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コンサート(OEK以外)

2017/03/26

石川県ジュニアオーケストラ,今年の定期公演は「100万回生きたねこ」,スターウォーズ,ダンサー付きのバレエ音楽。「これで無料?」と思わせるほど豪華で変化に富んだ充実した内容でした

この時期恒例の石川県ジュニアオーケストラの定期演奏会を聞いてきました。この演奏会も今回で23回目となります。毎回,趣向を凝らしたプログラムになっていますが,今回は特に豪華で,「これで無料?」というぐらいの充実感と変化に富んだ内容でした。

最初に演奏された「100万回生きたねこ」は,昨年の夏に続いての再演です。前回と違うのは,ナレーションがジュニア・オーケストラのメンバーの女子高校生が担当したことです。前回の太郎田真理さんによるナレーションも素晴らしかったのですが,今回の南部真奈さんのナレーションも別の良さが出ていたと思います。大げさになり過ぎることなく,しっかりとドラマが伝わっただけでなく,トラネコが白ネコに「一緒に暮らそう」と語るあたりでは,物語にぴったりの初々しさを感じました。高校生がナレーションをする点では,武満徹の「系図」を思わせるようなムードも感じましたが,個人的には,今回の作品の方が好みです。

ジュニア・オーケストラの演奏も2回目の演奏ということで,安心して聞くことができました。ナレーションの「行間」の気分をしっかりと盛り上げてくれました。

その後,ジョン・ウィリアムズ作曲の映画「スター・ウォーズ」のメインタイトルが演奏されました。オーケストラ・メンバーによる演奏したい曲の人気投票では,いつも上位に来る曲とのことです。今回はこの難曲に挑戦し,見事に聞かせてくれました。

曲の最初の方のトランペットのハイトーンなど,かなり大変だったと思いますが,しっかりと聞かせてくれ,しかも,爽やかさを感じさせてくれました。弦楽器の滑らかな演奏も印象的でした。木管楽器の人数もとても沢山いたこともあり,予想以上に充実した演奏を聞かせてくれました。

後半は,エコール・ドゥ・ハナヨ・バレエの皆さんのバレエを加えてのステージでした。こちらも大変楽しいステージでした。

最初にオッフェンバックの「天国の地獄」の中のカンカンの部分が演奏されました。ステージ奥を少し高くして,そこでバレエを踊る形になっていましたが,大変華やかで,しかも格好良いものでした。ダンサーたちがステージ中央の扉からスーっと入って来るだけで,嬉しくなりました。スピード感のある音楽に合わせて,ぴったりと揃った群舞を見せ,さらに,ソロのダンサーたちがフェッテ(連続回転)を見事に見せる部分があるなど,予想以上にハイレベルな踊りで感激しました。

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の方は,5曲の抜粋でしたが,このバレエ音楽らしく,親しみやすい音楽に乗って,次から次へとダンサーが登場してきて,会場の気分がさらに盛り上がりました。やはりダンスの力は偉大です。

クララ(?)が大勢出て来た「行進曲」,ハイジャンプが素晴らしかった「トレパック」,これぞバレエという優雅さのあった「あし笛の踊り」,そして小さい子どもたちが大きなスカートの下からゾロゾロ出てくる「ギゴーニュおばさんと子どもたち」。過去,鈴木織衛さん指揮OEKで,「くるみ割り人形」の全曲を見たことがありますが,その時の幸福感たっぷりの気分が蘇ってきました。

最後は「終幕のワルツとアポテオーズ」ということで,全員が出てきて,一緒に踊る曲になります。ワルツの最後の方で,音楽が盛り上がり,「全員で踊る」ところは特に好きな部分です。

このワルツの最初の「ジャーン」という音を聞くと,華やかだけれども「もうすぐ全曲が終わってしまうなぁ」というちょっと切ない気分になります。今回は5曲だけだったのですが,しっかりそういう気分になりました。ジュニアオーケストラの音は,包容力のある音で,見事に全曲を締めてくれました。

というわけで,今年の定期公演は,ナレーション付きの曲,スターウォーズ,ダンサー付きのバレエ音楽と,特に豪華で充実した内容だったと思います。

2017/03/15

鶴見彩ピアノリサイタル。20年に渡る活動の総決算になるような,曲の良さが率直に伝わる,聞きごたえのある演奏の連続でした

この一週間で3回目の演奏会になったのですが,今晩は,金沢を中心に活躍しているピアニスト,鶴見彩さんのリサイタルが行われたので聞いてきました。鶴見さんは,約20年前に第1回石川県新人登竜門コンサートでOEKと共演して以来,多彩な活動をされています。特にチェロ奏者のルドヴィート・カンタさんをはじめとしたOEKメンバーとの共演も頻繁に行っています。恐らく,金沢でもっとも信頼されているピアニストの一人ではないかと思います。

