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コンサート

2018/08/19

本日は石川県立音楽堂で講談&オペラ「卒塔婆小町」(神田松之丞+田中祐子指揮OEK,家田紀子,小林由樹他)とIMAライジングスター・コンサートをハシゴ

本日は午後から久しぶりに石川県立美術館に出かけ,講談&オペラ「卒塔婆小町」といしかわミュージック・アカデミー(IMA)のライジングスター・コンサートをハシゴしてきました。

石川県立音楽堂の邦楽ホールでは,年1回ぐらいのペースで,「日本人作曲家による室内オペラ」の上演を行っています。昨年は,落語の「死神」と池辺晋一郎さん作曲によるオペラ版「死神」を組み合わせた公演がありましたが,今年は,「卒塔婆小町」がテーマです。

この作品は,もともとは能として作られたものですが,三島由紀夫が「近代能楽集」の1つとして戯曲に翻案したものもあります。今回のオペラも,この三島版に基づいたもので,作曲者は石桁眞禮生です。演奏時間は45分程度ということで,それと組み合わせる形で,前半では,講談師の神田松之丞さんによる,新作講談「卒塔婆小町」が披露されました。

この松之丞さんの講談ですが,オリジナルの能を翻案したものでした。この点については,すべて松之丞さんに「お任せ」になっていたようで,その辺の裏話(1週間前に完成!)が,「アフター・トーク」で披露されました(アフター・トークは,演劇の後に行われることが近年増えているのですが,とても良い企画だと思いました)。

講談を聞く機会は,金沢では非常に少ないのですが,まず松之丞さんの声に惹かれました。マイクは使っていましたが,小さな声の部分でもクリアに染み渡るようにセリフが聞こえました。「講談は,ストーリーを克明に表現するもの」と説明されていましたが,まさにそのとおりでした。スラスラとセリフが連なっていくのを聞くのが心地良かったですね(「男はつらいよ」の寅さんのイメージ)。要所要所で,台をパンパンと叩くのも講談ならではの手法です。これもまた新鮮でした。「ストーリーの流れを作り,盛り上げていく」という点で,オペラに共通する部分もあると思いました。

ストーリーの方は,オリジナルの能に基づいているだけあって,ひんやりとした感触のある深さのようなものを感じました。マクラの部分は,落語を聞くような面白さでしたが,その後は,しっかりと古典を聞いたような充実感が残りました。

後半のオペラの方は,小編成のOEKがピットに入り,かなりしっかりとした大道具のある舞台で演じられました。衣装の方も現代風になったり鹿鳴館風になったり,変化に富んでいました(1回だけの上演にはもったいないぐらい)。全体は1幕構成でしたが,途中,鹿鳴館時代にワープする(この辺の時空を超える辺りが,能と共通する部分ですが)場が入っていましたので,全体は3部構成という感じでした。

音楽の方は,覚えやすいメロディが出てくる感じではなかったので,「現代音楽」風の難解さもありましたが,特に中間の鹿鳴館の場では,ワルツが出てきたり(男女ペアのダンサーも登場していました),小町と詩人の熱い歌が出てきたり,聞き応えがありました。歌手については,この小町(老婆)役の家田紀子さんと詩人役の小林由樹さんを中心に迫力のある声を聞かせてくれました。コンパクトな大きさの邦楽ホールならではの良さだと思います。特に家田さんの方は,最初と最後は老婆役,中間部ではドレスを来た「小町」役ということで,45分の間で,若さと老いと演じ分けており見事でした。

田中祐子さん指揮のOEKは,小編成の割に打楽器と沢山使っていたこともあり,大変ダイナミックで色彩的なサウンドを聞かせてくれました。邦楽ホールでのオペラ上演は,この点でもメリットがあると思います。

「三島作品を通して存在する「命」とそこにつながる「愛と美」を考えさせてくれる」と演出の知久晴美さんは,プログラムに書かれていました。実のところ,なかなかそこまで理解できなかったので,講談の内容と合わせて,今からしっかりと反芻してみようと思います。

アフタートークの中で,講談とオーケストラのコラボのことが半分冗談交じりで語られていましたが,実際,この邦楽ホールに特にぴったりだと思うので,実現することを期待したいと思います。既存のオペラを講談+室内オペラに編曲するというのもありだと思います(「ガル祭」の企画でも良いかも)。

アフタートークの後,今度は交流ホールに移動し,IMAライジングスターコンサートを聞いてきました。このコンサートも毎年恒例です。今年も,IMAで講習を受けている,日本と韓国等の若手演奏家たちの水準の高い演奏を楽しむことができました。

今回登場したのは次の人たちです。
ナキョン・カン,外村理紗,エイミー・M・オ,吉江美桜,ドンヒュン・キム(ヴァイオリン),牟田口遙香(チェロ),ジュヒ・イム(ピアノ)

昨年に続いて登場した方も多かったのですが,技術的には全く問題がなく,安心してその表現を楽しむことができました。特に印象に残ったのは,吉江美桜さんが演奏した,エルンストの「魔王」でした。シューベルトの「魔王」の歌唱部分と伴奏部分を一人で演奏するような凄い曲です。以前にも聞いたことはありますが,ヴァイオリンの作り出す多彩な音を駆使した音のドラマになっていました。

最後に演奏されたショーソンの「詩曲」も,このコンサートによく出てくる曲ですが,次第に熱気を帯びてくるように盛り上がるドンヒュン・キムさんの演奏は迫力十分でした。

IMAについては,あさって火曜日に,講師の先生方による室内楽公演があるので,こちらも聞きに行こうと思います。

2018/07/31

#マルク・ミンコフスキ 指揮OEKの ドビュッシー #ペレアスとメリザンド 公演@石川県立音楽堂。ボルドー直輸入の映像の力が圧倒的。歌手も万全。謎は謎のままだけれども説得力十分の演奏。 #oekjp

9月からオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の芸術監督の就任する,マルク・ミンコフスキさん指揮による,ドビュッシーの歌劇「ペレアスとメリザンド」の公演が石川県立音楽堂コンサートホール行われたので聞いてきました。この公演は,今年1月,ボルドー国立歌劇場で行われた公演を,ほぼそのまま持ってきた公演ということで,ミンコフスキさんの「就任記念」公演に相応しい内容でした。

