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コンサート(OEK以外)

2021/02/23

石川県立音楽堂で行われたルドヴィート・カンタ チェロ・リサイタル。沼沢淑音さんのピアノと一体となったスケールの大きなプロコフィエフ&ラフマニノフのチェロ・ソナタ。堪能しました。そして驚きのアンコール7曲。演奏できる喜びに溢れた公演でした。

本日の午後は石川県立音楽堂コンサートホールで,ルドヴィート・カンタさんのチェロ・リサイタルを聴いてきました。カンタさんは,OEK時代から活発にソロ活動を行っており,リサイタル以外でも,色々な機会で演奏を聴いてきたのですが,コロナ禍の影響もあり,私自身カンタさんの演奏を聴くのは,1年ぶり以上のような気がします。カンタさんも,コンサートホールでリサイタルを開けたことをとても喜んでいたようでした。

今回のプログラムは,プロコフィエフとラフマニノフのチェロ・ソナタを中心のスラブの風味のある内容でした。カンタさんは,これまでチェロの主要作品を「百科事典を作るように」網羅してきているのですが,本日の2曲は特にカンタさんにぴったりだと感じました。

前半,まずラフマニノフのチェロの小品2曲が演奏されたのですが,最初の一音からカンタさんの音が素晴らしいと思いました。オリエンタルで,ちょっと艶っぽいメロディも大変魅力的でした。

2曲目のプロコフィエフのソナタでは,さらにスケールの大きな演奏を楽しむことができました。この日のピアノはモスクワ音楽院で勉強をしていた沼沢淑音さんでしたが,沼沢さんのピアノとカンタさんのチェロとが一体となって,大変充実した音楽を作っていました。この日は特に,カンタさんのチェロの低音が特にしっかりと響いていると思いました。全体的に上機嫌な感じの作品で,コロナ禍の中でも,しっかりとリサイタルを開催できたことの喜びのようなものを感じながら聴いていました。

後半のラフマニノフのソナタはさらに規模の大きな作品でした。カンタさん自身によるプログラムの曲目解説では,ラフマニノフのことを「王様のような作曲家」と書いていましたが,まさにその気分のある曲であり演奏でした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と同時期に書かれた作品ということもあり,随所にラフマニノフならではの熱いメロディがあふれる曲でした。その曲をカンタさんは,強い共感を持って,ただし,大げさになりすぎずに,情感がしっかりとこもった密度の高い音で聴かせてくれました。そして,この曲でも沼沢さんの深々とした広さを感じさせるようなピアノが素晴らしかったですね。ピアニストでもあったラフマニノフの曲らしく,ピアノの方が華やかかつ力強く活躍する部分も多く,曲のスケール感を何倍にも広げていたように感じました。カンタさんは,沼沢さんのピアノに惚れて,今回ご指名で共演したようですが,今後もこの2人でスラブ系の作品などを聴いてみたいものです。

そしてこの日の演奏会で凄かったのは,この後でした。何とアンコールが7曲も演奏されました。私自身が体験した最大数かもしれません。ラフマニノフの雰囲気に合わせるかのように,ノクターン系の曲が続いた後,「荒城の月」が出てきたり,ハバネラ(ラヴェルのハバネラと言っていたと思います)が出てきたり,最後はジョプリンのラグタイムが出てきたり,コロナ禍であちこち出かけられないかわりに,世界各国の音楽を楽しんだような感じになりました。

最初から譜面を沢山持って来ていたので,複数曲を演奏されるのかなとは思っていたのですが,ここまでサービスしていただけるとは思ってもいませんでした。カンタさんと沼沢さんの音楽に酔わせていただいた後,カンタさんファン感謝祭的な雰囲気で締められた,演奏できる喜びに溢れた公演でした。

2021/02/18

梅干野安未オルガン・リサイタルを石川県立音楽堂で聴いてきました。これまで馴染みの薄かった,フランスのオルガン音楽の楽しさに触れることができました。また聴いてみたいと思いました。

数日前の春のような陽気から一転して,ここ数日の金沢は雪。山は越えたようですが,市内に雪が残る中,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた,梅干野安未さんのオルガン・リサイタルを聴いてきました。まず,梅干野さんのお名前ですが,「ほやの」と読みます。最初見た時「誤植かな?」と思ったのですが,しっかり漢字変換されましたので,完全に私の「誤解」でした。