その鶴見さんのリサイタルですが,ブラームスとベートーヴェンの晩年の作品とリストの大曲,ピアノ・ソナタ ロ短調を組み合わせた,大変聞きごたえのある内容でした。どの曲も難曲と言って良い作品だと思いますが,重く気負い過ぎることなく,各曲の美しさ,立派さ,魅力を率直に伝えてくれる見事な演奏を聞かせてくれました。

ブラームスの6つの小品については,もっと暗く,渋い印象を持っていたのですが,鶴見さんの演奏にはセンチメンタルになることのない,かっちりとまとまった質実さのようなものがあると思いました。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番は,「風と緑 楽都音楽祭」でも鶴見さんが演奏する曲です。第3楽章の最初に「嘆きの歌」と呼ばれる有名な部分がありますが,この部分でも情緒的になり過ぎることなく,むしろ淡々とした雰囲気がありました。そのことで,よりリアルな悲しみが伝わってくるようでした。フーガの部分での次第に昇華されていくような気分も素晴らしいと思いました。

最後に演奏されたリストのピアノ・ソナタは,鶴見さんのこの20年の活動の総決算になるような,スケールの大きさのある演奏でした。この曲は,最初の方に出てくる,いくつかの主要モチーフが,その後,何回も手を変え品を変え展開されていくような作品です。静かで清らかな部分,キラキラとした速いパッセージ,大きく盛り上がる強打の連続...非常に変化に富んでいます。鶴見さんは,どんなに音楽が変化しても,形が崩れることはなく,しっかりと地に足のついた安定感のある音楽を聞かせてくれました。

鶴見さんの作る音楽自体は,強打で圧倒するような感じでないのですが,曲が終盤になるにつれて,演奏全体に凄味が出てきて,音楽全体がどんどん深みを増していくようでした。

金沢では今回演奏されたような渋めの曲を聞く機会は多くありません。今回の鶴見さんのような,曲を歪めない,誠実な演奏で聞くと,その良さをしっかりと味わうことができます。終演後のお客さんの暖かく,盛大な拍手を聞いて,改めて,鶴見さんのピアノへの信頼の厚さを実感できた演奏会でした。

2017/01/28

音楽堂室内楽シリーズ ヤノシュ・オレイニチャク ピアノ・リサイタル。サロン風を意識した,余裕たっぷり,安心して楽しめる大人のショパン。プログラムも雰囲気に応じてどんどん変更

本日は午後から,「音楽堂室内楽シリーズ Vol.4 ヤノシュ・オレイニチャク:エスプリ・ショパン:知られざる珠玉の名曲とともに」が石川県立音楽堂で行われたので聞いてきました。室内楽シリーズは,通常は交流ホールで行われているのですが,今回は,ポーランドを代表するショパン弾きの一人,ヤノシュ・オレイニチャクさんが登場するとあって,ゆったりとコンサートホールで行われました(ただし,3階は使っていませんでした)。

オレイニチャクさんは,2002年度のアカデミー賞受賞作映画「戦場のピアニスト」のサウンドトラックを演奏した方で,ショパンコンクールの審査員,ワルシャワ国立ショパン音楽院の教授でもあります。というわけで,正真正銘の「ショパンのスペシャリスト」ということになります。

ただし,この日のプログラムは,「サロンのショパンを再現したい」というコンセプトに基づくもので,ポロネーズ2曲,スケルツォ,バラード以外は,短めの作品が10曲ぐらい並んでいました。演奏の方も堅苦しさよりは,たっぷりとした余裕を感じさせてくれるものでした。もちろん,コンサートホールでの演奏ということで,十分なスケール感や力強さもありました。「さすが」という感じの,安定感のある演奏を堪能させてくれました。

プログラムの方は,かなり変更になっていました。オレイニチャクさんは,客席の雰囲気に応じて,後半になるに連れて,気分の赴くままにプログラムを変更していたようです。さらにアンコールは,ショパン以外の曲も含む4曲。この自由さは,アルトゥール・ルービンシュタイン(オレイニチェクさんの師匠に当たります)などに通じる,エンターテイナー的なキャラクターも持った巨匠ピアニストの系譜につらなると思いました。

キレの良いテクニックで力強く弾きまくる若手ピアニストの演奏も素晴らしいのですが,オレイチェニクさんのような存在は,これからますます貴重になるのではないかと思いました。