今回は,「ステージ・オペラ形式」ということで,オーケストラがピットに入るのではなく,ステージに乗ったまま,その周辺で,歌手たちが歌い,演じるというスタイルでした。ボルドー公演の内容は知らないのですが,今回の公演は,映像を大々的に使っていた上,衣装の方は通常のオペラと同様でしたので,通常のオペラを観たのと同様の印象が残りました。「ペレアスとメリザンド」は,メーテルランクの象徴主義文学が原作ということで,具体的な大道具などを使って上演するのは,むしろ変な気がしますので,今回のような,半分抽象的な映像を使った演出は,この作品の性格にぴったりなのではと思いました。

何よりも,ステージ上で演奏することで,オーケストラの音や細かいニュアンスがしっかりと聞こえてくるのが良かったと思います(何と言っても「定期公演」なので)。さすがに長い作品でしたが,映像の力と相俟って,全く退屈することなく,ドビュッシーとメーテルランクの世界を楽しむことができました。

ミンコフスキさん指揮OEKは,冒頭の前奏部分から大変じっくりと演奏していました。映像を使っていたこともあり,場面ごとの切り替えに時間がかからず,音楽の流れも非常にスムーズでした。

スクリーンはステージ奥と,ステージ前(オーケストラの前)の2カ所にありました。前の方のスクリーンは,可動式の半透明(?)なので,オーケストラが透けて見えます。この2つを組み合わせることで,本当に多彩なイメージが広がっていました。映像の色合いは,基本的にモノトーンで,「森」「泉」「城」といった,メーテルランクの原作で象徴されているものが映像として投影されていました。映像の方は,動画になっており,時々揺らぎがあるのが面白い効果を出していました。

そして,公演ポスターのビジュアルにも使われていたとおり,人の顔(特に目の部分)のアップも随所に使われていました。ストーリーの中には,見つめ合うシーンや,覗いたりするシーンがありますが,そのことを象徴していたのかもしれません。

この映像については,音楽と連動して鮮やかに変化する部分もありました。特に印象的だったのは,第2幕第3場,洞窟の中に月明かりが刺すシーンで,音楽の効果と相俟って陶然としてしまいました。ドラマ展開のヤマ場と言っても良い,ゴローがペレアスを刺す場では,映像が赤く変わっていました。ここまでモノトーン中心だったので,非常にドラマティックに感じられました。

メリザンドが塔の上で髪の毛を垂らす場,ペレアスとメリザンドの「愛のシーン」などでは,「長い髪」が見事に映像化されていました。石川県立音楽堂コンサートホールのオルガンステージも効果的に使っており,「このホールにぴったりの演出(少し小林幸子風?)だな」と思いました。

今回の歌手の皆さんも素晴らしい歌を聞かせてくれました。主役のメリザンドとペレアスは,若いイメージの役柄です。特にメリザンドの方は,半分,妖精のようなイメージがあります。キアラ・スケラートさんの声には,瑞々しさの中に落ち着きがあり,安心して楽しむことができました。スタニスラフ・ドゥ・バルベラックさんによるペレアスは,より直線的で,大変瑞々しい声でした。2人とも,これから,どんどん活躍の場を広げていくことでしょう。

ゴローについては,この人が出てくるとドラマが巻き起こる感じで,意外にヴェリズモ・オペラに近いキャラクターなのではと思いました。アレクサンドル・ドゥハメルさんの声は説得力&迫力十分でした。国王アルケルについては,原作を読んだ感じでは,非常に老いたキャラクターだと思っていたのですが,ジェローム・ヴァルニエさんの歌は,どこか知的で,「いいこと言っているなぁ」という感じの賢者という印象を持ちました。その他の歌手たちも,オペラの雰囲気にぴったりだったと思います。

全曲を通じてみると,映像の力で分かりやすくなっていたとはいえ,色々と謎な部分はあります。メリザンドの死因は?その後,ゴローはどうなる?ゴローとペレアスの父はいるのか?...そういった謎を謎のまま残しつつも,音楽の方は安らかな和音で解決しているのが面白いところです。

それにしても,この最後の部分の雰囲気は素晴らしいと思いました。管楽器のデリケートな弱音が続くので,管楽器奏者の皆さんはプレッシャーだったと思いますが,精緻さと温かみが合わさったような音世界は,ミンコフスキさんならではなのかな,と思いました。

というわけで,初「ペレアスとメリザンド」をしっかりと楽しむことはできましたが,やはり,オペラは総合芸術ということで,音楽のウェイトが相対的に下がります。芸術監督就任後については,先日の記者会見で語っていたとおり,オペラ公演に期待する一方で,是非,次回はミンコフスキさん指揮による,古典派の交響曲などをストレートに聞いてみたいものだと思いました。

2018/07/12

今年の #北陸新人登竜門コンサート は,管・弦・打部門。クラリネットの #安田菜々子さん マリンバの #稲瀬祐衣 さん コントラバスの #西田裕貴 さんが #田中祐子 指揮 #OEK と共演。例年以上に華やかさとたくましさのある演奏会で聞いていて元気が出ました #oekjp

恒例の北陸新人登竜門コンサートが石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。ここ数年,5月頃に行われることが多かったのですが,今年は井上道義さんが音楽監督を退任した関係もあるのか,例年より遅く,7月に行われました。

今年は,管・弦・打楽器部門で,クラリネットの安田菜々子さん,マリンバの稲瀬祐衣さん,コントラバスの西田裕貴さんが,ソリストとして登場し,田中祐子指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)と共演しました。指揮者もソリストも全員女性というのは,今回が初めてです。演奏後,登場した独奏者たちに田中さんが,とてもリラックスした雰囲気でインタビューをされたのですが,演奏会全体に「女子会的な華やかさ」があるなぁと思いました。ちなみに公演チラシの方も「カラー」になり,華やかになりましたね。

今回の,「管・弦・打楽器部門」というのは,昨年までとは割り振りが違っています。従来は,「ピアノ部門」「弦楽器部門」「管・弦・声楽部門」でしたが,応募者数のバランスを考えてのことでしょうか。クラリネット,マリンバ,コントラバスと,協奏曲を演奏するには,ややマイナーな楽器ばかりだったのですが,その分,どこか大らかな雰囲気を感じた演奏会でした。

安田さんが演奏した,ウェーバーのクラリネット協奏曲第2番では,まず,田中さん指揮OEKによる堂々とした序奏部から素晴らしかったですね。その上で,安田さんは,伸び伸びとした,思い切りの良い演奏を聞かせてくれました。突き抜けて聞こえてくる高音を聞くだけで演奏に引き込まれました。第2楽章のオペラのアリアのような気分と両端楽章の対比も素晴らしいと思いました。

