加わり,また別のブラームスの世界が楽しめそうです。

2022/05/03

#ガル祭 2022 本日の金沢は音楽祭日和といった感じの快晴。そして待望の本公演スタート。まずは #oekjp 弦楽メンバーによるシューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」@金沢市アートホール。じっくりとした味わいのある第2楽章を中心に生で聴く室内楽の楽しさが伝わってくるような演奏。本日はゆったりとしたスケジュールで開始です。

本日の金沢は「音楽祭日和」といった感じの快晴。そして,いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭 2022は本日から本公演です。私の方は,今年は本公演3日目中心にチケットを購入していますので,本日は,とりあえず,音楽堂の2ホール,アートホールのそれぞれ1つずつ,合計3公演にとどめています(体力温存のためです)。

まずは10:30から金沢市アートホールで,OEK弦楽メンバー(松井直さん,上島淳子さん,丸山萌音揮さん,大澤明さん)によるシューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」を聞いてきました。この曲を実演で聴くのは久しぶりですが,改めて良い曲だなぁと思いました。

特にじっくりとした味わいのある第2楽章が大変聴きごたえがありました。長年OEKメンバーとして一緒に演奏してるメンバーならではの,絶妙の空気感のようなものを感じることができました。CDなどで聴いていてもよく分からないのですが,小ホールでの公演だと,各楽器の音が和音となって組み合わさったり,線となって絡み合ったり,まさに有機的に変化していく感じがよく分かりました。

第2楽章以外は,切迫感のある雰囲気が中心ですが,あまり声高になることはなく,落ち着いた威厳のようなものを感じさせてくれました。演奏されたのはこの1曲でしたが,充実の40分(ぐらい)でした。

本日は一旦,昼食を食べるに自宅に戻った後,今度は石川県立音楽堂会場の方に行く予定。金沢市の場合,自転車の移動でもそれほど時間がかからないのが良い点です。本日は自宅とホールを行ったり来たりということで,健康的に過ごそうと思います。

2022/05/01

#ガル祭 2022 本日はエリア・プレイベントとして行われた #岡本潤 さんなど北陸ゆかりの若手奏者を中心としたシューベルト/ピアノ五重奏「ます」他を北國新聞赤羽ホールで鑑賞。アンサンブル楽しさが生き生きと伝わってくるような素晴らしい演奏でした #篠原悠那 #荒井結 #平野加奈 #中村翔太郎

#ガル祭 2022 本日5月1日は「吹奏楽の祭典」を金沢歌劇座で行っていたはずですが(悪天候のためしいのき緑地から変更になったはず),今年はこちらには行けず,石川県出身のコントラバス奏者岡本潤さんなど北陸縁の若手奏者を中心としたシューベルト/ピアノ五重奏「ます」他を北國新聞赤羽ホールで聴いてきました。この曲は,シューベルトの作品の中でも特に親しみやすい曲ですが,本日の5人の演奏からは,アンサンブルする楽しさが生き生きと伝わってくる感じでした。

本日の奏者の中で北陸新人登竜門コンサートに出演したことのある奏者は,コントラバスの岡本潤さん,ヴァイオリンの篠原悠那さん,チェロの荒井結さん,ピアノの平野加奈さんの4人。いずれもその時の演奏を聞いたことがあるので,私にとっては,その成長をしっかり確認することのできた公演となりました。ちなみにヴィオラの中村翔太郎さんだけは,石川県との関係はなく,岡本さん同様,NHK交響楽団に所蔵しているというつながりがあります。6年前,金沢蓄音器館で,岡本さんが出演する「ます」公演を聴いたことがあるのですが,その時もヴィオラとして中村さんが参加していましたので,「盟友」といった感じですね。

「ます」の演奏ですが,第1楽章から,岡本さんのコントラバスを中心にどっしりとした落ち着きがあると同時に,生き生きとした流れの良い音楽が続きました。平和な気分に包まれた第2楽章に浸っていると,しみじみと「仲間とアンサンブルできる」喜びが伝わってきました。第3楽章はキリっとしたテンポ。途中,コントラバスとチェロが強い音で「ダダダダ」を気合(?)入れる部分がありますが,この部分はいつ聞いても楽しいですね。

有名な第4楽章は静かな気分で始まった後,次々と各メンバーが活躍。特に平野さんのピアノの息もつかせぬパッセージがお見事でした(「ます」が無呼吸で泳いでいるといったイメージでしょうか)。変奏の最後の部分で,各楽器がちょっとタメを作るように演奏する部分があるのですが,この部分もとても楽しそうでした。第5楽章のちょっとエキゾティックな舞曲が延々と続く感じは,シューベルトならではですね。最後の部分は胸のすくような気持ちよい雰囲気で締めてくれました。

「ます」の前に,ヴァイオリン,ヴィオラ,コントラバスの三人で,ドホナーニの三重奏曲が演奏されました。こちらは全体に渋い雰囲気を持った作品でしたが,「ます」同様,5楽章構成で,変化に富んだ楽想をじっくりと楽しませてくれました。

ちなみにこの日の衣装の色は,「ます寿司」をテーマにしたとのこと。平野さんは見るからに「ます」でしたが,言われてみると,岡本さんと篠原さん方も,やや「ます」かなという感じ。中村さんは,「ごはん」役ということで白。荒井さんは黒っぽい色でしたが,こうなってくると,「緑」にしてもらって,「笹」役を担当してもらえれば,パーフェクトだったかもしれません。

今回のメンバーのうち何名かは,今後も音楽祭の本公演の方で色々登場されるとのこと。こちらも楽しみにしたいと思います。

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