OEKのCD

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コンサート(OEK以外)

2018/05/31

#富田一樹 オルガン・リサイタル #石川県立音楽堂 のパイプオルガンをしっかりと鳴らした王道を行くようなバッハ演奏。プログラム全体として,統一感と多彩さを同時に楽しむことができました

富田一樹さんのオルガン・リサイタルが,石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。富田さんは,2016年のライプツィヒ・バッハ国際コンクールで優勝した方ということで,今回のプログラムも「ほとんどバッハ」というプログラムでした。

プログラムの構成としては,「前奏曲とフーガ」「トッカータ,アダージョとフーガ」「パッサカリア」などの重量感のある曲の間に,コラールなどの穏やかな感じの曲を配する絶妙の配置になっていました。前半後半とも,いかにもオルガン曲らしい,輝きと重厚さと力強さを持った曲の間に,1曲ごとに音色が変化する,柔らかな雰囲気を持った曲が挟まれていました。「トッカータとフーガ」「小フーガ」といった,超名曲が入っていなかったのも良かったと思います。プログラム全体として,統一感と多彩さを同時に伝えてくれました。

演奏された曲の中では,前半の最後に演奏された「トッカータ,アダージョとフーガ」と,後半の最後に演奏された「パッサカリア」が特に強く印象に残りました。

「トッカータ...」は3楽章からなるイタリア風の協奏曲の形式の曲でした。トッカータでのペダルだけによる迫力の演奏の後の,気力が充実した勢いのある音楽。アダージョの部分での少し甘さを持った静かな雰囲気。フーガの部分の輝かしさなど,変化に富んだ音楽を楽しむことができました。

「パッサカリア」の方は,この日演奏された曲の中でいちばん重量感のある曲で,荘厳な美しさ,日常とは別世界のような巨大な建築物に入ったような雰囲気を味わうことができました。いちばん最後の音はとても長く伸ばしており,演奏会全体を締めてくれました。

バッハ以外のブクステフーデ,パッヘルベル,シェイデマンの曲も,それぞれに特徴的で,演奏会全体の中でアクセントになっていると思いました。

これまであまり馴染んでこなかった,オルガンによるコラールも味わい深いと思いました。日常的には,寝る前などに聞いてみると,敬虔な気分で熟睡できそうな感じがしました。

石川県立音楽堂コンサートホールでのパイプオルガンだけでのリサイタルというのは,久しぶりの気がします。今回,富田一樹さんによる,王道を行くようなバッハ演奏を聞いて,年数回は,こういう演奏会に来て,気分を引き締めるのも良いかなと思いました。

2018/05/26

OEKオーボエ奏者 #加納律子 さんの初リサイタル。バロック音楽って良いものですねー。加納さんの金沢での20年が凝縮された,素晴らしい公演でした。#oekjp

オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のオーボエ奏者,加納律子さんのリサイタルが金沢市アートホールで行われたので聴いて来ました。加納さんは,OEKに入団して20年とのことです(早いものです)。今回は,それを記念しての初リサイタルということになります。

初リサイタルというのは意外だったのですが,その分,加納さんが演奏したいと思っているバロック音楽を集めてのプログラムとなりました。OEKファンとしては聞き逃せきません。今回配布されたプログラムの解説(とても分かりやすく,充実した内容でした)に書かれていたとおり,バロック音楽は,もともとバロック時代のオーボエを想定して書かれています。現代のオーボエは高性能であると同時に,演奏するのに非常にエネルギーが必要ということで,現代の楽器でバロック音楽を演奏することは,見た目以上に重労働のようです。

しかし,今回の加納さんの演奏は,そういう「大変さ」を感じさせることはなく,通奏低音のメンバーやOEKのフルート奏者の松木さやさんと共に,晴れやかで鮮やかなバロック音楽の世界を楽しませてくれました。

今回演奏された曲は,ヘンデルのオーボエ・ソナタ第3番へ長調,ヴィヴァルディのオーボエ・ソナタ ハ短調,C.P.E.バッハのトリオソナタ ニ長調,Wq.151,クープランのコンセール(新コンセール)第6番,J.S.バッハのオーボエ・ソナタ ト短調,BWV.1030bということで,一般的には知られていない曲ばかりでしたが,小ホールで聴くオーボエを中心とした室内楽は大変聴き応えがあり,存分に楽しむことができました。加納さんのオーボエの音は,OEKの中で聴いている時同様,真っ直ぐで,力のある気持ちの良い音でした。

最初のヘンデルのソナタは,メヌエットで終わる変わった構成の曲でしたが,上品な華やかさのある世界を楽しませてくれました。

ヴィヴァルディの曲は,全体にほの暗い歌に溢れていると同時に,技巧的な作品でした。最終楽章など,息継ぎをしているのかな?というぐらい吹きっぱなしでしたが,加納さんの演奏は余裕たっぷりでした。今回の通奏低音は,チェンバロの辰巳美納子とチェロ(エンドピンのないチェロでした)の懸田貴嗣さんが担当していましたが,どの曲でも,その安心感のあるベースの上に,加納さんがしっかりとコントロールされながらも,迫力たっぷりの音を聴かせてくれました。

