お盆明け恒例の #oekjp K&合唱団OEKとやまによる富山特別公演をオーバードホールで聞いてきました。ドブロコスのレクイエムの新鮮な癒しの気分,角口圭都さんのアルト・サクソフォン独奏によるグラズノフの協奏曲、木村綾子さんのソプラノを交えてのヤイロのドリームウィーヴァー...多彩で魅力的な作品の数々。さらに富山県美術館で充実の「ミロ展」も鑑賞。久しぶりに旅行気分を味わうことができました。
本日の午後は、毎年お盆休み明けの日曜日恒例のオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)と合唱団OEKとやまによる富山特別公演を、富山駅前のオーバードホールで聞いてきました。同じ時間帯、金沢ではいしかわミュージックアカデミーの講師による室内楽公演を行っており、そちらにも行きたかったのですが、8月になってOEKを聞いていないことと、久しぶりに富山市に行ってみたくなり、こちらを選択しました。今年の夏もコロナ禍の影響が続いており、気軽に行楽に出かける気分になりにくいので、「せめて富山でも」という思いで聞きに行ってきました。
毎年この公演では20世紀以降の作曲家による宗教曲を取り上げるのが恒例で、今年はドブロゴスという作曲家による,テ・デウムなどが後半に演奏されました。それに加え、前半、富山市出身のサクソフォン奏者,角口圭都さん、金沢市出身のソプラノ歌手木村綾子さんが出演したのが新趣向だったかもしれません。
目玉の「新しめの宗教曲」ですが、今年もまた素晴らしい曲を楽しむことができました。聞く前は、最後に演奏されたドブロゴスの曲だけを注目していたのですが、実は前半最後のヤイロ作曲の「ドリームウィーバー」、後半最初の「テ・デウム」も素晴らしい曲。どの曲も親しみやすさと新鮮さがある点で共通するムードがあり、全体として,とてもまとまりの良いプログラムとなっていました。この日のOEKの編成は、弦楽メンバーのみ(レクイエムとドリームウィーバーでは、ピアノも参加)でした。おそらく、レクイエムの編成に合わせて、他の曲も選んだのだと思いますが、これも統一感を作るのに役だっていました。
最後に演奏されたドブロゴスのミサは、作曲者自身がジャズピアニストということもあり、随所にジャズのテイストが含まれていました。合唱に加え、特にピアノが活躍しており、曲のサウンドの核になっている感じでした。ミュージカルを思わせる雰囲気になったり,ジャズのテイストが出てきたり,合唱とピアノがシリアスな対話をしたり...全く退屈することがありませんでした。最後のアニュス・デイには,静かな感動を秘めつつも,どこか気軽にラウンジで演奏を楽しんでいるような雰囲気もあり,最後まで新鮮でリラックスした癒やしの気分を楽しむことができました。まさに新鮮なレクイエムでした。「合唱の世界では人気の曲」ということも納得という曲だと思いました。
「テ・デウム」の方は,全曲を通じて静かな雰囲気。「ドリームウィーヴァー」はピアノが入っていた点でレクイエムと共通する気分がありましたが,木村さんのソプラノを加え,素朴な暖かみのようなものを感じました。どの曲も,同じ音型の繰り返しが印象的で,「現代の癒し」とミニマルミュージックにどこか通じるものがあるのでは,と思いました。
合唱団メンバーは、今回はマスクをしたままの歌唱でした。そのせいか,どの曲についても,柔らかなまろやかさを感じました。レクイエムでの多彩な表現 テ・デウムでの落ち着き,ヤイロの曲での親しみやすさが良いなと思いました。
前半に演奏されたグラズノフのサクソフォーン協奏曲も、今回楽しみにしていた作品でした。落ち着いた感じの弦のユニゾンの後、角口さんのサクソフォーンが入ってくると、すっと色あいが増したよう。要所要所で,鮮やかな技巧を楽しませてくれつつも、オーケストラと激しく競い合うような感じはなく、オーケストラと一体となって、哀愁のある暗さと甘さの漂う音楽をしっとりと聞かせてくれました。
最初に演奏された,同じグラズノフの「弦楽のための主題と変奏」とも雰囲気はぴったり。西欧風とスラブ風が融合した弦楽合奏曲ということで、チャイコフスキーの弦楽セレナードのテイストを引き継いでいるような魅力を感じました。
最後に指揮者の山下さんから、今回は,平和を祈って「レクイエム」を演奏したといった挨拶があった後、アンコールでは恒例の「ふるさと」が演奏されました。マスクの中で、一緒にハミングしながら,レクイエムの後で聞くと、賛美歌のように聞こえるな,と思いました。
本日は、演奏会の前に富山県美術館(ホールから徒歩15分ぐらいのところにあります)で「ジョアン・ミロ展」を満てきました。こちらも大変充実した内容(別途、紹介します)。というわけで,久しぶりに,石川県の外で美術と音楽をセットで楽しむことができました。お土産も色々と購入し,久しぶりに旅行気分を味わうことのできた一日でした。
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