稲瀬さんの演奏した,コッペルの曲は,この日演奏された曲の中ではいちばん新しい作品でしたが,稲瀬さん自身,この曲を何回かオーケストラと共演された実績があるということで,しっかり手の内に入った演奏になっていました。演奏する姿も堂々としており,見ていて格好良いなと思いました。

稲瀬さんは,インタビューの中で,「マリンバの温かみのある音が好き」とおっしゃっていましたが,その言葉どおり,コンサートホールの中に「木」を叩く,まろやかな音が心地よく広がっていました。曲全体としては,ミステリアスな部分があったり,たっぷり聞かせるカデンツァがあったり,大変変化に富んだ曲で,現代曲にしては,とても聞きやすい作品でした。

この登竜門コンサート(特に打楽器部門)では,コッペルの作品のような,「聞いたこともない作品」が出てくるのも楽しみの一つです。

最後に演奏された,西田さんの独奏による,クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲は,チャイコフスキーのテイストが漂う作品でした。西田さんのコントラバスの音にも,「憂愁のロシア音楽」といったメランコリックな気分がありました。曲の最初に出てくるホルンの音の野性味が,まず素晴らしかったのですが,それを受ける,優しい音が良いなぁと思いました。

この3曲に先だって,田中さん指揮OEKで,モーツァルトの交響曲第25番が演奏されました。この前の「楽都音楽祭」で演奏されなかった曲なので,その補遺ということになります(モーツァルトには珍しく,ホルンが4本も入る曲なので,クーセヴィツキーの曲の編成に合わせて,選ばれた曲かもしれません)。有名な冒頭部から,ビシっと引き締まり,硬い雰囲気を出していました。その後の楽章は速めのテンポで,一気に悲しみが走り抜けるようでした。

今回の登竜門コンサートでは,田中祐子さん指揮OEKによる,「しっかりサポートしますよ。大船に乗った気分で演奏してね」という雰囲気もとても良かったと思います。田中さんによる,インタビューによって,ソリストたちの素顔の一端を知ることができたことにもよると思いますが,3人とも大変たくましい演奏を聞かせてくれたと思いました。みんな頑張っているんだなぁと元気が出てくるような演奏会でした。

2018/07/07

2017/18 OEK定期公演マイスターシリーズのトリは,#アレクサンダー・リープライヒ さんの指揮。メタモルフォーゼンとジークフリト牧歌の対象的な気分に加え,「ベートーヴェンは爆発だ!」といった感じの新鮮な交響曲第1番。室内オーケストラらしい素晴らしい内容でした #oekjp

全国的に梅雨前線による大雨が続く中,2017/2018のOEK定期公演マイスターシリーズのトリとなる,アレクサンダー・リープライヒさん指揮による演奏会を聞いてきました。リープライヒさんは,毎年のようにOEKに客演している,ドイツ出身の「常連」指揮者です。

今回のプログラムは,マイスターシリーズの通しテーマ「ドイツ,音楽の街」にちなみミュンヘンがテーマでした。リープライヒさん自身,ミュンヘンで活躍されていたということがまずポイントになりますが,今回演奏された3曲の中では,特にリヒャルト・シュトラウスの「メタモールフォーゼン」がミュンヘンにちなんだ作品です。それに加えて,ワーグナーの「ジークフリート牧歌」とベートーヴェンの交響曲第1番が演奏されました。

今回の公演は,「協奏曲なし」で,シュトラウスについては弦楽合奏のみ,ワーグナーについては,管楽器が少なめ。さらにトリがベートーヴェンの交響曲第1番ということで,かなり地味目の内容でしたが,その分,室内オーケストラとしてのOEKの本領が発揮された公演だったと思います。

まず,前半に演奏されたメタモルフォーゼンですが,「23の独奏弦楽器のための」とサブタイトルに書かれているとおり,一見、普通の弦楽合奏のように見えながら,実は23人全員が独立したパートを弾くという独特の書法で書かた作品です。今回は,配置も変わっており,正面奥にコントラバス3人,上手側の奥にヴィオラ5人,その前にチェロ5人。下手側にヴァイオリン10人が並ぶというレイアウトでした。チェロ以外は全員立ったままで,「全員がソリスト」的な扱いになっていました。

この編成のとおり,小編成の割に中低音が充実しており,演奏全体にもほの暗い気分が漂っていました。そして,戦争の記憶についての「悲しみ」を秘めた,「滅びの美」のようなものが緻密に描かれていると感じました。途中,音楽がやや明るくなる部分でも,「タタタ・ター」というベートーヴェンの「英雄」の葬送行進曲を思わせるモチーフが執拗に繰り返され,色々な音が飛び交っていました。その立体感が素晴らしいと思いました。実演ならではの面白さでした。最後の部分では,本物の「葬送行進曲」のモチーフが出てきて,荘厳な感じで締めてくれました。確かに,重苦しい作品でしたが,その中に時折,シュトラウスならではの甘さが入り,「ビター&スイート」風味になっていたのも良かったと思いました。

続くワーグナーの「ジークフリート牧歌」の方は,ワーグナーにしては例外的に爽やかな作品です。妻ゴジマへの「朝起きたらびっくり。サプライズ誕生日プレゼント」ということで,冒頭から朝のすがすがしさがあると思いました。前半に演奏された「メタモルフォーゼン」とは対照的な澄んだ世界が広がりました。

この曲をOEKが演奏するのは,意外に少ないのですが,OEKにぴったりの作品です。透明感のあるクールな弦に,ソリスティックに管楽器が彩りを加える感じが最高でした。さらにホルンのソロが加わると,ワーグナーの楽劇の気分がほのかに漂うのも良いですね。最後の方ではトランペットも加わるのですが,他の楽器に溶け合いながらもしっかり聞こえてくる音色が素晴らしいと思いました。

全曲を通じて,平穏な世界をしっとりと描いた「誠実な思い」の籠もったプレゼントになっていたと思いました。

トリに演奏されたのは,ベートーヴェンの交響曲第1番でした。考えてみると,作曲された年代はだんだん古い作品になる並びのプログラム構成でしたが,古い作品ほど,編成が大きいというのが,とても面白いと思いました。そして,このベートーヴェンはトリにふさわしい聞き応えがありました。リープライヒさんの個性が大変よく現れた素晴らしい演奏だったと思います。