前半最後のC.P.E.バッハの曲は,古典派に一歩近づいているだけあって,今回演奏された曲の中で,いちばん聞きやすい作品でした。そして,この曲では松木さんのフルートもお見事でした。加納さんの「妹分」という感じで,ぴったりと息の合った,「極上のハモリ」を聴かせてくれました。演奏後の加納さんのトークで,「実は,今日が私とさやちゃんの誕生日」という秘密(?)が披露されましたが,相性の良さの理由はここに合ったか,と妙に納得してしまいました。

後半はクープランのコンセール第6番が演奏されました。プログラムの解説を読んで,第4曲「悪魔のエール」というのが気になったのですが...「どこが悪魔?」という感じでした。曲の方は,ヘンデル,ヴィヴァルディとまたひと味違った,軽やかな明るさのようなものがあり,フランス王宮の雰囲気(と想像しているだけですが)に浸ることができました。

そして,最後は「やっぱり締めはJ.S.バッハ」という感じで,チェンバロとの組み合わせでソナタが演奏されました。元々はフルート・ソナタで,こちらのバージョンでは聴いたことのある曲でしたが,「まさに名品」という感じの,充実感がありました。フルート版とはまた違ったつややかさがある一方,チェンバロの辰巳さんと一体となって,対位法的な音の絡み合いを楽しませてくれました。

今回,加納さんは,地元の作家・安井美星さんのデザインした,和風テイストのある美しいドレスで演奏しました。こういう取り組みも素晴らしいと思います。演奏後,加納さんは「金沢に来て20年」の感謝の言葉をお客さんに伝えていましたが,今日の会場には,加納さんを応援しようお客さんが大勢集まっていました。加納さんの真摯にオーボエを演奏する姿が,しっかりと金沢のお客さんにも受け止められているのだと思います。

加納さんにとっては,今回が初めてのリサイタルとのことでしたが,これを機会に第2回,第3回...と続けて欲しいと思います。この日はOEKメンバーの姿を客席で見かけましたが,OEKの木管楽器メンバー総出演の演奏会があっても面白そうだと思いました。

2018/04/29

風と緑の楽都音楽祭2018開幕。#石川県立音楽堂 では #横山幸雄 #森麻季 などスターの揃ったオープニング・コンサート。#三戸大久 さんの素晴らしい声と #ヘンリク・シェーファー 指揮 OEKの新鮮な響きは春の雰囲気にぴったり  #ガル祭

今年で2回目となる,いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭が開幕しました。ラ・フォル・ジュルネ金沢の頃から,この日はほとんど毎年晴れていた印象があるのですが,今年も大変気持ちの良い,少々暑いぐらいの好天になりました。

今年は開幕ファンファーレには行かず,午後のオープニング・コンサートから参加しました。演奏会の前に,前田家の当主で音楽祭の実行委員長である利祐氏,谷本石川県知事,山野金沢市長のあいさつが入るのもすっかり恒例です。

オープニングコンサートは,NHK朝ドラ「花子とアン」に出演していた,サラ・マクドナルドさんが日本語で司会を担当しました。ヘンリク・シェーファーさん指揮のOEKに加え,ピアニストと歌手が複数登場していましたので,ガラコンサートのような構成となっていました。

個人的には,昨年のように,大曲を全部演奏するような構成の方が好きですが,音楽祭全体の「予告編」として考えれば,とてもバランスの良い内容になっていたと思います。今回の音楽祭の「最初から最後まで」OEKを指揮するのが,ヘンリク・シェーファーさんですプロフィールによると「クラウディオ・アバドの指名でベルリン・フィルのアシスタント・コンダクターを務めたことがある」と言うことで,確かにアバドに通じるものがあるかもと感じました。

最初に演奏されたモーツァルトの「劇場支配人」序曲をはじめとして,すっきりとした透明感をベースに,キビキビとした音楽を聞かせてくれました。古楽奏法という感じではなかったのですが,ティンパニのくっきりとしたアクセントなど,強弱の付け方がとても新鮮だと思いました。モーツァルトの交響曲第40番は,第1楽章のみの演奏でしたが,5月3日以降での本公演での演奏が大変楽しみになってきました。

続いて登場したのが,川下新乃さんという小学校4年生の女子でした。今回オーディションで選ばれた方で,モーツァルトのピアノと管弦楽のためのロンドを見事に演奏しました。優しく,しっかりと弾かれたピアノも素晴らしかったのですが,それを包み込むOEKの演奏にも愛情が溢れていました。

