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コンサート(OEK以外)

2022/05/26

今晩は冨田一樹オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂へ。バッハの作品を中心とした,バランスの良いプログラム。特に「〇〇とフーガ」系の曲の多様性と面白さを楽しむことができました。

今晩は,石川県立音楽堂コンサートホールで行われた冨田一樹オルガン・リサイタルを聴いてきました。プログラムは,先週土曜日のOEK定期公演に続き,J.S.バッハ。「〇〇とフーガ」といったバッハのお得意の構成の曲4曲を中心に,コラールなどの小品を挟んだ,とてもバランスの良い選曲でした。

バッハの前にまず,ブクステフーデ,スウェーリンク,パッフェルベルのオルガン曲が3曲演奏されました。この中では,最初に演奏されたブクステフーデの前奏曲が大変インパクトがありました。大オルガンをイメージして作った曲で,バッハにつながる重厚な壮麗さがあるなと思いました。

バッハの「〇〇とフーガ」系の曲は,構成的には似た感じなのですが,それぞれ冒頭部分の「つかみ」の部分の音色や音の動きが個性的で,その違いを聞くのが面白いなと思いました。後半最初に演奏された,前奏曲とフーガハ長調は,冒頭のジグザグした感じと,フーガの部分のとても大らかで真っすぐな感じの対比が面白く,王道を進むような立派さを感じました。演奏会の最後に演奏された,トッカータとフーガ ニ短調(ドリア旋法)のスケール感も素晴らしかったですね。演奏会全体を締めるのに相応しい壮大さに包まれました。

オルガンの曲については,最後の音を長く伸ばすのがパターンで,それが聴きどころでもあるのですが,冨田さんは,重厚感のあるフーガを含む曲の間に演奏された,小品については,それほど音をのばさず,すっきりと終わっている感じでした。足鍵盤を使わない可愛らしい雰囲気の曲や素朴な味を持った曲があったり,プログラム全体にメリハリがついていまるのが良いなと思いました。「G線上のアリア」として知られる,管弦楽組曲第3番のエアをオルガン独奏で聴くのは初めてでしたが,オリジナルの雰囲気がそのまま再現されており,オルガンの表現力の豊かさを実感しました。「永遠に続いて欲しい」と思わせる平和な音楽でした。

冨田さんは,1曲目の前と最後の曲の後にトークを入れていましたが,その簡潔で親しみやすい解説もとても良かったと思いました。冨田さんが石川県立音楽堂に登場するのは今回が3回目でしたが,今回の公演で,しっかり固定ファンをつかんだのでは,と思いました。バッハのオルガン作品は,まだまだ沢山ありますので,是非,4回目の公演を楽しみにしています。

2022/04/03

#藤田真央 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会第3回「華麗なる輝きを放ち」@北國新聞赤羽ホールを聞いてきました。全く気負ったところのない雰囲気から,自信にあふれた多彩な表現が自然に湧き出ていました。特に緩徐楽章の美しさは息を呑むほどでした。

本日は藤田真央さんによる,モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会シリーズの第3回「華麗なる輝きを放ち」を北國新聞赤羽ホールで聴いてきました。第2回は残念ながら聴けませんでしたので,1年前の第1回以来,1年ぶりということになります。

今回は,ソナタ第2番,第12番というヘ長調の作品の間に,第6番,第11番という変奏曲形式を含むソナタ2曲と挟むという,よく考えられた選曲となっていました。藤田さんのスタイルは前回同様,ベースは全く力んだところのない自然体の音楽で,その中から多彩なフレージング,ダイナミックス,音と音の対話などが,くっきりと自在に浮かびかがってきました。気負いなく,自信にあふれた見事な演奏の連続でした。

第2番は第1楽章のクリアで明快な気分に続く,シチリアーノ風の第2楽章の美しさに息を飲みました。第6番は厚みのある気分でぐいぐい迫ってくる感じで開始。第3楽章は長大な変奏曲ですが,各フレーズが常に対話をしているようで,プログラムの中で藤田さんが書いていたとおり,物語を紡いでいくようでした。

後半は「トルコ行進曲」を含む,第11番。驚いたのは,全楽章ほぼアタッカで演奏していた点です。基本的に停滞しないテンポでしたので,全曲を一気に楽しませてくれる感じでした。変奏曲の繰り返しもしっかりと行っていたのも特徴的でしたが,2回目に出てくる時はニュアンスを変え,アドリブ的な音もかなり沢山入れていました。このセンスが素晴らしいと思いました。第1楽章は6つの変奏なのですが,それが12の変奏になったようが楽しさを感じました。トルコ行進曲は中庸のテンポで軽快な演奏。文字通り玉を転がすようなタッチの美しさが印象的でした。