このリサイタルですが,当初は,フランスのオルガン奏者,オリヴェイエ・ラトリーさんが出演するはずでしたが,コロナ禍で来日できなくなったため,その代役として,ラトリーさんの弟子でもある梅干野さんが出演することになったものです。演奏された曲も,フランスのオルガン曲が中心でした。「オルガンといえばバッハ」という印象を持つ方は多いと思いますが,本日の梅干野さんの演奏を聴いて,「ドイツのオルガン曲よりも親しみやすいのでは」と感じました。多彩な音色という点に加え,新たな響きを作り出そうと各作曲家が色々な技を追求している感じがしました。これまで馴染みの薄かったフランスのオルガン作品を存分に楽しむことができました。

プログラムは約1時間で,夕食後にゆっくり聴くのにちょうどよい感じでした。今回のプログラム中,唯一,フランスの作曲家ではない,バッハのカンタータ第29番の中のシンフォニアでスタートしたのですが,この曲もフランスのオルガン奏者,マルセル・デュプレ編曲のものでしたので,「オール・フランス・プログラム」と言っても間違いではないと思います。この曲ですが,演奏が始まるとすぐ,「あ,あの曲か」と分かる作品で(バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番の最初の曲),演奏会全体の開始にふさわしい明快さがありました。

その後,ヴィエルヌの「ヒンクリーの鐘」という曲が演奏されました。鐘の音を模した曲なのですが,梅干野さんによる曲目解説に書かれていたとおり,曲の最後の部分の「流星のごとく降り注ぐ下降音階」の部分が素晴らしく,何かすごい世界包み込まれたような気分になりました。

フォーレの「シシリエンヌ」のオルガン編曲版は,オリジナルのフルート版よりも,もっと鄙びた感じがありました。フランクの「祈り」は,厚みと暖かみのある響きが最高でした。本日は,ところどころで梅干野さんのトークが入りましたが,この曲については,「何に対する祈りなのかフランク自身は示していない。どんな思いにも使える」と語っていました。私の場合,「ひたすら気持ちが落ち着く曲だなぁ」と思いつつ,何も祈らずじまいだったので,今度聴くときは,しっかり祈ってみたいと思います。

アランの「アニ・ヤヴィシュタによる2つのダンス」という曲も初めて聴く曲でしたが,作曲者のアランの才能のすばらしさを感じさせるようなオリジナリティあふれる作品だと思いました。名オルガニスト,マリー=クレール・アランのお兄さんで,曲目解説によると戦争で29歳の若さでなくなった方です。東洋的な雰囲気を持った不思議な響きが続き,次は一体どんな音が出てくるのだろう,とワクワクさせるような作品でした。その他にも曲があるようなら,是非聞いてみたいものだと思いました。

ローランの「想い」という作品は,東日本大震災の被災者のために書かれた作品です。作曲者のローランは,梅干野さんのパリ音楽院時代の学友ということで,年齢を逆算すると,20代前半に書かれた曲ということになります。文部省唱歌「ふるさと」のメロディの断片をちりばめた作品で,この曲もまた,アランの曲に通じるような不思議な響きが随所に出てきていました。

今回は,オリジナルの「ふるさと」のメロディを演奏した後,この曲が演奏されたのですが,このアイデアは素晴らしいと思いました。オリジナルの「ふるさと」は,震災前の穏やかなふるさとを象徴し,ローランの作品の方は,震災でバラバラになってしまったふるさとを表現しているようでした。特に最初の方に出てくる,「思い出の波が漂うようなヴィブラートの響き(曲目解説の表現です)」の部分の何とも言えない不気味な音が印象的でした。

オリジナルの「ふるさと」については,明治初期に讃美歌をもとに作られたという話を聞いたことがあるのですが,こうやってオルガンで演奏されると,確かに讃美歌のようだな,と感じました。

演奏会の最後は,ギルマンのオルガン・ソナタ第1番の最終楽章(フィナル)が演奏されました。曲の最初の部分から。,バリバリと突き刺さるような輝きのある音と勢いのある音楽の流れが見事でした。最後の方は,サン=サーンスの「オルガン付き」交響曲の雰囲気を思い出させるような,コラールを交えた盛り上がりを作り,演奏会を爽快に締めてくれました。