第1楽章の冒頭から,音楽全体にしなやかさ,力強さ,勢いがありました。リープライヒさんの指揮は過去何回か聞いてきましたが,常に音楽がビシッと引き締まっており,クールな雰囲気があります。その感じが実に新鮮でした。第3楽章は一応「メヌエット」楽章ですが,スケルツォそのものでした。トリオの部分の木管のハーモニーの部分が大好きなのですが,この部分での美しいレガートも素晴らしいと思いました。

この演奏では,バロックティンパニを使っていました。時折聞かせるその強烈な響きも大変効果的でした。第3楽章の後,その勢いのまま,アタッカで第4楽章に入っいましたが,その最初のティンパニの一撃には驚きました。第1交響曲にして「あっと言わせてやろう」というベートヴェンの気概が伝わってくるような力強さがありました。

全体の響きはクールで硬質だけれども,音楽の底には常に熱いものが流れている。そして時折,思いが爆発する。そういう感じの演奏だったと思います。

アンコールでは,モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲が演奏されました。ベートーヴェンの交響曲第1番に通じる,前向きで,カチッと引き締まった気分があり,この日のアンコールにぴったりだと思いました。

OEKは前日の夜(!)に名古屋公演を行い,その後,移動し,本日の午後に金沢公演を行ったのですが,大雨のせいで移動は大変だったのではないかと思います(楽器の搬送も)。関係者の皆様お疲れ様でした。

2018/06/22

#下野竜也 指揮OEKによるイタリアンな定期公演。#ロッシーニ 4連発は予想以上に多彩。4つの皿が順に出てくるフルコースを満喫。#吉野直子 さん独奏の #ニーノ・ロータ のハープ協奏曲は新たな定番曲かも。ラテン的な気分をしっかり楽しませてくれました。#oekjp

本日は,下野竜也さん指揮によるOEK定期公演フィルハーモニー・シリーズを聞いてきました。下野さんが以前,OEKの定期公演に登場した時,スッペの序曲4曲を後半に並べる意表を突くプログラムだったことがありますが,今回はその「姉妹編」のような形で,後半にロッシーニの序曲4曲が演奏されました。そして,そのロッシーニに合わせる形で,前半にブリテンのマチネ・ミュージックと,吉野直子さんをソリストに迎えて,ニーノ・ロータのハープ協奏曲が演奏されました。前半・後半とも,イタリアにちなんだ一ひねりある曲が並びました。まず,このプログラミングの斬新さが,下野さんの素晴らしいところです。

前半最初に演奏された,ブリテンのマチネ・ミュージカルは,一見,イタリアと関係なさそうですが,実はロッシーニの曲をブリテンがオーケストラ曲にアレンジして,バレエ組曲にしたもので,見事に後半の序曲集と対応していました。ロッシーニの音楽の持つ親しみやすさに,20世紀の音楽らしい鮮やかさが加わり,大変聞き映えのする音楽になっていました。

最初の曲には,ちょっとチープな感じのするトランペットのファンファーレが入るなど,全体にウィットが効いているのも面白いと思いました。20世紀に作られたバレエ組曲ということで,ちょっとショスタコーヴィチのバレエ音楽を思わせるような部分もあったのですが,皮肉な感じはなく,非常に健康的で,素直にオーケストラの音の美しさと凛としたキレの良さを楽しむことができました。

この日の演奏は,どの曲についてもそうだったのですが,下野さんは,OEKからビシッと引き締まったクリアな響きを引き出していました。安心して,ロッシーニの世界に遊ぶことができました。

続くハープ協奏曲の作曲者のニーノ・ロータは,往年の映画音楽の大家として有名な方ですが,実は本人としては,「クラシック音楽の作曲家」の方が本職だと言って欲しかったようです。今回演奏されたハープ協奏曲は,吉野さんの説では「日本初演かもしれない」とのことです。明確なことは言えないようですが,非常に演奏される機会の少ない作品です。

聞いた印象は,どこかロドリーゴのアランフェス協奏曲を思わせる雰囲気があるなぁと思いました。古典的でラテン的な「空気感」が漂う,大変魅力的な作品だと感じました。吉野さんのハープを聞くのは,5月の楽都音楽祭以来です。その時同様,繊細かつ鮮やかな音楽を楽しませてくれました。地中海的なカラッとした感じにミステリアスな気分が加わる第1楽章,寂しさと幻想的な美しさが交錯するような第2楽章。そして,品の良い躍動感のある第3楽章。各楽章,それぞれ楽しむことができました。

そして,吉野さんのハープの音を聞いているうちに,どこか現実離れした世界に運ばれたような感覚になりました。時間の流れ方が違う,澄んだ世界に浸ることができました。最終楽章は,最後の音がパタっと止むように終わるのですが,時の流れがパタっと止んだような不思議な寂寥感を感じました。

その後,アンコールでロータの映画音楽の名曲,「ゴッド・ファーザー」愛のテーマが,ハープ独奏で演奏されました。サイン会の時,吉野さんにお尋ねしたところ,ニーノ・ロータ自身によるハープ用のアレンジとのことでしたが,この曲のメロディの美しさに加え,どこかニヒルで虚無的なムードも漂っていました。

というわけで,ロータのハープ曲は,これから「定番曲」として,レパートリーに定着していって欲しいなと思いました。

後半は,ロッシーニの序曲が4曲演奏されました。最初プログラムを見たときは,「4つをまとめて,4楽章の交響曲のように聞かせる趣向かな?」と予想していたのですが,下野さんは,1曲演奏するたびに,袖に引っ込み,さらに各曲ごとに楽器編成が違っていましたので,「4皿からなるロッシーニ・フルコースを満喫」といった気分になりました。

正直なところ,ロッシーニの序曲で,「ウィリアム・テル」「セビリアの理髪師」「泥棒かささぎ」以外については,区別がつかなかったのですが(今回,この3曲を見事に抜かしていたのも下野さんらしい選曲だったと思います),楽器編成からして全然違うのが面白いと思いました。CDで聞くよりは,ずっと楽しめると思いました。

「シンデレラ」と「絹のはしご」には,打楽器は全く入らず,「アルジェのイタリア女」では,トルコ風の鳴り物とピッコロが活躍。そして,「セミラーミデ」では,トロンボーン3,ホルン4となり,ちょっとした交響曲を思わせるようなスケールの大きな響き。そして,全曲を通じて,前半のマチネー・ミュージカル同様の,メリハリの効いた引き締まったを楽しむことができました。