最後に演奏された12番は,最初に演奏された第2番同様,ヘ長調の曲ということで,伸びやかな雰囲気で開始。ここでも第2楽章がせつなくなるような美しさでした。が,レガートとノンレガートを意識的に使い分けて演奏している感じでした。第3楽章の強烈なスピード感も素晴らしく,もしかしたら,グレン・グールドのモーツァルトを意識しているのかなという気もしました。ただし,エキセントリックな感じはせず,自然な音楽になっているのが,藤田さんらしさだと思いました。

アンコールでは,モーツァルトの曲に加え,ショパンの曲も2曲演奏されました。この辺は,モーツァルトだけで閉じて欲しい思いもありましたが...最後に演奏された,エチュードop.25-1のアルペジオの美しさに魅せられてしまいました。「エオリアンハープ」と呼ばれることもある曲ですが,まさにハープのような感じでした。

藤田さんのモーツァルトシリーズですが,今回で丁度半分。次回は10月22日に行われます。モーツァルトのピアノ・ソナタ全集のCD録音もこの頃に発売されるようなので,色々な意味で楽しみな公演になりそうです。

2022/03/25

OEKメンバーによる金澤弦楽四重奏団のデビュー公演&ベートーヴェンチクルス第1回目を金沢市アートホールで聴いてきました。今回は1,8,12番の3曲。これから一緒に全曲制覇したくなるような,緻密で真摯で聴きごたえたっぷりの演奏の連続。充実の時間を過ごしました。#oekjp

ようやく金沢にも春がやってきたかな,と思わせる3月末の金曜日の夜,金沢市アートホールで行われた,金澤弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲チクルスの第1回公演を聞いてきました。この金澤弦楽四重奏団という,素晴らしい名前のクワルテットは,青木恵音,若松みなみ(ヴァイオリン),古宮山由里(ヴィオラ),ソンジュン・キム(チェロ)という,金沢の音楽ファンにはおなじみの,OEKの弦楽器メンバー4人から構成されています。プログラムに書かれているプロフィールによると,2019年結成となっていますが,演奏会を行なうのは今回が初めてです。

「全16曲あるベートーヴェンの弦楽四重奏曲を演奏する目的で結成」と書かれているとおり,今回を皮切りに,全曲演奏に挑戦するようです。その記念すべき第1回公演で演奏されたのは,第1番,第8番「ラズモフスキー第2番」,第12番の3曲でした。私自身,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲を生で聴いたことはないのですが,今回の素晴らしい演奏を聴いて,「いっしょに全曲制覇したいな」という気持ちになりました。

まず,どの曲も,慌てることのないテンポでくっきりと演奏されていたのが演奏されていたのが素晴らしいと思いました。いつも室内オーケストラの中で一緒に演奏しているメンバーということで,その音のバランスもとても良いと思いました。弦楽四重奏というと第1ヴァイオリンが中心になることが多いのですが,青木さんの音は安定感抜群でしっかりとした音を聞かせながらも一人だけが目立つことはなく,4人が一体となったような練られたサウンドとパート間の緻密な音の受け渡しを楽しむことができました。金沢市アートホールで聴くと,しっかり内声部の音も楽しむことができるので,4人の「音の職人」がベートーヴェンの音楽に真摯に取り組んでいる様をしっかり感じ取ることができました。

今回演奏された3曲は,前期,中期,後期から1曲ずつ選ばれていましたが,それぞれ30分前後かかる「大曲」で,終演時間は9:15頃になりました。上述のとおりとてもじっくりと真正面から取り組んでいるような演奏ばかりでしたので,大変充実した時間を過ごすことができました。

第1番はいちばん古典的な作品でしたが,「ベートーヴェンは最初からすごい」と感じさせる緻密さがありました。第2楽章は「ロメオとジュリエット」の墓場の場面から構想を得たと解説に書かれていたとおり,ひんやりとした悲しみがじわじわ伝わってきました。音の動きが特徴的な第3楽章,軽く鮮やかな第4楽章と,非常に均整のとれた音楽を楽しむことができました。

第8番は「ラズモフスキー」と呼ばれる四重奏曲の第2番です。冒頭の鋭い和音2つを聴いて,まずビシッと気合を入れられました。第2楽章は平穏さの中に緻密な緊張感も漂う感じ。どこか思わせぶりの第3楽章の後,ガッチリとしたリズムの上で颯爽と第1ヴァイオリンが弾むような第4楽章。ベートーヴェンの「傑作の森」の曲らしいなぁと思いました。