アンコールでは,おなじみバッハ作曲の「主よ人の望みの喜びを」が軽やかに演奏されました。

演奏会全体を通じて,立派で壮大で圧倒的な迫力の世界だけでない,オルガンの多彩な音と表現を楽しませてくれるような内容だったと思いました。特に近代フランスのオルガン曲には,そういった作品が多いようなので,是非またフランス特集を聴いてみたいと思いました。

2021/02/13

本日の金沢は,4月ぐらいの好天。午後から金沢市安江金箔工芸館で行われた,ピアニストの大澤美穂さんによる「きらめきコンサート:ピアノの詩人たちに魅せられて:シューマン,リスト,ショパン」へ。シューマンの「森の情景」など初期ロマン派のピアノ曲を間近で味わうことができ大満足でした。

本日の金沢は,4月ぐらいの好天気。午後から自転車に乗って,金沢市安江金箔工芸館まで出かけ,ピアニストの大澤美穂さんによる,「きらめきコンサート:ピアノの詩人たちに魅せられて:シューマン,リスト,ショパン」を聞いてきました。金沢市内の文化施設では,色々なイベントを行っていますが,この館の入口横のホールは,かなり大きいので,室内楽や器楽のミニ公演がすっかり定着しているようです。今回で54回目となります。

今回出かけようと思ったのは,ピアノ独奏の生演奏をむしょうに聞きたくなったからです。石川県立音楽堂での公演はかなり戻って来ていますが,文化施設での公演に行くのは1年数か月ぶりのことです。そして,今回のプログラムに入っていた,シューマンのピアノ曲「森の情景」を一度生で聴いてみたかったということもあります。

今回のプログラムは,シューマン,リスト,ショパンという同世代の作曲家のピアノの名曲を,大澤さんの解説とともに,約1時間楽しむという内容でした。臨場感溢れるピアノの音を間近で聴き,3人の作曲家の個性をしっかりと楽しむことができ,大満足の公演でした。

最初に演奏されたお目当ての「森の情景」は,シューマンのピアノ曲の中では後期に書かれた作品で,ちょっと不気味な作品かな,と思っていたのですが,大澤さんがトークの時に「シューマンのピアノ曲には暖かみを感じる」おっしゃられていたとおり,曲の最初から,あたたかな雰囲気に包みこまれるようでした。不気味な森に迷ってしまうというよりは,ドイツのメルヘンの世界に入ったような親しみやすさを感じました。現在,世界中が「コロナの森」に迷い込んでいるような状況ですが,この音楽を聞きながら,何とか抜け出して,この曲の終曲のような穏やかな気分になりたいものだと感じました。

その後演奏された,リストとショパンの作品は有名な曲ばかりでした。リストの「愛の夢」やショパンのノクターンでは,しっかりと歌いこまれ,充実感のある時間に浸ることができました。リストの「ラ・カンパネラ」は,間近で聴くと,ピアノがまさに「鐘の音」のように響いており,「金箔」にぴったりの「金属的な輝き」に感じました。

憂いに満ちたショパンのワルツ第7番は,やっぱり良い曲です。最後のショパンのスケルツォ第2番では,切れ味よく切り込むように始まった後,多彩な曲想が続きます。特に中間部でピアノの音が静か~に響くような雰囲気が良いなぁと思いました。

最後,アンコールでショパンのノクターン第2番が気持ちよく歌われるように演奏され,公演は終了しました。

大澤さんは,コロナ禍の中でも色々と工夫をしながら,演奏活動を続けられています。今回の内容もトークと演奏のバランスがとてもよく,どの曲についても「大人のピアノ」を楽しませてくれた気がします。終演後,大澤さんのCDを販売しており(正真正銘の実演販売),「森の情景」の入ったものを購入。さらには,大澤さんからサインもいただきました。サイン入りCDコレクター(?)としては,久しぶりの機会だったので,うれしかったですね。今から,もう一度「シューマンの世界」を楽しみたいと思います。

2020/12/22

#加羽沢美濃 さんの司会による #夜クラ @ #石川県立音楽堂 。今回のゲストはピアニストの #金子三勇士 さん。このシリーズは毎回楽しいのですが,これまででいちばんの充実感だったかもしれません。金子さんの圧倒的なピアノを楽しめました。ステージ背景のツリーは「くるみ割り人形」公演の準備?