ロッシーニの序曲は,大まかにいうと,序奏部の後,木管楽器が大活躍する主部になり,最後はロッシーニ・クレシェンドで締め,というパターンなのですが,このパターンにも色々なバリエーションがあるのが面白いと思いました。そしてOEKの木管楽器メンバーの鮮やかな演奏が素晴らしかったですね。特に加納さんのオーボエ,松木さんのフルート(ピッコロ)が大活躍でした。「絹のはしご」の冒頭のヴァオリンの響きの瑞々しさ(この日もコンサートマスターは水谷晃さんでした),「セミラーミデ」での,たっぷりと歌ったホルンも素晴らしいと思いました。

何より「ロッシーニ・クレッシェンド」を4連発(正確にいうと,1曲の中に2回ずつぐらい出てくるので,8連発かもしれません)で聞くと,「癖になってしまう」ようなところがあります。終演後,頭の中でずっとクレッシェンドが続いているようなワクワク感が後に残りました。

やっぱり下野竜也さんの作る音楽は,最高と再認識した定期演奏会でした。

2018/06/12

#川瀬賢太郎 指揮OEK小松定期の方は,珍しくチャイコフスキー:交響曲第5番がメイン。スコアが見えるような解像度の高さ!さすがOEKという演奏。#平野加奈 さんとのピアノ協奏曲第1番も大変鮮やか。帰宅途中,チャイ5の後のゴーゴーカレーで締め #oekjp

先週土曜日に,川瀬賢太郎さん指揮OEKによる,シューマンの「ライン」と武満徹の「系図」を中心とした素晴らしい定期公演を聞いたばかりでしたが,本日はOEKが単独で演奏する機会は非常に少ない,チャイコフスキーの大曲2曲を演奏する小松定期公演が行われたので,車で小松まで出かけて聞いて来ました。

OEK単独といっても,弦楽器の方は各パート2名ずつぐらい増員し,金管楽器も増強していましたので,この日のOEKは,合計60名ぐらいの編成になっていました。通常の1.5倍の人数ということで,OEK+といったところでしょうか。この編成によるチャイコフスキーですが,こまつ芸術劇場うらら大ホールの音響が,かなりデッドだったこともあり,各楽器の音が非常にクリアに聞こえてくるのが特徴でした。60名のオーケストラとなると,音がダイレクトに聞こえすぎて,少々疲れる部分もあったのですが,その分,OEKのアンサンブルのすばらしさを再認識することができました。

もちろん川瀬さんの音楽づくりの精緻さにもよると思いますが,各楽器の音の動きやニュアンスの変化が非常に鮮やかに分かり,スコアが見えるような演奏というのは,今回のような演奏なのではと思いました(想像で書いているのですが...)。交響曲第5番はもともと聞き所満載の作品ですが,その魅力が細部に渡るまで鮮やかに伝わってきました。

川瀬さんのテンポ設定は,土曜日の金沢での定期公演の時同様,あわてたようなところはありませんでした。時にはしっかりと間をとって,スケールの音楽を聞かせてくれました。そして,各楽章のクライマックスでは緊張感と高揚感を感じさせてくれました。その一方,全曲のクライマックスの第4楽章では,非常に流れの良い,推進力のある音楽を聞かせてくれました。コーダの部分での輝きと品格のある金管楽器の音も素晴らしいと思いました。

それにしても,今回の演奏では,色々な音が聞こえてきました。第1楽章の最後の部分のファゴットの音が非常に不気味に聞こえたり,第2楽章のホルン独奏のヴィブラートがクリアに聞こえたり,第4楽章主部に入ったところで,ホルンがタンギングのような感じで細かい音を吹く部分がとてもクリアに聞こたり,その後に続く,木管楽器の合奏で流れるようなメロディを演奏する部分がはっきり聞こえたり(最近,こういう部分が好きなのです)...どこをとっても臨場感たっぷりでした。

チャイコフスキーの交響曲第5番は何度聞いても楽しめる曲ですが,今回の演奏は,いつもとは違った部分に光を当ててくれたような,素晴らしい演奏だったと思います。

前半では,金沢出身のピアニスト,平野加奈さんとの共演でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が演奏されました。こちらも立派な演奏でした。平野さんがこの曲を演奏するのは,昨年末に金沢で行われた,ロシアの交響楽団との共演以来のことだと思いますが,この難曲に正攻法で取り組んだ,渾身の迫力が伝わってくるような演奏だったと思います。両手のオクターブで速い動きが続く部分などは,とても華やかでしたが,軽薄な感じになることはなく,曲全体としての立派さを感じさせてくれるような演奏だったと思います。

平野さんについては,石川県立音楽堂ができて間もない頃の,石川県新人登竜門コンサートに出演して以来(まだ中学生だったはずです),注目していたのですが,その後,次第に活躍の場を広げ,ついにはチャイコフスキーのピアノ協奏曲でOEKと再共演するようになりました。このことに感慨深さのようなものを感じています。こういう長いスパンに渡っての成長を見守ることができるのも,音楽を聞き続けることの喜びの一つだと思います。

というわけで,川瀬×OEKシリーズ第2弾も大変充実した内容でした。ツイッターの情報によると,川瀬さんは金沢カレーのゴーゴーカレーが大好きとのこと。これにちなんで,私も金沢に戻る途中,(すでに夜10時を過ぎていましたが)ゴーゴー・カレーを食べてしまいました。チャイ5の後に55ということで,妙に良い感じで元気が出ました。

2018/06/09

#川瀬賢太郎 指揮OEK定期公演 しっかり設計された見事な構成+熱気を持った「ライン」 #谷花音 さんのナレーション付きの #武満徹 #系図 は理想の名演では? ウルッと来ました #oekjp

9月からOEKの常任客演指揮者に就任する川瀬賢太郎さん指揮のOEK定期公演マイスターシリーズが行われたので聞いてきました。前回,川瀬さんがOEKを指揮した時は,現代曲中心のプログラムだったのですが(井上道義前音楽監督からのミッションだったとプレトークの中で紹介されていました),今回は,「いちばん好きなシューマンの「ライン」を持ってきた」とのことです。というわけで,9月の就任に向けての期待をさらに膨らませてくれるような演奏を聞かせてくれました。

その一方で,川瀬さんにとっては,「OEK=岩城さん時代から日本人現代作曲家を積極的に取り上げているオーケストラ」というイメージも持っており,その路線を踏まえて,前半は武満徹の後期の作品が2曲演奏されました。考えてみると,岩城宏之さんが亡くなられたのは,丁度6月の今頃でしたので,岩城さんに捧げる演奏にもなっていたと感じました。