第12番は,「変わった曲」揃いの後期の弦楽四重奏曲の中では,いちばんオーソドックスな曲かもしれません。第1楽章冒頭の和音には,広々とした空気感を感じさせる厚みがありました。静かで誠実な雰囲気のある第2楽章の後は生き生きとした第3楽章スケルツォ。第4楽章は,プログラムの解説に「田園」交響曲の終楽章を思わせる大合奏と書かれていたとおりの雰囲気(恐らく,メンバーの方が書かれたものだと思いますが,とても分かりやすい曲目解説でした)。曲の最後の方,一音一音をしっかりと演奏しながら,感情がじわじわと高まっていく感じが素晴らしいと思いました。「いい音楽をきいたなぁ」という終わり方でした。

というわけで,私もこのクワルテットの演奏を聞きながら,一緒にべートーヴェン制覇に挑戦したいとと思います。次回は12月25日クリスマスとのことです。

2022/02/19

本日はニコラ・プロカッチーニ オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂へ。今年生誕200年のフランクの作品3曲,アランの3つの舞曲などフランスのオルガン曲を中心に健康的だけれども,刺激的な音楽を楽しませてくれました。

本日はニコラ・プロカッチーニ オルガン・リサイタルを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。プロカッチーニさんは,イタリア出身の若手オルガン奏者で,現在,札幌コンサートホールの専属オルガニストとして活躍をされています。

プログラムは,今年生誕200年のフランクの作品3曲,アランの3つの舞曲,フランス古典期の作曲家グリニーの作品,ヴィエルヌの小品などフランスのオルガン曲を中心に,色々な時代のオルガン曲を楽しませてくれました。構成的には,昨年11月に聴いたミシェル・ブヴァールさんのリサイタルと似た部分もありましたが,バッハやメンデルスゾーンの曲が入っており,よりインターナショナルな選曲となっていました。

演奏された曲で特に印象に残ったのは,やはりフランクの3曲でした。プロカッチーニさんの演奏は,とても誠実で,健康的な雰囲気があるのがフランクの音楽にマッチしていると思いました。

「前奏曲,フーガと変奏曲」は,何となくとっつきにくそうなタイトルですが,ちょっとメランコリックな気分が流れる,「ロマン派のオルガンだ」という感じの作品で土曜日の午後に聴くのにぴったりという,落ち着いた魅力がありました。コラール第2番はフランク最晩年の作品で,より重量感がある作品で大変聴きごたえがありました。最後の部分,静かな音が長~く伸ばされて終わるあたりの不思議な気分もとても魅力的でした。パストラールでは,基調と作る穏やかな気分と中間部でのさざ波が起こるような感じの部分の対比が良いなと思いました。

その他の曲では,アランの「3つの舞曲」が大変面白い作品でした。ジャズ~ポップスなどを思わせるリズムが出てくるなど,足鍵盤が大活躍。ミステリアスな気分,オリジナリティあふれる音色,何が出てくるか分からないような曲想...プロカッチーニさんの生き生きとした刺激的な演奏にぴったりマッチしていました。アランというのは,往年の名オルガニスト,マリー=クレール・アランのお兄さんで,第2次大戦中に29歳で亡くなった作曲家です。過去,何回か石川県立音楽堂のオルガン・リサイタル・シリーズでもその曲が取り上げられてきました。どの曲も才気あふれる作品で,若く亡くなったのが本当に惜しいと改めて思いました。

演奏会の最後は,メンデルスゾーンのオラトリオ「聖パウロ」の序曲をオルガン用に編曲したもので締められました。バッハのマタイ受難曲を再演した,メンデルスゾーンらしくバッハへのオマージュのような敬虔な美しさがあり,曲の最後に向かって前向きに高揚していく感じが素晴らしいと思いました。本日の金沢は小雨が降っていましたが,音楽堂内には青空が広がっているような感じでした。

プロカッチーニさんは,札幌で活躍されている方ということで,今後もまた石川県立音楽堂のオルガンを演奏される可能性はありそうですね。今後の活躍に期待をしたいと思います。ちなみに,今年度次回のオルガン・リサイタルでは,是非フランクのコラールの3番を聞いてみたいものです。前回のブヴァールさんの時は1番を聞いたので,これでコンプリートになります。

2021/12/18

今晩は上野星矢フルートリサイタル@金沢市アートホールへ。三大ソナタを集めた充実のプログラム。気持ちの良いフルートの音に満たされてきました。先行発売のCDも購入。サイン会も大盛況