ちなみにこのロンドですが,ラ・フォル・ジュルネ金沢でモーツァルトを取り上げた際もオープニングコンサートで演奏されたことを思い出しました。「チャン チャン チャン 休み/チャン チャン チャン 休み/チャン チャン チャン チャン チャン チャン チャン 休み」とういうリズムで始まる曲ということで...見事に三三七拍子の曲です。

続いて「大人のピアニスト」,おなじみ横山幸雄さんが登場し(衣装は,いつもどおりのソムリエ風のチョッキでした),モーツァルトのピアノ協奏曲第20番の第2楽章と第3楽章が演奏されました。何よりも第2楽章の音が美しかったですねぇ。さりげないのに素晴らしく磨き上げたような音でした。第3楽章もお見事だったのですが,この楽章については,もう少し「ひっかかり」のようなものがあって欲しいかなと思いました。

その後は歌手たちが続々と登場しました。最初は,こちらもお馴染みのソプラノの森麻季さんが登場。アレルヤを歌いました。3楽章からなるモテット全曲ではなかったので,後から考えると,非常に出番は短かったのですが,いつもどおりの天から降ってくるような軽く柔らかな声を聞かせてくれました。

その後,もう一人のソプラノのマリア・サバスターノさんが登場し,ドン・ジョヴァンニの中の「あの人でなしは私を欺き」が歌われました。森さんとは対照的に,やや暗めの強い声の方で,このアリアの雰囲気にぴったりでした。

続いて,プログラムに書かれていない曲が「サプライズ」のような形で演奏されました。登場したのは,マリンバの神谷紘美さんと田嶋翠さんで,お二人の二重奏でトルコ行進曲が客席の中程で演奏されました。軽やかさと迫力を兼ね備えた,表現力の豊かな演奏を間近で楽しむことができました。

そしてそのままマリンバ2曲目に突入...と思わせつつ,「フィガロの結婚」の中の「もう飛ぶまいぞこの蝶々」にするっと切り替わり,客席から三戸大久さんが登場。客席からフィガロが登場というのは,キャラクターにぴったりかもしれません。

そして三戸さんの声が素晴らしかったですね。すべてを包み込むような暖かさと豊かさを持った,惚れ惚れとする声でした。

最後,三戸さんとサバスターノさんの二重唱で,ドン・ジョヴァンニの中の「お手をどうぞ」が歌われてプログラムは終了したのですが,やはり,この曲で締めるのも少々弱い部分がありましたので,やはりアンコールが演奏されました。

演奏されたのは...ヨハン/シュトラウスの「こうもり」の中の「シャンパンの歌」でした。ここまでモーツァルト尽くしで,最後だけ別の作曲家というのは「?」の面もありましたが,ガラ・コンサートの締めにはぴったりの曲でした。

本日の夜に行われる演奏会も「ベートーヴェンの第9の第4楽章」ということで,個人的には「?」なのですが,この辺の「細かいところは気にしない,コンセプトのアバウトさ」が,ガル祭の特徴と言えるのかもしれません。

というわけでこれから5月5日まで,今週いっぱいはモーツァルト漬けで過ごしたいと思います。

2018/04/14

#クリストフ・エッシェンバッハ 指揮 #トンヨン・フェスティバル・オーケストラ アジアツァー 最終日の金沢公演。スケールの大きく,新鮮さのある「新世界」 #ツィモン・バルト との共演による深すぎるガーシュイン 聞き応え十分でした

韓国のトンヨンを中心に,世界のトップアーティストが集うトンヨン国際音楽祭という音楽祭が毎年行われています。その音楽祭の中心を担うオーケストラとして結成されたのがトンヨン・フェスティバル・オーケストラです。このオーケストラのアジア・ツァーの最終日の公演が金沢の石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聴いてきました。指揮はクリストフ・エッシェンバッハでした。

このオーケストラは,2015年にもクリストフ・ポッペン指揮で金沢公演を行っているのですが,今回の注目は何と言っても,オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のメンバーが大々的に参加していることです。その他,香港シンフォニエッタのメンバーも加わっています。今回のツァーでは,これらのオーケストラの出身国を巡る形で,韓国,香港,金沢で演奏会が行われました。

もう一つの注目は,現代を代表する巨匠指揮者と言ってもよい,エッシェンバッハさんがアジアの多国籍オーケストラとどういう音楽を作るのだろうか,という点です。エッシェンバッハさんは,昨年はNHK交響楽団に客演し,ブラームスの全交響曲やベートーヴェンの第九を指揮されましたが,本日演奏されたドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」もそれらに連なるような大変スケールの大きな演奏だったと思います。

「新世界」については,超人気の名曲過ぎて,奏者側からすると新鮮味が薄く感じられる可能性があります(OEKの場合は,室内オーケストラなので,滅多に演奏しませんが)。今回のトンヨン・フェスティバル・オーケストラの演奏は,一期一会的な音楽祭用のオーケストラということもあり,響きが大変新鮮だと思いました。エッシェンバッハさんの指揮については,かなり大仰な演奏になるのでは,と予想していたのですが,第2楽章,第3楽章については,むしろ速目のテンポで,大変前向きな感じのする演奏でした。