今晩は,「アフターセブンコンサート2020:夜のクラシック第6回」を石川県立音楽堂コンサートホールで聞いてきました。ゲストは,ピアニストの金子三勇士さん,司会はいつもどおり加羽沢美濃さんでした。

このシリーズは,毎回,現在もっとも旬なアーティストたちによるレベルの高い演奏が楽しめること,加羽沢さんとゲストの方のトークがとても自然でリラックスして楽しめること,加羽沢さんによる即興演奏コーナーやゲストとの共演コーナーがあること...など楽しみどころが満載なのですが,この日の公演は,特に充実していたと感じました。終演後のお客さんからは盛大な拍手が続いていました。その理由は何といっても金子さんの「圧倒的!」と言ってもよいようなピアノの素晴らしさにありました。

プログラムは,ショパンの革命,ノクターンop.9-2,小犬のワルツ,べーーヴェンのエリーゼのために,リストの愛の夢,ハンガリー狂詩曲第2番...と誰もが知っているような名曲がずらっと並んでいたのですが,最初に演奏された革命のエチュードから,思わず背筋が伸びるような,聞きごたえ十分の演奏の連続。革命での強烈なタッチの後,次のノクターンではとろけるような柔らかい音に急変。この表現の幅が素晴らしいと思いました。

バルトークやリストなどの民族的な音楽では,躍動感と野性味の溢れる切れ味の良いリズムの連続。曲の最後の部分では,一気に車のアクセルを踏み込むように,テンポが急変。すごみのある迫力を漂わせていました。それでいて,荒っぽい感じは皆無で,どの部分もしっかりと磨き上げられていました。金子さんのお母さんはハンガリー人ですが,これらの音楽を聞きながら,自分のルーツの国の音楽をとても大切にしているなぁと感じさせてくれました。

加羽沢さんの即興コーナーでは,金子さんとのトークの中で出てきた,クリスマスの話題やスパイスの効いたカレーなどの料理の話題などをしっかりと盛り込み,「優雅でカレーなワルツ・クリスマス風」といった趣きのある演奏を楽しませてくれました。

コロナ禍の中で,金子さん自身,演奏会のあり方について色々と考えたとおっしゃられていましたが,そんな金子さんの演奏やトークからは,まじめで前向きな姿勢が常に感じられました。何回も演奏されて来た,場合によっては「通俗的」と呼ばれてしまうこともあるような作品から,新鮮味のある生き生きとした音楽を引き出していたのが本当に素晴らしいと思いました。

演奏会の最後は,加羽沢さんのアレンジによるサティのジュ・トゥ・ヴの連弾版。マスクをして,密にならないように気にしながらの連弾というのは,ある意味,今年を象徴するようなスタイルだったかもしれません。ますます好調のこのシリーズ。来年度はどなたが登場するか,今から楽しみです。

2020/10/25

仙台フィルのヴァイオリン奏者,小川有紀子さんを中心としたハナミズキ室内合奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番を中心とした演奏会@石川県立音楽堂邦楽ホール。お客さんの数がものすごく少なかったのが残念でしたが,ベートーヴェン最晩年の澄み切った境地に浸ることができ,大変贅沢な時間を過ごすことができました。

本日午後は,仙台フィルのヴァイオリン奏者,小川有紀子さんを中心としたハナミズキ室内合奏団による,弦楽四重奏曲を中心とした演奏会を,石川県立音楽堂邦楽ホールで聞いてきました。残念ながら,お客さんの入りは非常に悪く,私が過去経験した中でもこれだけお客さん間の「ディスタンス」が長かったことのは初めてのことです。コロナ禍の影響で十分な広報を行うことが難しかったのだと思います。

しかし,演奏の方は素晴らしく,逆説的に言うと,大変贅沢な気分を味わうことができました。私たちのためだけに演奏してくれている,という感じが強く伝わってきました。

プログラムは前半が,あいさつ代わりのグリーグの抒情小曲集。その後,小川さんのトークを交えて曲が演奏されました。ベートーヴェンの若い時代に掛かれたヴィオラとチェロによる二重奏,ピアソラのヴァイオリン二重奏の作品と続き,最後はピアソラの"Four, for Tango"で締められました。私自身,石川県立音楽堂邦楽ホールに入るのは久しぶりのことだったのですが,各楽器の音がくっきりと聞こえ,音の残響も適度にあり,とても良い音のバランスで楽しむことができました。