昨晩から金沢では,この冬一番の寒波を受け,雪が少し積もりました。が,このくらいならば,支障はないですね。そんな中,金沢市アートホールで行われた上野星矢フルート・リサイタルを聞いてきました。金沢でフルートの演奏会が行われることは少ないのに加え,「三大ソナタ」というキャッチフレーズに妙に惹かれ,聞きに行くことにしました。

上野さんの演奏を聴くのは今回が初めてだったのですが,まず,そのフルートの音に感激しました。非常に落ち着いた雰囲気で気負った感じは全くないのに,そこから出てくる音には力がありました。音量も豊かなのですが,ぎゅっと引き締まっており,その音に浸っているだけで充実感を感じました。

演奏後,上野さんは「フルートとしてはこれ以上ないぐらいの重いプログラムに挑戦しました」と語っていたとおり,カール・フリューリングの幻想曲に続いて,フランク(有名なヴァイオリン・ソナタのフルート版),プロコフィエフ,ライネッケのフルート・ソナタが演奏されるという構成でした。この3つのソナタはいずれも20分~30分ぐらいの曲で,「3大ソナタ」(この呼称は今回初めて知ったのですが)という名にふさわしく,どの曲がメインプログラムになってもおかしくないような聴きごたえがありました。

この日はライネッケのフルート・ソナタ「ウンディーネ」が最後に演奏されました。実演では初めて聞く曲でしたが,「ウンディーネ=水の精」ということで,どこか流動的でしっとりとした気分のある第1楽章から魅力的な音楽が続きました。湿度の高い,金沢の冬の気分にもぴったりかもと思いました。

フランクのソナタは,先日,ルドヴィート・カンタさんのチェロで聴いたばかりです。ヴァイオリン以外で聴いても名曲は名曲です。上野さんのフルートの音はとても健康的で,息長くしっかりと歌われるので,音楽に包み込まれるような感じになります。第2楽章,第4楽章の終結部の盛り上がりも素晴らしいものでした。平然と演奏しているけれども,この日のピアノの内門卓也さんと一体となって,音楽が自然に熱気をまとってくる感じを味わえるのは,やはりライブならではだと思いました。

プロコフィエフのソナタの方は,フランクとは反対に,オリジナルがフルート・ソナタで,ヴァイオリン用に編曲した版もよく演奏されるという曲です。以前から親しみやすい雰囲気の曲だなと思っており,一度実演で聴いてみたいと思っていた作品でした。古典的な雰囲気で始まった後,プロコフィエフらしく,段々とヒネリが入ってくる感じなのですが,上野さんの演奏は,シニカルな感じにならず,どの楽章を取っても精気に富んだ美しい音楽になっているのが良いなぁと思いました。

今回の公演(金沢以外にも全国でツァーを行っています)は,この3曲を収録した新譜CD(1月に発売とのことです)のプロモーションも兼ねている感じでしたが,本日はそれ以外にカール・フリューリングという作曲家の幻想曲という初めて聞く作品も演奏されました。この曲もとても魅力的な作品でした。というわけで,15分の休憩を入れてほぼ2時間の充実した内容の公演でした。

さらにアンコール!ここでは,クロード・ボーリングという作曲家の「ジャズ組曲」から「センチメンタル」という,とても親しみやすいう曲が演奏されました。ジャズというよりは,ポップス的な曲(1970年代のカーペンターズの曲にありそうな感じ)でしたが,重いプログラムを締めるには絶好の曲でした。

終演後はCD購入者には,上野さんと内門さんがサインを行ってくれる,ということで嬉しくなって参加してきました。会場のお客さんはフルート愛好家が大勢集まっている感じで,サイン会も大盛況。これから年末にかけて,このCDの方もしっかりと楽しみたいと思います。

2021/12/03

#宮谷理香 デビュー25周年記念ピアノリサイタル 未来への前奏曲@北國新聞赤羽ホール。前半は,じっくりと演奏された前奏曲尽くし。後半は弦楽六重奏との共演による正統派のショパンの2番の協奏曲。小林仁さんとの対談を交えた充実の演奏会でした。

今晩は,金沢市出身のピアニスト宮谷理香さんの「デビュー25周年記念ピアノリサイタル:未来への前奏曲」を北國新聞赤羽ホールで聴いてきました。実は,石川県立音楽堂では楽都音楽祭秋の陣公演でOEKの演奏会も行っていたのですが,「デビュー25周年」「前奏曲尽くしの前半」「弦楽六重奏との共演によるショパンのピアノ協奏曲第2番」といった点に強く惹かれ,こちらを選ぶことにしました。

宮谷さんは1995年のショパン国際ピアノコンクールで5位入賞後,1996年に金沢でデビュー・リサイタルを行いました。「あれから25年になるのか」という感慨を持ちつつ,最初に演奏されたバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番の前奏曲を聴いてびっくり。おおっと思わせるほどゆったりとしたテンポで開始。深く沈潜する雰囲気は,これまでの宮谷さんの演奏にはなかった境地では,と感じました。