第1楽章の最初の序奏部から提示部に掛けては,所々で,深く思いに耽るような意味深い間のようなものがあり,「エッシェンバッハさんらしいなぁ」と思いましたが(特に第1楽章提示部の繰り返しをする瞬間,大見得を切るようにテンポを落としていたのが,特徴的でした),楽章が進むにつれて,次第にシンフォニックな充実感を持った,スケールの大きな音楽へと発展していくようでした。

第4楽章では力強さと同時に,途中,ファンタジーの世界に飛翔するような雰囲気がありました。最後の部分で大きく盛り上がった後,澄んだ音を長く伸ばし,フッと終了。この何とも言えない清潔感と儚さも素晴らしいなぁと思いました。

個性的な演奏という点では,ツィモン・バルトさんをソリストに迎えてのガーシュインのピアノ協奏曲が大変個性的でした。実演で聴くのは初めての曲でしたが,軽い音楽と思われがちなガーシュインをこれだけ濃く深く演奏し尽くしたバルトさんの力量に感服しました。気軽に楽しく楽しみたいという人には,重過ぎる演奏だったかもしれませんが,ここまで徹底すると,「もしもブラームスがジャズの影響を受けたら...」といった趣が感じられ,すごいと思いました。エッシェンバッハさんの演奏の方向性ともよく合ったピアニストだと思いました。このコンピならではのガーシュインだったと思います。

アンコールでは,スコット・ジョップリンのラグタイム音楽の中から「イージー・ウィナー」が演奏されました。あまりにも重厚なラグタイムで,最初はミスマッチかなと思ったのですが,次第にそれがユーモアとなって感じられました。

この2曲以外にも,トンヨン出身の作曲家ユン・イサンの「Bara」という,かなり前衛的な作品が最初に演奏されました。トンヨン国際音楽祭は,現代音楽も積極的に取り上げているようで,今回の演奏についても,確かにとっつきにくかったのですが,点描的な音を持つ,意味深さのようなものを感じることができました。

このオーケストラのメンバーの中には,元OEKのティンパニ奏者だった,トム・オケーリーさんが加わっていたのですが,相変わらず迫力十分の演奏で,各曲とも演奏全体を引き締めていたのも印象的でした。「新世界」の2楽章のイングリッシュ・ホルンの演奏も,OEKの水谷さんが担当するなど,要所要所でOEKメンバーがしっかりと活躍していたのが嬉しかったですね。

個人的には,3年前の時のように,金沢では滅多に聞けない,マーラーの交響曲辺りを取り上げて欲しいなという思いもあったのですが,聞き慣れた名曲を新鮮な響きとスケールの大きな表現で楽しむことができたのは良かったと思います。この音楽祭には,毎回,有名指揮者やソリストとが登場していますが,今後,さらにアジアを代表する音楽祭へと発展し,金沢公演の方も継続して欲しいと思います。

2018/04/03

#植村太郎,#鶴見彩 デュオ・リサイタル 満開の夜桜にぴったりの,充実のブラームス「雨の歌」,シュトラウス,R.ヴァイオリン・ソナタ他でした。

満開の桜の中,植村太郎さんのヴァイオリンと鶴見彩さんのピアノによるデュオ・リサイタルが,金沢市アートホールで行われたので聞いて来ました。聞きに行こうと思ったのは,リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタとブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番という大曲2曲が演奏されることです。特にリヒャルト・シュトラウスの方は,近年,人気が出ている曲ですが,金沢で演奏される機会は非常に少ないと思います。

植村太郎さんについては,実は今回初めてお名前を知ったのですが,そのしっかりとした余裕と安定感のあるヴァイオリンの音がまず素晴らしく,両曲とも,満開の桜の気分にぴったりの,聴き応え十分の演奏を聴かせてくれました。大げさな表現はなく,さりげなく演奏しているのに,しっかりと落ち着きのある音が広がり,音楽に常に余裕がありました。その中にロマン派の曲にふさわしい,熱い情感もほのかに漂っていました。

特にブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番の最終楽章での思いの熱さがあふれ出るような盛り上がりとその後に続く,名残惜しさが素晴らしいと思いました。

リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタの方も聴き応え十分の演奏でした。もっと大げさに弾いてもらっても面白いかなとも思いましたが,華麗に駆け上っていくようなパッセージやたっぷりとした歌は,ロマン派音楽の到達点のような充実感を感じました。
両曲とも,落ち着きと安定感のある鶴見さんのピアノもドイツ音楽にぴったりだと思いました。最初に演奏されたシューベルトのソナチネ第1番もシンプルな曲想ながら,植村さんと鶴見さんによるしっかりとした音で聴くと聴き応え十分でした。

アンコールでは,ロマンティックな気分に溢れたグラズノフの瞑想曲に加え,シンプルな歌と名技性の両方が楽しめるとてもキャッチーな曲(タイトルを知りたいところです)の2曲が演奏されました。

