OEKのCD

2022年9月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ

« OEK新シーズン開幕に先立ち,岩城宏之メモリアルコンサートへ。竹多倫子さんによるプリマドンナのオーラ全開の素晴らしい歌,尾高惇忠「音の旅」(オーケストラ版)の全曲初演,広上淳一さん指揮による熟練のモーツァルト「リンツ」。新コンビへの期待が大きく広がる演奏会でした | トップページ | OEKの2022/23定期公演シリーズ開幕!そして,広上淳一さんのアーティスティック・リーダー就任記念演奏会。遅めのテンポ設定で,広上さんの掌の上に載ってのびのびと演奏してるような「英雄」。デシャトニコフ版の「ブエノスアイレスの四季」での神尾真由子さんの表現の幅広さ。OEKどら焼きプレゼント,広上さん等身大パネル各種出現!...等々新リーダーの存在感がさらにアップした公演でした。 »

2022/09/17

本日は富山県の入善コスモホールまで出かけ,小林愛実ピアノ・リサイタルを鑑賞。バッハ,ブラームス,ショパンのスケルツォ4曲というシリアス系のプログラムは小林さんのピアノにぴったり。充実の時間でした。名演奏家たちの「音」を長年吸い込んできたようなコスモホールの雰囲気も気に入りました

本日は午後から富山県の入善まで出かけ,小林愛実さんのピアノリサイタルを聴いてきました。昨年のショパン・コンクールで4位を受賞した小林さんの演奏を聴きたかったのはもちろんですが,入善コスモホールに一度行ってみたかったというのも,今回出かけた理由です。

本当は昨日,金沢で行われた角野隼斗さんとマリン・オルソップ指揮ポーランド国立放送交響楽団の演奏会にも行ってみたかったのですが...明日OEK定期公演に行く体力も残しておかないといけないので,小林さんのリサイタルの方を選びました。

今回,小林さんが演奏した曲は,バッハのパルティータ第2番,ブラームスの4つの小品, op.119,そして,ショパンのスケルツォ全4曲でした。シリアス~落ち着いた感じの曲によるプログラムでしたが,それが小林さんのキャラクターにぴったりマッチしていると思いました。

今回実は,運が良いことに,ものすごく前の座席を取ることができました。小林さんの演奏前後~演奏中の表情を間近で見られたのですが,どの曲の演奏も非常に落ち着いており,考え抜かれた音色や表現をしっかりとお客さん伝えてくれる素晴らしい演奏になってると感じました。

バッハのパルティータは自信にあふれた落ち着きのあるタッチでシンフォニアが堂々と始まった後,親密な手紙を1通ずつ書いていくように,アルマンド,クーラント...と続きました。最後とロンドーとカプリッチオは生き生きとした音楽の流れが続き,ぐっと気分が盛り上がって終了しました。大げさな表現はないのですが,とても念入りに演奏されており,バッハの音楽が現代の自然に蘇ってきたような新鮮さを感じました。

ブラームスの4つの小品は,ブラームスの最後のピアノ曲です。曲自体,美しさと懐かしさと寂しさが合わさったような感じで,改めて良い曲集だなと思いました。特に2曲目の間奏曲の中間部で,若き日を思い出すようなワルツが出てくるのですが,この遠くから聞こえてくる感じが絶品でした。第4曲のバラードは,非常に輝きのある音楽。小林さんの落ち着きのある演奏からは,自然な風格が立ち上がっているようでした。

後半はショパンのスケルツォ4曲。多くのお客さん(この日は完売との案内が出ていました)待望の,「小林さんのショパン」でした。スケルツォ集は,ショパンの曲の中でもピリッと辛口的な曲が多く,まさにその辺が小林さんの演奏にぴったりだと思いました。シリアスな曲で見せる,真剣で真摯な表情が小林さんのピアノの魅力だと思いました。ピアノの音はくっきりと磨かれているのですが,そこには冷たい感じはなく,リアルな思いが熱く伝わってくる感じがします。

その一方,スケルツォ第1番の中間部のように,「大きなメロディ」をたっぷりと聴かせてくれる部分も非常に魅力的でした。各曲ともにそういうコントラストがあり,冷静にコントロールされているけれども,誠実で熱いドラマが感じられました。

その中で第4番のスケルツォだけは,もともとちょっと軽やかな雰囲気があります。苦しみを突き抜けた先の軽やかさのようなものがあり,演奏会全体を前向きな明るさの中で締めてくれました。

そして,当然のようにアンコール曲が3曲演奏されました。いずれもショパンの曲。小林さんのショパンといえば,コンクールでも素晴らしい演奏を聴かせてくれた,24の前奏曲が十八番。その中から18番...ではなく17番,4番が演奏されました。個人的に,不思議な明るさが漂い,最後,左手に鐘のような音がくっきりと出てくる17番が特に大好きなので,大きなプレゼントをいただいた気分になりました。

最後はワルツ第5番が華麗かつ爽やかに演奏されてお開きとなりました。

今回,小林さんの演奏も素晴らしかったのですが,入善コスモホールも良いホールだと思いました。外見は結構古くなっていましたが,ホールに入るとじっくりとエイジングを重ねたような落ち着きがあり,ピアノの音をじっくりと楽しむことができました。ホールのあちこちには,過去,このホールで演奏したアーティストのサイン入りポスターがずらっと並んでいましたが(OEKも入っていました),ギドン・クレーメル,マリア・ジョアン・ピレシュ,アルバン・ベルク四重奏団....世界トップレベルのアーティストたちが繰り返し演奏会を行っていることに驚きました。ホールの床面は絨毯になっていましたが,何か名演奏家たちの音をしっかりと吸い込んだような風格のあるホールだなと思いました。

ちなみに金沢からだと高速道路で1時間15分ぐらいで付きました(その後,ホールに着くまで迷ってしまったのは計算外でしたが...)。機会があれば是非また来てみたいと思います。

 

« OEK新シーズン開幕に先立ち,岩城宏之メモリアルコンサートへ。竹多倫子さんによるプリマドンナのオーラ全開の素晴らしい歌,尾高惇忠「音の旅」(オーケストラ版)の全曲初演,広上淳一さん指揮による熟練のモーツァルト「リンツ」。新コンビへの期待が大きく広がる演奏会でした | トップページ | OEKの2022/23定期公演シリーズ開幕!そして,広上淳一さんのアーティスティック・リーダー就任記念演奏会。遅めのテンポ設定で,広上さんの掌の上に載ってのびのびと演奏してるような「英雄」。デシャトニコフ版の「ブエノスアイレスの四季」での神尾真由子さんの表現の幅広さ。OEKどら焼きプレゼント,広上さん等身大パネル各種出現!...等々新リーダーの存在感がさらにアップした公演でした。 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

最近のコメント

最近の記事

最近のトラックバック