最初に演奏された「波の盆」は,武満さんの曲の中でも特に美しい曲といわれている曲です。この曲はもともとはテレビドラマ用の音楽で,OEKもその主題歌(?)の部分をCD録音していますが,今回演奏されたのは,それよりはかなり長いもので,ドラマの色々な場面の音楽をつなげたような構成になっていました(プログラムに書かれていた演奏会用組曲版だったのかもしれません。この辺は,やや不明確でした)。

最初の一音から,「後期タケミツ・トーン」満載といった感じで,キラキラとした光としっとりとした音の流れとが,マイルドに解け合っていました。ゲストコンサートマスターの水谷晃さんを中心に,よく練られたサウンドを堪能できました。

続く,「系図」の方は,谷花音さんのナレーション付きで演奏されました。もともとはかなり大きな編成用の作品ということで,今回は,岩城さんがOEK用に編曲した「門外不出版」で演奏されました。プログラムにも,「ご遺族のご許可をいただき演奏」というコメントが付けられていました。

さてこの演奏ですが...谷花音さんのナレーションにすっかり参りました。武満さんも岩城さんも草葉の陰で涙を流しているのでは...と思わせるほど,パーフェクトな語りと雰囲気だったと思います。谷さんは,今14歳。水色のシンプルなワンピースで登場すると,何かそれだけで,「系図」の世界に空気が変わりました。

小柄な方だったので,もう少し幼く見えたのですが,コンサートホールのお客さんを前に,全く臆することなく,かといって,舞台慣れし過ぎている感じもなく,14歳の谷さんにできる最良の語りを聞かせてくれたと思いました。曖昧さがなくクリアで,どの言葉もはっっきりと耳に届きました。

谷さんは,子役として既に芸能界のキャリアを積んでいますので,プロの仕事として「少女役」を演じていたのだと思いますが,曲の雰囲気に本当にぴったりで,演じているか素のままなのか分からないような自然さがありました。

曲が始まり,最晩年の武満さんの音楽が聞こえてきただけで,胸に迫るものがありましたたが,「むかし,むかし」と谷さんのナレーションが始まると,これだけで,ウルッとなってしまいました。この曲を実演で聞くのは2回目ですが(1回目は岩城さん指揮OEK+吉行和子さんのナレーションによる,昔話風の味わいのある演奏),今回は全てに新鮮さを感じました。

最初,ホルンがくっきりと演奏するフレーズが,その後,フルートなどにたびたび出てくるのですが,こういった音楽が,「系図」の世界で描いている「家族崩壊」的な内容を優しく包み込んでいるんだな,と感じました,スチールドラムの演奏するモチーフも度々出てきましたが,こちらはちょっと不安げな気分を盛り上げているように思えました。

谷川俊太郎さんの詩には,「テレビではNG」的な言葉(漢字ドリルにもなっていますが...)が2カ所ほど出てくるので,個人的には,聞いていて少々恥ずかしい部分があるかなと思っていたのですが,谷さんのナレーションは,「表現読み」的なしつこさがなく,サラリとクリアしていました。

曲は「おじいちゃん」「おばあちゃん」「おとうさん」「おかあさん」と続きますが,何と言っても「おかあさん」の部分が泣かせます。最近,何とも言いようのない幼児虐待のニュースがありました。どうしてもそういうものと重ねてしまいたくなります。この部分の音楽と詩を聞きながら,子どもの言葉の純粋さ(または,純粋さの残っている子どもの言葉)の根源的な強さのようなものを感じました。

そして,最後の「とおく」。この部分で初めて,海の匂いを感じさせるようなアコーディオンの音がしっかりと登場します。何となく武満さんの音楽のルーツのように思える部分です。この透明感のある響きで,すべてが昇華されたように感じさせてくれます。

今回の演奏は,もしかしたら「2018年の今」でないと実現できない演奏だったのかもしれません。是非,谷さんには,将来いつかこの日の演奏会のことなどを思い出して欲しいものです。

後半演奏されたシューマンの「ライン」は,上述のとおり,川瀬さんの大好きな曲ということで,万全の演奏だったと思います。川瀬さんは「若手指揮者」だと思いますが,曲全体の設計をしっかりと構築した上で,エネルギーを要所要所で発散させるような老練さのようなものも感じました。お見事という演奏だったと思います。

第1楽章は,ゆったりとふんわりとした雰囲気で始まりました。強いアタックで始まるかなと予想していたので,「おっ」と思いましたが,何ともスケールの大きなラインの流れが始まりでした。その一方,力強く引き締めるような部分もあり,弛緩した感じはしませんでした。

その後の楽章も慌てすぎることなく,ラインの風景を楽しむような余裕のある,ニュアンス豊かな音楽が続きました。

第4楽章の「ケルンの大聖堂」の部分では,冒頭のトロンボーンを中心とした響きをはじめ,渋さと壮麗さの同居した音楽を楽しむことができました。先週,音楽堂のパイプオルガンの演奏を聞いたばかりだったので,この楽章をパイプオルガンで演奏しても面白いかもと想像しながら聞いてしまいました。各声部に次々とメロディが受け渡されていくような立体感を感じました。

最終楽章もじっくりとした雰囲気で始まりましたが,最後の部分でしっかりエネルギーを解放していました。川瀬さんは,広上淳一さんのお弟子さんということになりますが,今回の指揮振りをみて,しっかりとエネルギーをため込んだあと,ここぞというとき強く発散させる辺りに共通する部分があるのではと思いました。また音楽全体に漂う「格好良さ」は,井上道義さんに通じる部分があるなと思いました。

というわけで,川瀬さんへの期待がますます高まった公演でした。川瀬さんは,6月12日に小松市でチャイコフスキーの交響曲第5番なども指揮されますが(OEKが単独で演奏するのは大変珍しい曲です),是非,こちらも聞きに行ってみようと思います。

2018/05/17

#池辺晋一郎 が選ぶクラシック・ベスト100 第4回  #小林沙羅 さんの歌を加え,#田中祐子 指揮OEKを中心に,色々な編成でフランス音楽を多彩に楽しませてくれました。平日の夜にぴったりかも #oekjp

OEKのファンタスティック・オーケストラコンサートシリーズで定期的に行われている「池辺晋一郎が選ぶクラシック・ベスト100」の第4回目が行われたので,聞いてきました。