充実感たっぷりの大曲と歌と技をたっぷりと楽しませてくれるアンコールということで,ヴァイオリン・リサイタルの王道を行くような素晴らしい演奏会だったと思います。演奏会後は,少し遠回りして夜桜を眺めながら帰ったのですが,その気分にもしっかりとマッチした演奏会でした。

2018/03/25

石川県ジュニアオーケストラ 第24回定期演奏会。今年はOEKに挑む(?)ようにモーツァルトの交響曲第40番の全曲を立派に演奏。後半は打楽器パートが大活躍。大いに盛り上げてくれました。

「もうすぐ桜も開花かな?」という気分になるような,穏やかな快晴の日曜の午後,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた石川県ジュニアオーケストラの第24回定期演奏会を聞いてきました。指揮はお馴染みの鈴木織衛さんでした。

昨年のこの公演は,バレエとの共演という面白い試みでしたが,今年は,前半まず,オーソドックスにクラシック音楽の交響曲が演奏されました。やはりバレエと共演すると,オーケストラ以上にダンスの方が目立ってしまうので,原点に立ち返る形にされたのだと思います。

演奏されたのは,モーツァルトの交響曲第40番の全曲でした。これは,今年の連休の楽都音楽祭のテーマに合わせた選曲という意味もあったと思いますが,考えてみると,非常にチャレンジングな選曲と言えます。OEKがいつも演奏しているような,編成がそれほど大きくない曲ということで,言葉は悪いのですが,ごまかしが聞かないと言えます。

本日の演奏も,さすがにいろいろと粗の目立つ部分もありましたが,まず音楽全体の構成がとても立派で,妥協したところがなかったのが素晴らしいと思いました。ベースとなる弦楽器の音にしっかりとした音の芯があり,浮ついた感じになっていないのが良いと思いました。非常に明確に演奏された,立派な40番だったと思いました。

楽器編成的には木管楽器の人数がとても多いなど,少々変わったバランスでしたが,結果として,いつも聞くのと違ったフレーズがくっきりと浮き上がってくるような面白い効果が出ていました。交響曲は,特定のモチーフを地道に積み上げて大きな音楽を作るのですが,その辺の緊密感もしっかり出ていたと思いました。

前半が「トークなしのシリアスな音楽」だったので,後半は「トーク入りの楽しい音楽」の連続となりました。最初の2曲は打楽器奏者が主役として活躍する曲でした。

「鍛冶屋のポルカ」といえば,今年のOEKのニューイヤーコンサートでの楽しいパフォーマンスを思い出します。今回もまた,楽しいパフォーマンスを見せてくれました。金床の音も美しかったですね,

故・榊原栄さん作曲の「キッチン・コンチェルト」は,OEKとジュニア・オーケストラがいちばん頻繁に演奏いる曲です。台所にあるフライパンなどの道具を打楽器として使う大変楽しい作品です。ルロイ・アンンダーソンの曲のような軽快さのある伴奏に乗って,打楽器奏者が楽しく色々な「打楽器」を叩くということで,ジュニアのメンバーには,とても難しい曲だと思うのですが,「何年もこの曲を演奏している」と思わせるようなリラックスした気分まで出ていて素晴らしいと思いました。

さらに途中に出てくるカデンツァの部分では,打楽器パート総出演(7人ぐらいいたと思います)で,大変楽しいアドリブを聞かせてくれました。吹奏楽曲の定番の「宝島」の途中に打楽器のアドリブが出てくることがありますが,そういった楽しい気分満載でした。演奏後の鈴木さんのトークによると,ジュニアのメンバーにすべて任せたということでした。こういう自発性のある演奏は,これからも聞いてみたいなぁと思いました。

その後,カバレフスキーの組曲「道化師」の全曲が演奏されました。ギャロップだけが有名な曲なので,全曲が演奏されるのは比較的珍しいかもしれません。短いながらも色々な性格を持った曲が続き,多彩なドラマが次々と展開していくような演奏を生き生きと楽しませてくれました。

最後はエルガーの威風堂々第1番を文字通り,堂々と演奏してくれました。改めて品格の高さのある曲だなと感じさせてくれるような演奏でした。

アンコールでは,オーケストラ演奏用に編曲された「花が咲く」がとても美しく演奏されました。各パートに見せ場があるとてもよくできたアレンジでした。最後,オーケストラが一体となってワーッと自然に盛り上がる感じが感動的でした。

というわけで,今年の定期演奏会は,非常にジュニア・オーケストラらしい内容だったと思います。やはり交響曲を演奏するというのは,ジュニアにとっても大きな目標になるのではと改めて思いました。その点で,ジュニア・オーケストラのメンバーにとって「財産」になるような演奏会だったと思います。