ヴァイオリン奏者として,先日のOEK定期でコンサートマスターを務められていた水谷晃さんも参加していたのですが,その時のクライスラー同様,暖かみのある充実感のある音を聞かせてくれました。ベートーヴェンの二重奏では,ヴィオラの村田恵子さんの豊かな音が特に印象的でした。この若い2人を,小川さんとチェロの山本裕康さんがしっかり支えるような前半でした。

前半最後に演奏されたピアソラの曲は初めて聞く曲でしたが,「もしもバルトークの弦楽四重奏曲をピアソラがアレンジしたら」という感じの曲。おなじみの技がしっかり出てきて,スリリングかつ楽しい演奏でした。

後半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番の全曲が演奏されました。金沢で,ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲が演奏される機会はめったにないので,今回はこの作品を目当てに聞きに行きました。この演奏は,是非,もっと多くの方に聞いていただきたかったですね。「大フーガ」として知られる15分ぐらいの曲を最終楽章(第6楽章)として入れるかどうかが演奏者に任されているようなところのある作品ですが,今回は通常の第6楽章が演奏されました。

全曲を通じて,小川さんのヴァイオリンを中心にベートーヴェンの最晩年の澄み切った境地がすっきりと出ているような演奏でした。第1楽章の最初のユニゾンの音から美しいなぁと思いました。途中の舞曲風の楽章のリラックスしたしなやかさの後の有名な第5楽章のカヴァティーナは,内省的な気分を保ちながら,聴衆の方にしっかりとメッセージが伝わってくるようでした。最終楽章はベートーヴェンの「最後に作った曲」と言われているものです。非常に晴れやかな気分があり,コロナ禍がダラダラと続く,今聞くと「先が見えてきたな」という「希望」を感じさせてくれました。

というわけで,観客が少なかったことも含め,忘れられない演奏会となりました。いつかコロナ禍が明けた後,またベートーヴェンの別の弦楽四重奏曲を同じ場所で聞いてみたいなと思いました。演奏者の皆様ありがとうございました。

2020/10/08

#石川県立音楽堂 #夜のクラシック 第5回のゲストは #鈴木優人さん。本日はチェンバロ奏者としてバッハと武満徹の作品などを演奏。チェンバロの音を聞くと「耳の洗濯」といった感じになりますね。#加羽沢美濃 さん即興のピアノ曲「鈴木さんち」も見事な作品でした。

今晩は石川県立音楽堂コンサートホールで行われた,「アフターセブンコンサート2020 夜のクラシック」第5回を聞いてきました。ゲストは鈴木優人さん,司会は加羽沢美濃さんでした。鈴木さんといえば,チェンバロ奏者,オルガン奏者,指揮者,音楽祭のプロデューサーなど多彩な仕事をされていますが,本日はチェンバロ奏者として登場しました。金沢でチェンバロ独奏の演奏会が行われる機会は少ないので,純粋に「週末の疲れた心身にチェンバロを!」という気分で聞きに行ってきました。

さすがにコンサートホールでチェンバロ1台というのは,広すぎた印象で,私の席(かなり前でしたがサイドの席)からだと,ちょっと音が遠く感じられました。それでも,繊細な音の変化や音の歯切れよさはしっかりと感じとることができ,しばらくの間,非日常的な音世界に入ることができました。耳の洗濯という感でした。

演奏された曲はバッハのチェンバロ作品が中心でした。中でもパルティータ第1番の全曲が演奏されたのが嬉しかったですね。この曲は,ディヌ・リパッティのピアノによる大昔の演奏で馴染んでいたのですが,チェンバロで聞くと音の透明感が大変心地よく感じられました。鈴木さんの演奏は,どちらかというと速目のテンポで,柔軟性のある生き生きとした演奏を聴かせてくれました。特に大きな間を取った後始まった,サラバンドの新鮮な空気感が良いなぁと思いました。