この「ベスト100」シリーズは,毎回テーマを決めて,池辺さんが選ぶ「聴き所たっぷりの20曲」を演奏するというものです。今回のテーマはフランス音楽でした。このシリーズについては,池辺さん自身が「(全曲を演奏しない曲もあるので)欲求不満コンサートです」と語っていたとおり,「少々中途半端かな?」と思い,これまでは聞きに行かなかったのですが,今回初めて聞きに行ってみて,むしろ「通常のコンサートにはない豪華さがある」と感じました。

OEKは室内オーケストラなので,大編成の曲を演奏するのは(予算的に?)難しいのですが,それを逆手に取るように,室内楽曲が出てきたり,ピアノ伴奏の歌曲が出てきたり,バロック音楽があったり近代の曲があったり...大変変化に富んだ編成になっていました。交響曲が少ないフランス音楽の世界にぴったりの選曲だったように思いました。

聞く前は,「どの曲も途中で終わるのだろう」と予想していたのですが,大半の曲はしっかりと全曲を演奏していたと思います。例えば,10分近く掛かる,ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲など,OEKが滅多に演奏しない曲もしっかり全曲を演奏してくれたのも嬉しかったですね。この曲は,私がクラシック音楽を聞き始めた最初期の小学校高学年の頃に聞いた思い出の曲です。田中祐子さん指揮のキビキビとした気持ちよい指揮で爽快に楽しませてくれました。

ちなみにこの曲の打楽器なのですが,タンバリンが2人居たように見えました。これが沸き立つ躍動感のスパイスになっているんだなぁと実演を見て気づきました。

ソリストとして登場した,ソプラノの小林沙羅さんは,金沢ではすっかりお馴染みの歌手です。私自身,密かに(別に隠す必要はありませんが)応援している歌手の一人ですが,今回,聞きに行ったのも「小林さん目当て」の部分がかなりありました。小林さんは,予想以上に出番が多く,嬉しくなりました。その瑞々しさと華やかさを兼ね備えた歌をしっかり楽しむことができました。

小林さんが歌った曲は,グノーの歌劇「ファウスト」の中の「宝石の歌」(これも一度実現で聞きたかった曲でした),グノーの歌劇「ロメオとジュリエット」の中の「私は夢に生きたい」。さらに松井晃子さんのピアノ伴奏でデュパルクの「旅への誘い」,アーンの「妙なる時」,フォーレの「夢のあとに」,サティの「ジュ・トゥ・ヴ」が歌われました。まさに,フランス名歌曲集といった趣きがあり,この部分を聞いただけでも来た甲斐があったと思いました。

アーンの「妙なる時」だけは,全く聞いたことのない曲だったのですが,池辺さん自身の思い出の作品&お薦めの作品とのことでした。その言葉どおりの愛すべき作品でした。こういった曲に巡り会えたのも大きな収穫でした。

オーケストラ演奏の合間に,室内楽曲がかなり沢山演奏されていたのも特徴でした。今回は,ゲストコンサートマスターとして松浦奈々さんが参加していましたが,松浦さんを中心としたメンバーで,フランクのヴァイオリン・ソナタの一部,ドビュッシー&ラヴェルの弦楽四重奏の一部などが変奏されました。室内楽曲については,あえて完結感を無くし,「途中で終わりましたよー」という感じで終わっていたのも面白かったですね。池辺さんのお話だと,「もっと聞きたいと思わせる作戦」とのことでした。

室内楽編成の曲では,OEKの管楽メンバー5人+田島睦子さんのピアノで演奏された,「クープランの墓」のリゴードンが素晴らしい演奏でした。フランスの有名な管楽アンサンブルに「レ・ヴァン・フランセ」というアンサンブルがありますが,それと同じ編成だと思います。OEKの室内楽シリーズでも聞いた記憶はありますが,この編成で,また色々な曲を聴いてみたいものだと思いました。

OEKの演奏した曲では,池辺さんが語っていたとおり,フルートとハープが大活躍する作品が印象的でした。列挙すると,ビゼー「アルルの女」組曲第2番のメヌエット,ドビュッシー「小組曲」の「小舟にて」,フォーレの「ペレアスとメリザンド」のシシリエンヌという具合で,フルート音楽のファンには堪えられない,フルート名曲集になっていました。OEKの松木さんの,プリマドンナを思わせる豊かさのある演奏もお見事でした。

最後はドリーブのバレエ音楽「コッペリア」の中のマズルカが力強く演奏されてお開きと成りました。

全部で20曲も演奏したのですが,落ち着きのない細切れ感がなく,むしろ,大変じっくりとフランス音楽を楽しむことができました。一曲ごとが短く,疲労感も少なかったので,平日の夜に楽しむのにもぴったりだったと思います。

このシリーズ,食わず嫌い(?)でこれまで参加してこなかったのですが,個人的にはどなたにもお薦めできる内容だったと思います。楽器編成がコロコロ代わるので,演奏者の椅子のセッティングの変更がものすごく多いなど,裏方の仕事は大変だったと思いますが(恐らく,楽譜を揃えるのも大変だし,リハーサルも大変だったのではないかと思います),その労力に見合うだけの,楽しくて聞き応えのあるコンサートになっていたと思います。あと1回ありますので(テーマは...忘れました),是非聞きに行ってみたいと思います。

2018/03/31

3月31日はミミにいちばん! 石川県立音楽堂で行われた #オーケストラの日 コンサートはOEKに加え,石川県ジュニア・オーケストラ,OEKエンジェルコーラス,いしかわ子ども邦楽アンサンブルが登場した春休みオーケストラ入門企画 #ガルちゃん #ひゃくまんさんも登場 #oekjp

3月31日は「オーケストラの日」ということで,全国的に色々な演奏会が行われています。金沢では,OEKに加え,石川県ジュニア・オーケストラ,OEKエンジェルコーラス,いしかわ子ども邦楽アンサンブルが登場し,春休みオーケストラ入門といった感じの親子で気軽に楽しめる演奏会が行われました。楽都音楽祭の宣伝を兼ねて,PRキャラクターのガルちゃん,さらには石川県のキャラクター,ひゃくまんさんも登場し,会場には和やかな雰囲気がありました。

まず,いしかわ子ども邦楽アンサンブルによって,箏曲と長唄が演奏されました。箏の合奏による,ゆったりとした優雅さ,声と鳴り物が加わっての活気のある盛り上がり。滅多に邦楽器を聞くことがないのですが,たまに聞くと気分が落ち着きますね。