2018/03/16

#梨ばろっこ in 金沢アートグミ #アンサンブル30 によるバッハの「フーガの技法」をゆったりと全曲聞いてきました。

富山市を中心に活動している古楽アンサンブルユニット,アンサンブル30(さんじゅう)の演奏会が金沢市のアートグミで行われたので聞いてきました。今回の演奏会のポイントは,何と言ってもバッハの晩年の謎に満ちた大曲「フーガの技法」の全曲が演奏されたことです。それに加え,これまで行ったことのない会場,「アートグミ」にも興味がありました。

「初めて実演で聞く曲」「長い曲を全部」「初めての場所」という,私にとっては,「行ってみたくなる」条件が,しっかりと揃った演奏会でした。

バッハの「フーガの技法」については,何の楽器で演奏するかはっきりと指定されていないこともあり,色々な楽器で演奏されることがありますが,今回はアンサンブル30のメンバー8人(ヴィオラ・ダ・ガンバ4,バロックヴァイオリン,フラウト・トラヴェルソ,バロック・リコーダー,チェンバロ)+黒瀬恵さんのオルガンで演奏されました。

フーガ16曲,カノン4曲,そして,本来は「フーガの技法」からは外れるようですが,オリジナル版に終曲として載せられているコラール1曲の全20曲が演奏されました。途中休憩を入れて,約2時間,バッハのポリフォニーの世界に浸ってきました。

バッハといえば,厳しく厳格なイメージもあるのですが,アンサンブル30の皆さんの演奏は,古楽器で演奏していたこともあり,どこか穏やかで,急ぎすぎないおおらかさを感じました。特に4挺のヴィオラ・ダ・ガンバの作る音に穏やかな雄弁さがあり,全体のベースを作っていると思いました。

面白かったのは,ほぼ曲ごとに編成が違っていた点です。第1曲はヴィオラ・ダ・ガンバのみで演奏していましたが,その後,フラウト・ドラヴェルソ(横笛)やバロック・リコーダー(縦笛)が加わったり,バロック・ヴァイオリンが加わったり,地味ながら多彩な世界が広がっていました。研究の結果,バッハ自身は,チェンバロのために書いたと言われていますが,複数の声部を聞き分けるには,今回のように色々な楽器で分担する方が分かりやすいのではないかと思いました。

フーガ15曲の後,カノンが4曲演奏されましたが,こちらでは2人の奏者による,「差し」の演奏になっており,こちらも面白いと思いました。

そして,最後に「追いかけっこ」の世界から離れて,全楽器で,コラールがしっとりと歌われました。この何とも言えない解放感は,フーガの技法のトリに相応しいと思いました。

アートグミという会場はもともとは北國銀行内の会議室のような感じの部屋だと思いますが,しっかりと音が聞こえ,文字通り「室内楽」という感じのある部屋でした。金庫(今は使っていないと思いますが)の上の部分にバッハの肖像画が飾られている前での演奏というのは,かなり不思議な光景でしたが,アットホームな雰囲気のある室内楽用の会場として十分に使えると思いました。

アンサンブル30の皆さんは,通常は富山で活躍されているのですが,金沢にはこういった古楽アンサンブルはありませんので,是非また,別の切り口の古楽の演奏会を金沢で行ってほしいと思います。

2018/03/06

#サカリ・オラモ 指揮 #BBC交響楽団 金沢公演。ほれぼれとするくらい堂々としたブラームスの交響曲第1番。アリーナ・ポゴストキーナさんのほの暗いヴァイオリンも魅力的でした。

この時期恒例の東芝グランドコンサートが石川県立音楽堂で行われたので聞いてきました。今年は,サカリ・オラモ指揮BBC交響楽団でした。2月の後半から,「コンサートに行き過ぎ」なのですが,これまで聞いたことのないオーケストラが来ると,やはり行きたくなります。

プログラムの方は,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とブラームスの交響曲第1番がメインということで,やや「名曲過ぎる」プログラムでしたが,終わって見ると,「やっぱりブラームスは良い」「チャイコフスキーも良い」と大満足の内容でした。何より,もったいぶったところのないオラモさんの音楽作りと,BBC交響楽団のバランスの良さと芯の強さのあるサウンドが素晴らしいと思いました。

最初に演奏されたのは,ブリテンの歌劇「ピーター・グライムズ」の「4つの産みの間奏曲」と「パッサカリア」でした。初めて聞く曲だったこともあり,やや取っつきにくいところはあったのですが,大編成オーケストラによる多彩な響きを楽しむことができました。

続いて,アリーナ・ポゴストキーナさんの独奏で,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が演奏されました。ポゴストキーナさんの演奏は,非常に正統的で,センチメンタルな気分に溺れるようなところはありませんでした。音程も技巧も確かで,音楽が崩れることはなく,全体に安定感がありました。ただし,まじめで堅苦しい演奏というわけではなく,音色自体にほの暗い情感が常に漂っていました。そこが大変魅力的でした。オラモさん指揮の大船に乗ったような安心感のある演奏と共に,さりげないけれども,深さの残る演奏を聞かせてくれました。