最後に武満徹作曲の唯一のチェンバロ曲,「夢見る雨」が演奏されました。現代曲らしく,不協和音も沢山出てくるのですが,その不協和音が刺激的にならず,不思議な色合いとなって感じられました,武満徹の隠れた名作なのでは,と思いました。

最後,アンコールで加羽沢さんのピアノと鈴木さんのチェンバロの二重奏で,バッハの「主よ人の望みの喜びよ」が演奏されました。最初のトークの中で,「ピアノとチェンバロではピッチが違います。チェンバロの方が半音低くなっています」というような話をされていたので,二重奏できるのだろうか?と思ったのですが,その微妙にずれている感じが不思議な立体感を作っていたり,チェンバロの音が装飾的にキラキラ輝く感じに聞こえたり,体験したことのないような味わい深い世界を作っていました。

加羽沢さんと鈴木さんのトークも楽しかったですね。特に印象的だったのは,鈴木さんの自宅には,「チェンバロ3台,ピアノ2台,クラヴィコード3台に加え小型のパイプオルガンもある...」といった凄い話です。これにちなんで,加羽沢さんが「鈴木さんち」というタイトルで即興演奏を披露。繊細な音から大らかな音まで多彩な音が詰まった,美しい作品でした。

来年1月,鈴木さんは今度は指揮者兼オルガン奏者としてOEK定期公演に登場します。この公演のPRもされていましたが,ますます楽しみになりました。

2020/09/09

朝日新聞プレゼンツ OEKおしゃべりクラシック@石川県立音楽堂交流ホール。今回は若松みなみさんのヴァイオリンと井口愛弓さんのピアノ。ヴァイオリンに加えて,若松さんのおしゃべりが冴えまくっていました。

本日は休暇を取って,朝日新聞プレゼンツ OEKおしゃべりクラシックの11:00からの部を石川県立音楽堂交流ホールで聞いて来ました。コロナ禍後初めてということで,「交流ホールなのに指定席」で行われました。出演されたのは,OEKの第2ヴァイオリン奏者若松みなみさんとピアニストの井口愛弓さんでした。

プログラムに書かれていた曲は3曲だけ。ベートヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」も第1楽章だけだったので,時間が余るのでは?と思ったのですが...その心配はなく若松さんが沢山おしゃべりをしてくれました。この雰囲気は交流ホールならではだと思いますが,コロナ自粛期間中のことを中心に,若松さんのキャラクターが大変よく分かるトークでした。

演奏された曲は,上述のベートーヴェンに加えて,モーツァルトのロンド ハ長調K.373。若松さんは明るい感じのするハ長調が大好きと語っていましたが,その言葉どおりの明快な演奏でした。 最後に演奏された,サン=サーンス作曲,イザイ編曲による「ワルツ形式の練習曲による奇想曲」は,コロナ自粛期間中にしっかり練習をされていた曲とのことでした。練習曲というよりは,とても優雅な曲として楽しませてくれました。

最後にベートーヴェンの「春」の3楽章,クライスラーの「美しいロスマリン」がアンコールで演奏され,ちょうど1時間ぐらいで終了しました。

公演の最初に若松さんが「みなさんおはようございます」とあいさつをされていましたが,考えてみると平日午前中の演奏会に行くのは大変珍しいことです。交流ホールの客席の方は例によって,間隔をあけて配置されていましたが,久しぶりにアーティストの方と「身近に交流」できたな,と感じさせてくれるような演奏会でした。

2020/08/24

本日のお昼は石川県立コンサートホールで行われた「ランチタイムコンサート:チェロとピアノの調べ」を聞いてきました。大澤明さんと木米真理恵さんによる,ベートーヴェンのチェロ・ソナタ5番,ピアソラのル・グランタンゴ他の充実のプログラム。コンサートホールでの室内楽にも注目ですね。

本日は休暇を取って,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた,OEKのチェロ奏者,大澤明さんと木米真理恵さんのピアノによるランチタイムコンサートを聞いて来ました。

コロナ禍の影響で,クラシック音楽の演奏会の開催についても大きな影響を受けていますが,演奏者自体が密にはならず,発声も伴わない公演については,ほぼ問題ないと言えます。本日の公演も,チェロとピアノによる室内楽を広々としたコンサートホールで行うもので,客席の方も「市松模様」配置でしたので,安心して参加してきました。

