井上道義さん,来年3月にOEK音楽監督を退任。寂しさ+新時代への期待。そして感謝の気持ちでいっぱいです。その思い出などをまとめてみました #oekjp
来シーズンの定期公演プログラムを見た時,すぐに来年3月の公演が,ハイドンの交響曲「朝」「昼」「晩」になっているのに気づきました。
http://www.orchestra-ensemble-kanazawa.jp/concert/2018/03/401_1.html#more
過去の記録を調べてみると,井上さんがOEKの定期公演を初めて指揮したのは,渡辺暁雄さんの代理で登場した1990年4月の公演。その後,1992年5月の定期公演で,恐らく,井上さん自身によるプログラムで登場しています。その時,最初に演奏したのが,ハイドン/交響曲第6番「朝」でした。その後,「朝」「昼」「晩」を全部取り上げた定期公演も行っていますので,個人的には,井上さんとOEKのつながりの原点にあるプログラムという印象を持っています。
そのプログラムが再登場したということで,「もしかしたら」という思いがありました。
井上さんの指揮に初めて接したのは,上述の,渡辺暁雄さんの代理で登場した時でした(今から思えば,この公演,実現して欲しかったのですね。その後,すぐ渡辺さんは亡くなられてしまいました)。
井上さんが,石川厚生年金会館の下手側から登場した時の印象は,強く印象に残っています。両手を広げ,半分客席の方に体をひねって,とても明るい笑顔で登場されました。その指揮を見た時,なんとしなやかで美しいのだろう,と感激しました。色々な意味(?)で光り輝いている指揮者だと思いました。
最初に演奏したのは,モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークでした。古典派の音楽といえば,「大人しい」「まとまりがよい」という印象を持っていましたが,その指揮の動作同様のしなやかな流動感があり,素晴らしいと思いました。岩城さんの音楽は,質実剛健な感じがあったので,特に華やかに感じました。そして,その印象は現在も同様です。
その後,井上さんが岩城さんの後を継いで,OEKの音楽監督になると決まった時,とても嬉しく思ったことを思い出します。
井上さんの実績といえば,やはりラ・フォル・ジュルネ金沢を誘致したことが大きかったと思います。OEKの存在感を高め,ファン層を大きく広めました。さまざまな,パフォーマンスを含む冒険的な演奏会も印象に残っていますが,色々な言動の中で,常に「若いアーティスト」や「若い聴衆」のことを意識していたのも素晴らしいと思っていました。
というわけで,思い出を振り返るにはまだまだ,早いのですが,非常に寂しい思いがしています。
それにしても,来年の3月は首席チェロ奏者のルドヴィート・カンタさんも定年になられるし,一つの時代に区切りになりますね。
井上さんの場合,数年間の大病から復帰後,以前同様に活動されていますので,音楽監督という立場を離れて,今まで以上に自由な演奏をOEKと聞かせてくれるのではないかと思います。
というわけで,井上さんが,世界からいなくなるわけでないので少々変なのですが,今の気持ちとしては,感謝の気持ちでいっぱいです。
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