後半はブラームスの交響曲第1番が演奏されました。金沢でこの曲を聞く場合,OEK+αぐらいの編成で聞くことが多いので,コントラバスが8本も入るプロの大編成オーケストラで聞くこと自体,私にとっては新鮮なことです。BBC交響楽団の音は,重厚なサウンドという感じではなく,しっかりとした芯のまわりに適度に肉が付いているような,バランスの良さを感じました(例によって,3階席で聞いていたせいもあるかもしれなせん)。

オラモさんのテンポは,全く慌てる部分はなく,全曲に渡って,非常に堂々とした音楽を聞かせてくれました。現代ではかえって珍しいほどの,惚れ惚れするほど構えの大きな演奏だったと思います。ただし,音楽が盛り上がる部分でも,これ見よがしに大げさな表現を取るような感じではなく,常に颯爽とした爽やかさも同居していました。

第1楽章冒頭のティンパニの連打の部分から,安定感と同時にエネルギーを感じさせる演奏でした。弦楽器の清々しい響き,管楽器のソリスティックな活躍も印象的でした。特にソリストが演奏しているように雄弁なフルートの音が特に素晴らしいと思いました。

第4楽章の終盤をはじめとして,音楽のどの部分を取っても,もったいぶったようなところはなく,変わったことはしていないのに,音楽を気持ちよく表現し切ったような爽快さが常に感じられました。

オラモさんの指揮からは,巨匠指揮者のような風格と安心感を感じました。第4楽章のコーダの部分で,金管楽器を中止にコラール風のメロディを演奏する部分では,本当に堂々と聞かせてくれました。「待ってました。たっぷりと!」と声を掛けたくなる感じでした。

上述のとおり「名曲過ぎる」プログラムでしたが,その名曲の名に相応しい,堂々たる演奏を楽しむことのできた演奏会でした。

2018/03/03

金沢市アートホールで #田島睦子 ピアノリサイタルを聞いてきました。クララ・シューマンに寄せられた名曲たちと題された素晴らしい選曲。のびのびと聞かせてくれました。

金曜日の夜,金沢市アートホールで田島睦子さんのピアノリサイタルを聞いてきました。田島さんは,OEKとの共演,楽都音楽祭での活躍をはじめとして,金沢市を中心に活発に活動をされています。リサイタルも定期的に行うなど,田島さんを暖かく見守る固定ファンも多いのではないかと思います。私もその一人です。その気持ちの良い弾きっぷりに惚れて(?)います。

今回の田島さんのリサイタルでまず良かったのが選曲です。「クララ・シューマンに寄せられた名曲たち」と題して,シューマン,リスト,ブラームスの曲を中心に演奏されたのですが,それに加えて,フリードリヒ・グルダやマルク・アンドレ・アムランといった現代のピアニスト兼作曲家の曲が加えられていました。常にとても面白い,新しいレパートリーに取り組んでいる点が素晴らしいと思います。そして,全ての曲につながりが感じられました。

「ウィーンの音楽」としてグルダの「アリア」が美しく演奏された後,「ゴージャスな無言歌」といった感じで,シューマンの歌曲をリストが編曲した2曲が演奏されました。それにしても「献呈」という作品は,近年,特に大人気ですね。反田恭平さんもよく演奏していますね。

クララへの思いがこもったブラームスの「主題と変奏」(これは弦楽六重奏曲第1番の第3楽章のピアノ版)に続き,リストの「パガニーニ大変奏曲」第6番。この曲は,パガニーニのカプリースに基づく変奏曲です。そして,アムランの作品は,同じパガニーニの主題による変奏曲。リストの曲に輪を掛けて難易度が高まったような作品でした。

田島さんは,これらの作品を平然と,そしてのびのびと,難易度の高い作品を聞かせてくれました。特にリストとアムランの「パガニーニ変奏曲」の連続が圧巻でした。アムランの曲では,不協和音が出てきたり,ベートーヴェンの曲がパロディのように出てきたり,どんどんインスピレーションが広がり,エネルギーが拡散していくような面白さがありました。

後半は,シューマンの幻想曲op.17が,ドンと1曲,演奏されました。この日のプログラムは,ピアノ・ソナタが1曲も入っていなかったのですが,この曲は実質,3楽章からなるソナタということで,今回のプログラムの核となっていました。私自身,実演で一度聞いてみたかった作品で,今回のいちばんの目当てでした。

田島さんは,シューマンのクララへの思いのこもった名品を,ここでものびのびと屈託なく,聞かせてくれました。幻想曲というタイトルからすると,もっと屈折した感じがあると良いのかなと思いましたが,この難曲を立派に聞かせてくれました。行進曲風の第2楽章の後に続く,静かに幸福感が流れるような第3楽章が特に素晴らしいと思いました。