続いて,同じハ長調のショスタコーヴィチの24の前奏曲第1番。バッハと連続して演奏しても全く違和感なくつながるのが面白かったのですが,段々とショスタコーヴィチらしく,ちょっとひねった気分に。その後もドビュッシーの前奏曲集,ラフマニノフの前奏曲「鐘」と続いていきました。というわけで,前半全体として,宮谷さんが再構成した新しい曲を聴くような面白さがありました。そして,どの曲についても宮谷さんのピアノのタッチの美しさを味わえました。

トークの中で宮谷さんは,「コロナ禍の閉塞感におおわれた時期を力を蓄えるための時間ととらえている。今回演奏する前奏曲は,その後に続く未来への前奏曲です」といったことを語っていました。その深く考えられた演奏からも,そのことが伝わってきました。25周年に続く,これからの宮谷さんの演奏活動がますます楽しみになる前半でした。

前半の最後は,ショパンの24の前奏曲集の最後の5曲。ラフマニノフの「鐘」嬰ハ短調の後,20番ハ短調が演奏されたのですが,この2曲の雰囲気が結構似ているなぁと新たな発見がありました。この曲集は,長調と短調が交互に出てきますが,その曲想のコントラストも面白かったですね。24番前奏曲は壮絶な雰囲気な演奏もありますが,宮谷さんの演奏は毅然として未来に立ち向かうような感じでした。

後半は小林仁さん編曲による,ショパンのピアノ協奏曲第2番の弦楽六重奏との共演版が演奏されました。その前に行われた,小林さんと宮谷さんによる対談も興味深いものでした。宮谷さんは1995年のショパン・コンクールで5位,小林さんの方は1960年のショパン・コンクールで入賞。宮谷さんが出場した1995年は小林さんが審査員だったという因縁があります。「ショパン・コンクール今昔」といった感じで,次々と面白いエピソードが出てきました。お話を伺いながら,このコンクールが長年,世界的権威のあるコンクールとして継続しているのは,ポーランド市民の「ショパン愛」の大きさの反映なのだなと感じました。

このピアノ協奏曲第2番の演奏ですが,オーケストラ伴奏に近い雰囲気と室内楽的な雰囲気とが交錯していたのが面白かったですね。OEKの客員コンサートマスターとしてもおなじみの水谷晃さんを中心とした,初期ロマン派の気分たっぷりの六重奏と宮谷さんの凛としたピアノ。大ホールで聴く協奏曲とは違った魅力を感じました。宮谷さんのピアノからは,正統派ショパンといった「高貴なロマン」を感じました。

宮谷さんも小林さんもショパンコンクールに出場した際は,第2番を演奏したとのことですが(今年,インターネットで観たコンクールの様子を考えると,お二人ともファイナルまで進んで協奏曲を演奏していること自体,「すごいなぁ」と感じました),特に弦楽六重奏版にぴったりの曲だと思いました。

今回の前半のプログラムは宮谷さんの新譜CDの選曲と重なっていましたので,25周年のご祝儀のような感じで会場でCDも購入。宮谷さんの直筆サイン入り色紙が特典として付いており,良い記念になりました。宮谷さんは,ほぼ満席の客席を観て感激されていましたが,アフターコロナの時代の宮谷さんも応援していきたいと思います。

#宮谷理香 デビュー25周年記念ピアノリサイタル 未来への前奏曲@北國新聞赤羽ホール。前半は,じっくりと演奏された前奏曲尽くし。後半は弦楽六重奏との共演による正統派のショパンの2番の協奏曲。小林仁さんとの対談を交えた充実の演奏会でした。

今晩は北國新聞赤羽ホールで行われた,金沢市出身のピアニスト宮谷理香さんの「デビュー25周年記念ピアノリサイタル:未来への前奏曲」を聴いてきました。実は,石川県立音楽堂では楽都音楽祭秋の陣公演でOEKの演奏会も行っていたのですが,「デビュー25周年」「前奏曲尽くしの前半」「弦楽六重奏との共演によるショパンのピアノ協奏曲第2番」といったことに強く惹かれ,こちらの公演を選ぶことにしました。

宮谷さんは1995年のショパン国際ピアノコンクールで5位入賞後,1996年に金沢でデビュー・リサイタルを行っています。「あれから25年になるのか」という感慨を持ちつつ,最初に演奏されたバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番の前奏曲を聴いてびっくり。おおっと思わせるほどゆったりとしたテンポで開始。深く沈潜するような雰囲気は,これまでの宮谷さんの演奏にはない境地では,と感じました。