今回,聞きに行こうと思ったのは,まず,演奏曲目に引かれたからです。ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第5番とピアソラのル・グラン・タンゴという,いかにも聞き応えのありそうな曲が並んでいました。

最初に演奏されたベートーヴェンの曲は,木米さんによる,明快な美しさのあるピアノで鮮やかに始まった後,大澤さんの大らかな渋さの感じられるチェロが続き,後期のベートーヴェンの深い世界へと導いてくれました。この曲をこれまでじっくり聞いたことはあまりなかったのですが,人生を振り返るようなしみじみとした線の太い歌が続く第2楽章の後,チェロとピアノが一体になったフーガが延々と続くあたり,ピアノ・ソナタの大作,「ハンマークラヴィーア」に通じる世界があると思いました。

2曲目は,大澤さんの独奏(唱)で,ソッリマの「嘆き」が演奏されました。数年前の「ふだん着ティータイムコンサート」で大澤さんの演奏で聞いてインパクトを受けたのですが,コンサートホールで聞くとさらに楽しめた気がしました。チェロがどこかの民族音楽風のシンプルなメロディを演奏する一方,大澤さんが謎めいた雰囲気の歌を歌います。チェロとは全く関係ないメロディなので,合わせずに歌うのは難易度が高いのではないかと思います。その後,曲想が激しくなり,どこかロックを思わせる感じになります。コンサートホールの空間いっぱいに響くのが心地良く感じました。

最後に演奏されたのは,ピアソラのル・グラン・タンゴでした。往年の名チェリスト,ロストロポーヴィチのために書かれた作品ということで,そのエピソードが紹介された後,演奏が始まりました。

ピアソラらしく,純粋に踊るためのタンゴではなく,中間部はかなりセンチメンタルな気分になります。この部分では,木米さんのピアノの怪しくも美しい雰囲気が良いムードを作っていました。両端部分は,ダイナミックなタンゴで,最後はピアノとチェロが一体となって,格好良く締めてくれました。

約1時間の演奏会だったのですが,アンコールも2曲演奏されました。最初の曲は,「くまばちの飛行」を思わせるような高音域の速い動きが延々と続く技を見せる曲,2曲目はバッハのいわゆる「G線上のアリア」でした。「チェロの場合,何線になるのだろう?」と思いながら聞いていました。

というわけで,コンサートホールで行う室内楽公演には,今後も注目したいと思います

2020/02/24

牛田智大ピアノリサイタル@北國新聞赤羽ホール。バッハとショパンの聞き応えのある曲の並ぶ充実感満点のプログラム。磨き抜かれた音,考え抜かれた構成で,どの曲も非常に洗練された音楽になっていました。

本日は北國新聞赤羽ホールで行われた,牛田智大さんのピアノリサイタルを聞いてきました。牛田さんは,12歳でデビューして話題を集めましたが,2018年に浜松国際ピアノコンクールで2位を受賞してからは,さらにスケールの大きなピアニストとして活躍の場を広げています。「聞き逃せないピアニスト」ということで会場はほぼ満席でした。

今回のプログラムは,バッハのイタリア協奏曲で始まった後,ショパンの曲がずらっと並び,最後は舟歌で締めるというプログラムでした。東京オペラシティ風にいうと,B&Cプログラムといったところでしょうか。牛田さんのトークによると,バッハとショパンには共通する部分が多く,2人とも憧れを持っていた「イタリア風の曲」を最初と最後に置いたとのことでした。

ショパンの曲では,前半にソナタ第2番が演奏されたのに加え,英雄ポロネーズ,幻想曲,バラード第4番,舟歌など,10分前後の長さのある中規模の充実した曲が次々と登場。非常に聞き応えのあるプログラムになっていました。

牛田さんの演奏を聞くのは初めてだったのですが,本当に素晴らしいピアニストだなぁと感嘆しました。牛田さんはまだ20歳ぐらいのはずですが,曲のキャラクターをしっかりと把握した上で,磨き抜かれた音,考え抜かれた構成で,どの曲についても非常に洗練された音楽を聞かせてくれました。