前半と後半の最後の方で,田島さんのトークが入りましたが,それを暖かく見守るのも恒例ですね。最後,アンコールで「4月のパリ」(シャンソンをピアノ独奏に編曲したもの)がリラックスした雰囲気で演奏されて,お開きとなりました。

田島さんは今年の楽都音楽祭では,モーツァルトのピアノ協奏曲第24番をモーツァルテウム管弦楽団と共演します。その期待を高めてくれるようなリサイタルでした。

2018/02/26

#マルク・ミンコフスキ 指揮 #レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル 金沢公演 メンデルスゾーン「イタリア」「スコットランド」他を独特の色合いで表現。懐の広さのある指揮者だなぁと期待が増しました。

土曜日から3日連続となる石川県立音楽堂通いです。本日は,9月からOEKの芸術監督に就任することが決まっているマルク・ミンコフスキさん指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーブルの来日公演が行われたので聞きに行ってきました。この公演は,OEKファンならずとも聞き逃すわけにはいきませんね。

プログラムは,メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」,交響曲第4番「イタリア」,第3番「スコットランド」の名曲3曲でした。プログラムには,序曲,第3番,第4番の順に記載されていたのですが,ミンコフスキさんらしく,直前に変更され,序曲,第4番,第3番の順に演奏されました。曲の長さ的には,変更後の方が「落ち着く」感じです。

レ・ミュジシャン・デュ・ルーブルの編成は,OEKを少し上回るぐらいの,「思ったより大編成」でした。公演を聞くのは2回目ですが,やはりメンデルスゾーンの曲をオリジナル楽器で演奏するとなると,これくらいが適正かなと思いました。楽器のピッチは,モダン楽器の場合よりも,やや低く感じました。特に管楽器については,オリジナル楽器ならではの,独特の落ち着きと素朴さを感じさせる音が印象的でした。

オーケストラ全体としても,磨き抜かれたつややかさというよりは,さらりとした軽さやほの暗さが基調となっていると感じました。というわけで,最初に演奏された「フィンガルの洞窟」,最後に演奏された「スコットランド」の雰囲気に特にぴったりだと思いました。色の発色はやや地味だけれども,微妙な色合いの変化と重なり合いが美しい,透明水彩といった趣きがありました。

メロディの歌わせ方については,熱くなり過ぎないけれども,所々,深い情感が沈潜していく部分もあり,どこかミステリアスな気分があります。これもミンコフスキさんならではの魅力だと思います。

その一方,「イタリア」の最終楽章,「スコットランド」の第2楽章などの急速楽章での,妥協のないテンポによる軽やかさもお見事でした。メンデルスゾーンにぴったりです。オリジナル楽器ということで,音程が取りにくそうな部分もあったのですが,それがまた,良い味付けになっているところもありました。

「イタリア」の3楽章の中間部に出てくるホルンの信号なども,途中,ゲシュトップフト奏法を使うなど,野趣たっぷりでした。「スコットランド」の最終楽章のコーダの部分もオリジナル楽器を使うことで勇壮さがさらに強調されていたと思いました。

「スコットランド」については,メンデルスゾーンの指示によると,各楽章間は連続的に演奏することになっていますが,本日の演奏では,「イタリア」についても同様のスタイルだったと思います。それどころか,前半最初に演奏された「フィンガル」と「イタリア」でさえ,連続的に演奏していました。通常,序曲が終わった後は,一旦,指揮者は袖に引っ込むのが普通ですが,ミンコフスキさんは,「フィンガル」終了後,拍手をしばらく受けた後,パッと「イタリア」を演奏し始めました。その他の楽章間もインターバルは短めでした。

こういう形で演奏することで,演奏会全体として「フィンガル」+「イタリア」≒「スコットランド」というバランスの良い構図になっていると感じました。

ミンコフスキさんの演奏については,どの部分をとってもミンコフスキさんらしさが浸透していますが,演奏全体として見ると,オーケストラのメンバーの自発性や演奏する喜びが感じられます。演奏の雰囲気についても,重苦しくならないけれども,随所に意味深さがある。スリリングさがあるけれどもシリアスになりすぎない...と相反するものが常に共存しているような,「懐の深さ」といって良いような不思議な魅力があると思いました。そして...この日も演奏曲順を急に変更したように,ミンコフスキさんには,常にお客さんを驚かせようという「茶目っ気」もあります。

まずは7月のドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」公演が大変楽しみです。そして,9月以降,芸術監督に就任した後は,OEKというオーケストラのあり方であるとか,金沢という都市全体にも影響を与えてくれるのではないか,と期待が広がりました。ミンコフスキさんへの期待がさらに大きくなった演奏会でした。

PS.本日は,演奏の直前に会場のお客さんに向けて,マルク・ミンコフスキさんから「ごあいさつ」がありました。ミンコフスキさんが「アンサンブル金沢」と発音すると,「ア」の音が鼻に掛かったようになり,「さすが(?)フランス人」と妙なところで感心してしまいました。

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