続いて,同じ調性のショスタコーヴィチの24の前奏曲第1番。バッハの後,連続して演奏しても全く違和感なくつながるのが面白かったのですが,段々とショスタコーヴィチらしく,ちょっとひねった気分になってきました。その後もドビュッシーの前奏曲集,ラフマニノフの前奏曲「鐘」と続いていきました。宮谷さんが再構成した新しい曲を聴くような面白さがありました。そして,どの曲も宮谷さんのピアノのタッチの美しさを味わえました。

トークの中で宮谷さんは,「コロナ禍の閉塞感におおわれた時期を,力を蓄えるための時間ととらえている。今回演奏する前奏曲は,その後に続く未来への前奏曲です」といったことを語っていましたが,その深く考えられた演奏からも,そのことが伝わってきました。25周年に続く,これからの演奏活動がますます楽しみになる「前奏曲集」でした。

前半の最後は,ショパンの24の前奏曲集の最後の5曲。ラフマニノフの「鐘」嬰ハ短調の後,20番ハ短調が演奏されたのですが,この2曲の雰囲気が結構似ているのが面白かったですね。この曲集は,長調と短調が交互に出てきますが,その曲想のコントラストも面白かったですね。24番前奏曲は壮絶な雰囲気な演奏もありますが,宮谷さんの演奏は毅然として未来に立ち向かう感じでした。

後半は小林仁さん編曲による,ショパンのピアノ協奏曲第2番の弦楽六重奏との共演版が演奏されました。その前に行われた,小林さんと宮谷さんによる対談も興味深いものでした。宮谷さんは1995年のショパン・コンクールで5位,小林さんの方は1960年のショパン・コンクールで入賞。宮谷さんが出場した1995年は小林さんが審査員だったという因縁があります。「ショパン・コンクール今昔」といった感じで,次々と面白いエピソードが出てきました。お話を伺いながら,このコンクールが長年,世界的権威のあるコンクールとして継続しているのは,ポーランドの人たちの「ショパン愛」の大きさの反映なのだなと感じました。

このピアノ協奏曲第2番の演奏ですが,オーケストラ伴奏に近い雰囲気と室内楽的な雰囲気とが交錯していたのが面白かったですね。OEKの客員コンサートマスターとしてもおなじみの水谷晃さんを中心とした,初期ロマン派の気分たっぷりの六重奏と宮谷さんの凛としたピアノ。大ホールで聴く協奏曲とは違った魅力を感じました。宮谷さんのピアノからは,正統派ショパンといった「高貴なロマン」を感じました。

宮谷さんも小林さんもショパンコンクールに出場した際は,第2番を演奏したとのことですが(今年,インターネットで観たコンクール様子を考えると,お二人ともファイナルまで進んで協奏曲を演奏していること自体,「すごい」と感じます),特に弦楽六重奏版にぴったりの曲だと思いました。

今回の前半のプログラムは宮谷さんの新譜CDの選曲と重なっていましたので,25周年のご祝儀のような感じで会場でCDも購入。宮谷さんの直筆サイン入り色紙が特典として付いており,良い記念になりました。宮谷さんは,ほぼ満席の客席を観て感激されていましたが,アフターコロナの時代の宮谷さんも応援していきたいと思います。

#宮谷理香 デビュー25周年記念ピアノリサイタル 未来への前奏曲@北國新聞赤羽ホール。前半は,じっくりと演奏された前奏曲尽くし。後半は弦楽六重奏との共演による正統派のショパンの2番の協奏曲。小林仁さんとの対談を交えた充実の演奏会でした。

今晩は北國新聞赤羽ホールで行われた,金沢市出身のピアニスト宮谷理香さんの「デビュー25周年記念ピアノリサイタル:未来への前奏曲」を北國新聞赤羽ホールで聴いてきました。実は,石川県立音楽堂では楽都音楽祭秋の陣公演でOEKの演奏会も行っていたのですが,「デビュー25周年」「前奏曲尽くしの前半」「弦楽六重奏との共演によるショパンのピアノ協奏曲第2番」といったことに強く惹かれ,こちらの公演を選ぶことにしました。

宮谷さんは1995年のショパン国際ピアノコンクールで5位入賞後,1996年に金沢でデビュー・リサイタルを行っています。「あれから25年になるのか」という感慨を持ちつつ,最初に演奏されたバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番の前奏曲を聴いてびっくり。おおっと思わせるほどゆったりとしたテンポで開始。深く沈潜するような雰囲気は,これまでの宮谷さんの演奏にはない境地では,と感じました。