その後はオーケストラを中心としたステージとなりました。鈴木織衛さん指揮OEKで,おなじみの「フィガロの結婚」序曲がきっちりと演奏された後,「みんなで挑戦!オーケストラ・クイズ」コーナーになりました。この日は,オーケストラの演奏会と邦楽器を啓蒙する冊子が配布されたのですが,それに関した質問などが5問出されました。お客さんには,AとBという文字が両面に大きく印刷されたA4サイズの紙が配布されており,それを上げて回答するという手順です。オーケストラメンバーも参加していましたが,こういうのは楽しいですね。

問題の中では「アイネ・クライネ・ナハトムジークは,A 朝の音楽,B 夜の音楽」というのが,結構意外だったようですね。確かに第1楽章を聞いた感じAかもしれません。「正解はBです!」「エー(A)」というようなリアクションでした。

クイズの最後の問題が「トルコ」でしたので,その流れでモーツァルトの「後宮からの逃走」序曲が,軽快かつエキゾティックに演奏された後,OEKエンジェルコーラスが加わって,同じモーツァルトの「アレルヤ」と「パパパの二重唱」が演奏されました。青島広志さん編曲の合唱曲の抜粋で,気持ちよく楽しませてくれました。

その後,石川県ジュニア・オーケストラのメンバーとOEKの合同演奏で,モーツァルトの交響曲第40番の第1楽章が演奏されました。この前の日曜日にジュニア・オーケストラの単独で演奏されたばかりの曲でしたが,プロのオーケストラとの共演とういうのは,子供たちにとっても,とても良い経験になったと思います。

最後は,全員で「ビリーブ」が演奏されました。お客さんも含め全員で合唱しておしまいというのは,定番ですね。

アンコールでは,こちらも定番曲の「ラデツキー行進曲」が演奏されました。司会の方の説明によると,「楽都音楽祭での企画用に使うためにVRカメラで撮影させていただきます」とのことでした。指揮をするゲームアプリのようなものを作るのでしょうか?ちょっと見てみたい気がします。

春休み中の土曜日の午後ということで,お客さんは親子連れが沢山いました。開演前,ホワイエでは,楽器体験コーナーも賑わっていました。本日のお客さんの中から,未来のOEKファンが出てきて欲しいですね。

2018/03/24

OEK2018-2019定期公演ラインナップ発表。#川瀬賢太郎,#ユベール・スダーン も本格始動。#鈴木雅明,#ムストネン,#ブラッハー など初登場指揮者も続々登場 #oekjo

OEKの2018-2019定期公演ラインナップが郵送されてきましたので,概要をご紹介しましょう。

■定期公演フィルハーモニーシリーズ
9月20日(木)19:00- 川瀬賢太郎指揮,小山実稚恵(ピアノ)
パーマネント・ゲスト・コンダクターになる川瀬賢太郎さん指揮によるベートーヴェンの交響曲第5番を中心としたストレートなプログラムで開幕

11月1日(木)19:00- 鈴木雅明指揮,RIAS室内合唱団 他
日本の古楽界を代表する指揮者,鈴木雅明さんがOEKに初登場。モーツァルトの40番に加え,メンデルスゾーンの声楽曲も演奏

11月29日(木)19:00- オリ・ムストネン指揮・ピアノ
OEK恒例の弾き振りシリーズ。今年度はオリ・ムストネンさんが登場。シベリウスなど北欧の音楽中心

1月12日(土)14:00- フォルクハルト・シュトイデ(リーダー・ヴァイオリン)
ニューイヤーコンサートは2018年に続いて,シュトイデさんの弾き振りによるシュトラウス・ファミリーの音楽

2月16日(土)14:00- 川瀬賢太郎指揮,藤村実穂子(メゾ・ソプラノ),半田美和子(ソプラノ)
日本を代表するメゾ・ソプラノ,藤村実穂子さんによるヴェーゼンドンク歌曲集。後半はメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」

3月27日(水)19:00- ユベール・スダーン指揮,リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
プリンシパル・ゲストコンダクターとなるユベール・スダーンさんによるベート-ヴェン
「英雄」。リーズ・ドゥ・ラ・サールさんは久しぶりの登場

6月20日(木)19:00- コリヤ・ブラッハ-(リーダー・ヴァイオリン)
元ベルリン・フィルのコンサートマスター,ブラッハーさんがOEK初登場。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の弾き振りというのはかなり珍しいかも。

7月18日(木)19:00- パトリック・ハーン指揮,辻井伸行(ピアノ)
シリーズの最後は人気ピアニストの辻井さんが登場。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番を演奏

■マイスター・シリーズ
10月13日(土) 14:00-ユベール・スダーン指揮,堀米ゆず子(ヴァイオリン)
スダーンさんとOEKの共演は昨年のガル祭以来。ハイドンの「太鼓連打」を演奏。堀米さんとOEKの共演は...岩城さん時代以来ですね。

1月26日(土)14:00- ポール・エマニュエル・トーマス指揮,松田華音(ピアノ)
若手ピアニスト,松田華音さんとOEK初共演は,ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調

3月9日(土)14:00- エンリコ・オノフリ指揮・ヴァイオリン
すっかりおなじみとなったオノフリさん指揮OEK。今回はハイドンのヴァイオリ協奏曲,モーツァルトの25番など。

6月8日(土)14:00- ピエール・ドゥモソー指揮
詳細は発表されていませんが,ルーセルのバレエ音楽「くもの饗宴」が演奏されます

7月6日(土)14:00- マルク・ミンコフスキ指揮
そしてマイスターの最後にミンコフスキさん登場。曲目は調整中とのことです。

■ファンタスティック・オーケストラ・コンサート
12月14日(金)19:00- 青島広志作曲 オペラ「黒蜥蜴」 沖澤のどか指揮
江戸川乱歩原作,三島由紀夫 による怪しくも魅力的な作品。関連の企画もあるようです。

2月3日(日)14:00- The殺陣 松木史雄(振付・演出),角田鋼亮指揮
タイトルだけではどういう内容か分からないのですが...音楽に合わせてチャンバラということになるのでしょうか?剣の舞ですね。

4月13日(土)14:00- 池辺晋一郎が選ぶクラシック・ベスト100 
今回は作曲家でくくられていないようですね。池辺さんの案内+松井慶太さん指揮です。

6月30日(日)14:00- OEKポップス さだまさし
渡辺俊幸さん指揮OEKと さだまさしさんが共演

以下,画像でも紹介します。

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