どの曲も大変鮮やかに演奏されていましたが,慌てるような部分は皆無。バッハのイタリア協奏曲など,どちらかというとゆったりと余裕を持って演奏し,温かみのあるピアノの音の美しさをしっかりと聞かせてくれました。

牛田さんのピアノの音ですが,ピアノの弦の音がしっかり響いているのが分かるような美しさがありました。聞いていて牛田さんの世界にぐっと引き込まれていきました。しかも,曲想に応じて,多彩な音を聞かせてくれました。どの部分についても,しっかり自分で選び取った音を自然な流れで聞かせてくれました。

ピアノソナタ第2番をはじめ,規模の大きな曲では堂々としたスケール感もありました。さらには,どの曲についても,お客さんに媚びるような甘い感じがなく,どこか高貴な感じが漂っているのも素晴らしいと思いました。ついつい「ピアノ王子」といった風に呼んでしまいたくなるのですが...そう呼ばせないような,芯の強さのようなものも感じました。

牛田さん自身,「今日演奏した曲は,一生掛けて引き続ける曲ばかり」と語っていましたが,これからまた違った形で成長をしていうのではないかと思います。王子を超えて,王道を行くピアニストに成長していって欲しいと思いました。

2020/02/05

音楽堂カルチャーナビ 三毛猫ホームズの好きな曲は?クラシック音楽好きのベストセラー作家,赤川次郎さんから,池辺晋一郎さんが色々と興味深いお話を引き出してくれました。出待ちをしてサインもいただいてしまいました

本日は,石川県立音楽堂交流ホールで行われた「音楽堂カルチャーナビ」の2019年度第4回を聞いてきました。ゲストは作家の赤川次郎さん,進行役はお馴染みの池辺晋一郎さんでした。

私にとって,赤川さんは「大変多作で,息長く活躍されている,現代を代表するベストセラー作家の代名詞」というイメージです。クラシック音楽の大ファンということで,「有名人に会ってみたい」という野次馬的精神に「どういう音楽が好きなのだろう」という好奇心を加えて,参加してきました。

赤川さんと池辺さんは旧知の仲ということで,少々硬い雰囲気のあった赤川さんから池辺さんが色々な観点から面白い言葉を引き出すという感じで進んでいきました。赤川さんは,作家になりたくて作家になったのではなく,文章を書きたくてたまらなかったので,何でも仕事を引き受けているうちに,作家としてやっていけるようになった,と言ったことを語っていました。赤川さんの淡々とした雰囲気からも,ベストセラーを書いて有名になってやろう,といった野心のようなものは感じられず,本当に文章や物語を作るのが好きな方なのだなぁと思いました。推理小説を書く場合も特に綿密な構想を練って書き始めるわけではなく(さすがに登場人物リストは作っているとのこと),「最後に辻褄をあわせるだけ」といったことを語っていました。なんというか,作家としての天性の資質を持った方なのだなぁとまじめで物静かな雰囲気から自然に伝わってきました。

クラシック音楽については,作家になってLPレコードを買う余裕ができてから特に好きになったとのことでした。メロディが美しい,ドヴォルザークやチャイコフスキーなどがお好きとのことで,本日はドヴォルザークのユモレスク(田島睦子さんのピアノ独奏),ドヴォルザークの弦楽四重奏曲「アメリカ」の第1楽章(坂口昌優さんのヴァイオリン等による弦楽四重奏)が演奏されました。改めて,両曲とも美しいメロディが湧き出てくるような作品だと思いました。

その他,色々と面白い話題が出てきましたが,最後に,これから書いてみたいものとして,「現代は若い人にとって生きづらい時代。若い人たちに希望を持ってもらえるような作品を書きたい」と語っていたことが特に印象的でした。赤川さんは,若い頃から,社会問題についての姿勢は変化していない,とも語っていました。将来を担う若者のことを第1に考えてながら,淡々とブレずに活動されているすごい作家だなぁと改めて思いました。

これを機会に,池辺さんが橋渡しとなって,OEKとのつながりが出来てくれると面白そうと思いました。超有名作家のお話を間近で聞くことができた,大変有意義な90分でした。

PS.終了後,しばらく待っていると,赤川さんが出てこられたので,念のため持参していた「三毛猫ホームズの狂死曲」にサインをいただきました。これは家宝にしておきたいと思います。

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