続いて,同じ調性のショスタコーヴィチの24の前奏曲第1番。バッハの後,連続して演奏しても全く違和感なくつながるのが面白かったのですが,段々とショスタコーヴィチらしく,ちょっとひねった気分になってきました。その後もドビュッシーの前奏曲集,ラフマニノフの前奏曲「鐘」と続いていきました。宮谷さんが再構成した新しい曲を聴くような面白さがありました。そして,どの曲も宮谷さんのピアノのタッチの美しさを味わえました。

トークの中で宮谷さんは,「コロナ禍の閉塞感におおわれた時期を,力を蓄えるための時間ととらえている。今回演奏する前奏曲は,その後に続く未来への前奏曲です」といったことを語っていましたが,その深く考えられた演奏からも,そのことが伝わってきました。25周年に続く,これからの演奏活動がますます楽しみになる「前奏曲集」でした。

前半の最後は,ショパンの24の前奏曲集の最後の5曲。ラフマニノフの「鐘」嬰ハ短調の後,20番ハ短調が演奏されたのですが,この2曲の雰囲気が結構似ているのが面白かったですね。この曲集は,長調と短調が交互に出てきますが,その曲想のコントラストも面白かったですね。24番前奏曲は壮絶な雰囲気な演奏もありますが,宮谷さんの演奏は毅然として未来に立ち向かう感じでした。

後半は小林仁さん編曲による,ショパンのピアノ協奏曲第2番の弦楽六重奏との共演版が演奏されました。その前に行われた,小林さんと宮谷さんによる対談も興味深いものでした。宮谷さんは1995年のショパン・コンクールで5位,小林さんの方は1960年のショパン・コンクールで入賞。宮谷さんが出場した1995年は小林さんが審査員だったという因縁があります。「ショパン・コンクール今昔」といった感じで,次々と面白いエピソードが出てきました。お話を伺いながら,このコンクールが長年,世界的権威のあるコンクールとして継続しているのは,ポーランドの人たちの「ショパン愛」の大きさの反映なのだなと感じました。

このピアノ協奏曲第2番の演奏ですが,オーケストラ伴奏に近い雰囲気と室内楽的な雰囲気とが交錯していたのが面白かったですね。OEKの客員コンサートマスターとしてもおなじみの水谷晃さんを中心とした,初期ロマン派の気分たっぷりの六重奏と宮谷さんの凛としたピアノ。大ホールで聴く協奏曲とは違った魅力を感じました。宮谷さんのピアノからは,正統派ショパンといった「高貴なロマン」を感じました。

宮谷さんも小林さんもショパンコンクールに出場した際は,第2番を演奏したとのことですが(今年,インターネットで観たコンクール様子を考えると,お二人ともファイナルまで進んで協奏曲を演奏していること自体,「すごい」と感じます),特に弦楽六重奏版にぴったりの曲だと思いました。

今回の前半のプログラムは宮谷さんの新譜CDの選曲と重なっていましたので,25周年のご祝儀のような感じで会場でCDも購入。宮谷さんの直筆サイン入り色紙が特典として付いており,良い記念になりました。宮谷さんは,ほぼ満席の客席を観て感激されていましたが,アフターコロナの時代の宮谷さんも応援していきたいと思います。

2021/11/20

本日は #ルドヴィート・カンタ チェロリサイタル@石川県立音楽堂へ。前回同様,ピアニストの #沼沢淑音 さんとの共演。ショスタコーヴィチ,パーレニーチェク,フランクの聴きごたえのある作品を充実した演奏で聴かせてくれました。最後は恒例大アンコール大会。加賀友禅特使就任記念で,カンタさんは特製陣羽織着用。決まってました。

本日はオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の名誉楽団員でもある,ルドヴィート・カンタさんのチェロリサイタルを石川県立音楽堂コンサートホールで聴いてきました。共演は前回同様,ピアニストの沼沢淑音(よしと)さんでした。

カンタさんと沼沢さんは,数年前から意気投合し,前回のリサイタルの時は,プロコフィエフとラフマニノフのチェロ・ソナタというロシア~ソ連の作曲家の作品を取り上げました。今回も最初に演奏された作品もショスタコーヴィチのチェロ・ソナタということで,「ロシア・シリーズ」完結といった趣きがありました。

ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタを実演で聴くのは2回目だと思うのですが,個性的で魅力的な作品だなぁと改めて思いました。憂いとロマンに満ち,2人がじっくりと対話するような雰囲気の第1楽章。ショスタコーヴィチならではの狂気を平然と表現した第2楽章スケルツォ。カンタさんの味わい深いチェロの音が染み渡った3楽章。そして,不思議なユーモアを飄々と表現したような第4楽章。沼沢さんのピアノが冴え渡っていました。

