OEKのCD

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« 早くも梅雨が明けてしまった週末,原田智子ヴァイオリンリサイタルへ。重量感のある前半とSPレコードの世界を思わせる後半。そして永遠に続いて欲しいような「揚げひばり」。センス抜群の素晴らしい公演でした | トップページ | #oekjp の2021/22年シーズンを締めくるフィルハーモニー定期は,広上淳一さん指揮による,バッハ,ブルックナー,リストの編曲ものという独特のプログラム。そして,OEKを自在にドライブした,濃厚かつ楽しさの溢れる,新シーズンの期待を高める演奏ばかり。ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲での小林美樹さん演奏にもすっかり魅せられました。 »

2022/07/09

#oekjp 定期マイスターシリーズ2021/22の最終公演は,プリンシパル・ゲストコンダクターとしての登場が本日で最後となるユベール・スダーンさん指揮。シューマンの2番では,その思いが力強い音になっていた。ラヴェルの協奏曲での見事にコントロールされた,三浦謙司さん美しいピアノも見事でした。

本日はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演マイスターシリーズ2021/2022の最終公演を石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。指揮はユベール・スダーンさん,ピアノは三浦謙司さんでした。

OEKは今度の9月から指揮者陣の体制が変更になりますので,スダーンさんが,プリンシパル・ゲストコンダクターとしてOEKを指揮するのは本日が最後ということになります。そのことも反映してか,いつもにも増してスダーンさんの「思い」がOEKの音に強く反映しているように思えました。

この日のプログラムは,前半がフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲とラヴェルのピアノ協奏曲というフランス音楽。後半はシューマンの交響曲第2番。すべて聴きごたえのある演奏でしたが,特に,最後に演奏されたシューマンの交響曲第2番は,これからもスダーンさんとセットで強く記憶に残るような演奏だったと思いました。

この曲については,シューマンの不健康な精神状態が反映した曲と言われています。確かに,第1楽章などはハ長調なのに,冒頭の金管のファンファーレからどこか沈んだ雰囲気が漂っています。しかし,本日の演奏は,楽章を追うに連れて,健康的な気分に変わっていくように思えました。スダーンさんの指揮ぶりは,急速なテンポでも,手綱をビシッと締めており,第2楽章などはずっしりとした安定感を感じました(この楽章の終了後,スダーンさん自信,オーケストラに向かって拍手をしてびっくり)。

第3楽章の美しく自然な歌も素晴らしかったですね。第4楽章は迷いのない力強い音で開始。ドイツ風の行進曲を聴くような充実感がありました。コーダの部分では,ティンパニが曲全体を支配するような素晴らしい強打を聴かせてくれて,見事に締めてくれました。

この日は,前半のフランス音楽の時は通常のティンパニ,後半のシューマンではバロックティンパニを使っていましたが,その独特の落ち着きのある音が威力を発揮していました(演奏後,スダーンさんは各奏者を立たせていたのですが,ティンパニの方を立たせるのを忘れていたようですね)。

前半では,三浦謙司さんと共演したラヴェルのピアノ協奏曲が素晴らしい演奏でした。OEKは過去何回も演奏してきた曲ですが,今回の三浦さんのピアノは,どこを取っても言うことなし,という素晴らしい演奏でした。無駄な力は入っていないので,どの音もくっきりと聞こえ,この曲の持つ多彩なニュアンスが大げさに演奏しなくてもしっかりと伝わってきました。そして急速なパッセージでの鮮やかさ。平然と演奏するクールさがラヴェルにぴったりだと思いました。第2楽章もしっとりとしているけれども,ベトつくことはなく,底光りするような美しさを感じました。第3楽章も切れ味が良かったですね。

OEKの方は,管楽器を中心に,各パートがソリストになったような演奏を聴かせてくれました。特に小クラリネットを演奏していた,この日のエキストラ吉田誠さんの明るく主張する音が印象的でした。急速なテンポということで,楽器によっては,少々,雑然とした感じに聞こえるような部分もあったのですが,これもまたこの曲のキャラクターとも言えると思いました。両端楽章で,賑々しく活躍していた打楽器チームも,ムチの音をはじめ,要所要所でビシッと演奏を引き締めていました。

アンコールでは三浦さんの独奏でマルチェロのオーボエ協奏曲の第2楽章が演奏されました。ピアノ独奏版で聴くのは初めてでしたが,その淡々とした音の美しさにすっかり魅了されました。三浦さんのソロ・リサイタルの聴いてみたいと思いました。

最初に演奏されたフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲もOEKは何回も演奏してきている曲です。松木さんの爽やかなフルートが楽しめた「シシリエンヌ」も良かったですが,最後の「メリザンドの死」のその最後の部分,音楽がパタっと止まって静寂が訪れる部分が「すごい」と思いました。

全曲の演奏後,スダーンさんは英語で挨拶をされて,アンコールを1曲演奏しました。シューマンのトロイメライを管弦楽用に編曲したものでした。ヨーゼフ・シュトラウスという人名が耳に残りましたが,どこか後期ロマン派風のトロイメライという美しさがありました。スダーンさんの「置き土産」という感じの演奏でした。

スダーンさんがプリンシパル・ゲストコンダクターとしてOEKを指揮するのは今回で最後となりますが,まだまだ,OEKと演奏して欲しい曲はありますね。

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