2曲目に演奏された,チェコのピアニスト・作曲家パーレニーチェクの「コラール変奏曲」は,カンタさんこだわりの1曲です。この曲も以前にカンタさんの演奏で聴いた記憶がありますが,最初から最後まで充実した響きとアイデアに溢れた作品であり,演奏でした。変奏曲形式で,色々なタイプの音楽が次々と登場し,全く退屈しませんでした。カンタさんの気力が乗り移ったような演奏を存分に楽しめました。

後半は,フランクのソナタが演奏されました。オリジナルはヴァイオリン・ソナタですが,チェロでもよく演奏される,名曲中の名曲です。ヴァイオリンで聴く時よりは落ち着いた雰囲気にはなりますが,各楽章の魅力がさり気なくかつ十全に表現されており,「秋に聴くフランク」といったしっとりとした美しさが溢れていました。

この曲はピアノのパートも難しいと言われていますが,沼沢さんのピアノは万全。第1楽章最初の色気が漂う音から,第4楽章最後の速いパッセージまで,カンタさんのノーブルな演奏とがっぷり四つに組んだ演奏を聴かせてくれました。

盛大な拍手に応えて演奏されたアンコールは5曲。この「アンコール大会」もすっかりお馴染みとなりました。当然のように次から次へと演奏。今回は弱音器を付けて演奏する美しい作品が続々と登場。改めて,カンタさんの音の素晴らしさと実感できました。

そして,この日の公演で忘れてならないのは,カンタさんが「加賀友禅特使」というのに就任し,特製陣羽織を着用を着て演奏されたことです。第1曲の前に,この陣羽織をデザインした加賀友禅作家の古泉良範さんがステージに登場してあいさつをされました。石川県をイメージした洗練されたデザインで,クラシック音楽にもマッチしていました。これからこの衣装を着て演奏されることも増えるかもしれませんね。

休憩時間も含めると2時間15分を越える長い演奏会になりましたが,カンタさん,沼沢さん共に気力の充実した,堂々たる内容の演奏会を堪能しました。

2021/11/09

ミシェル・ブヴァール オルガン・リサイタル@石川県立音楽堂 フランスのオルガン音楽の歴史を一気に体感できる充実の2時間(以上)でした。

今晩は,ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂首席オルガニストである,ミシェル・ブヴァールさんのオルガン・リサイタルが石川県立音楽堂で行われました。演奏されたのは,フランスのオルガン作品ばかり。時間を気にせずにずっと聞いていたのですが,終演時間(アンコール2曲を含め)を見てびっくり。21:15頃までフランスのオルガン音楽のエッセンスに浸ってきました。

前半は16世紀から18世紀の音楽で,素朴で明快な音楽をゆったりと楽しませてくれました。作曲者名さえ知らない曲が続きましたが,音色の変化がとても面白く,色彩感豊かな心地よい世界を堪能しました。

後半は,19世紀から20世紀前半の音楽。最初に演奏されたフランクのコラール第1番が素晴らしいと思いました。15分ぐらいある曲で,この日演奏された曲の中ではいちばん長かったと思いますが,その厚みのある暖かみが大変魅力的でした。ワーグナーのオペラを思わせるような,濃厚で少し甘美な世界は,石川県立音楽堂のパイプオルガンにぴったりだと思いました。

その後演奏された曲は,フランクの弟子のヴィエルヌ(日本の学校でもおなじみのウェストミンスターのチャイムのメロディによる作品),ヴィエルヌの弟子のJ.ブヴァールと系図をたどるような配列でした。ちなみに,J.ブヴァールという人はミシェル・ブヴァールさんのおじいさんです。フランクの演奏が素晴らしかったのも納得という感じでした。

プログラムの最後のコーナーは,「連祷(リタニー)」つながりの3作品でした。デュプレの「行列と連祷」の後は,このデュプレの曲をモチーフとしたJ.アランの「連祷」。最後は,J.アランを追悼してデュリュフレが作曲した「アランの名による前奏曲とフーガ」。「連祷の連続」という面白さがありました。

アランの作品は以前にも一度聞いたことがありますが,とても新鮮さのある音楽で,若くして亡くなった才能をデュリュフレが悼む気持ちが分かるような作品であり,演奏でした。

ブヴァールさんの演奏は,多彩な音色に加え,音量の変化もかなりくっきりと付けていました。各曲とも最後の音を堂々と長く伸ばし,どの曲も自信にあふれていました。フランスのオルガン音楽の王道の歴史を楽しんだ2時間でした。

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