最後に本日演奏された曲目です。私も全部分からなかったのですが,会場に案内が出ていませんでしたので,分かる範囲でご紹介しましょう。この日は,浦久俊彦さんがナビゲーター役として登場し,前半最後にインタビューコーナーがあったのですが(この内容もとても面白いものでした),恐らく,正式なプログラムは浦久さんのWebサイトの方で発表されるのでないかと思います。

ショパン/軍隊ポロネーズ
ショパン/ノクターン 嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
ショパン/ノクターンホ短調
ショパン/2つのマズルカ,op.24-1,2
ショパン/3つのマズルカ,op.63
ショパン/幻想即興曲 → バラード第1番に変更
ショパン/前奏曲 ホ短調,op.28-4
ショパン/スケルツォ第2番 → 英雄ポロネーズに変更
(休憩)
ショパン/ワルツ イ短調,op.34-2 → ワルツop.69-1「告別」に変更
ショパン/2つのワルツ,op.64-2,1 → 小犬のワルツは演奏せず
ショパン/ワルツ ホ長調
ここで,ワルツ イ短調 op.34-2を演奏
ショパン/ワルツ イ長調 → マズルカ(番号不明)に変更
ショパン/ポロネーズ変イ長調, op.53 → スケルツォ第2番に変更

(アンコール)
ピアソラ/オブリビオン
ショパン/小犬のワルツ
ドビュッシー/前奏曲集第2巻~花火
ショパン/前奏曲集第7番(太田胃酸のCMでおなじみ。胃腸調ならぬイ長調です)

これだけ,自在にプログラムが変わると,楽しくなってきますね。

2017/01/21

ルドヴィート・カンタ チェロ・リサイタル ボーリングのチェロとジャズ・ピアノ・トリオのための組曲を中心にリラックスして楽しめました

オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の首席チェロ奏者,ルドヴィート・カンタさんのリサイタルが石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。カンタさんのリサイタルも今回で19回目となりますが,プログラムに趣向が凝らされており,同じ曲というのがほとんど出てきていないのがすごいところです。

今回もまた,「新曲」が入っていました。後半に演奏された,ボーリングという現代の作曲家による,チェロとジャズ・ピアノ・トリオのための組曲という1984年の作品です。曲は,タイトル通りの作品で,チェロとピアノが擬似バロック音楽的な親しみやすい音楽を演奏しているうちに,コントラバスとドラムスが加わり,心地よいジャズの雰囲気になっていくといったとても面白い作品でした。

かつて人気のあった,ジャック・ルーシェトリオによる,「プレイ・バッハ」のような気分があり,とても新鮮でした。バロック音楽の組曲のように6曲からなっていたのですが,1曲ずつが結構長かったので,50分ぐらい演奏時間があったと思います。各曲の雰囲気に変化があり,大変リラックスして楽しむことができました。

カンタさんといえば,OEKに入る直前頃,NAXOSレーベルにジャズ風のカデンツァの入るハイドンとボッケリーニのチェロ協奏曲のCD録音を行っています。その面目躍如たる演奏でした。ちなみにジャズ・ピアノ・トリオのメンバーは,Julian,Rita,Umechuとクレジットされていましたが...ユリアン・リイムさんのピアノ,OEKのコントラバス奏者のマルガリータ・カルチェヴァさん,端谷博人さんのドラムスでした。リイムさんの軽快なピアノを始め,爽快なジャズを聞かせてくれました。

前半に演奏された2曲も,楽しむことができました。ドビュッシーのチェロ・ソナタはちょっと捉えどころがないけれども,ユーモアが漂うような,演奏でした。

フランクのチェロ・ソナタは,オリジナルはヴァイオリン・ソナタです。名曲中の名曲で,チェロでも時々演奏される曲ですが,やはり音域が少し下がることで,ヴァイオリンの時とは一味違った,落ち着きが感じられました。ヴァイオリン版がスウィートだとすれば,チェロ版はビター・スウィートといったところでしょうか。いつもどおり,さりげないけれども滑らかに流れるカンタさんのチェロの歌を楽しむことができました。第2楽章や第4楽章での勢いのある自信に満ちた音楽も見事でした。リイムさんのピアノは重苦しい感じはなく,フランス風味が感じられました。

それにしても,カンタさんのリサイタルの選曲は素晴らしいですね。次回は60歳記念の演奏会になるということで,どういう内容になるのか今から大変楽しみです。

2016/12/27

2016年の演奏会通いの締めは,大山平一郎指揮金沢大学フィルハーモニー管弦楽団による定期演奏会。非常に挑戦的な雰囲気の「悲愴」交響曲を聞かせてくれました。

2016年も沢山の演奏会に出かけてきましたが,その最後(予定)に,金沢大学フィルの定期演奏会を石川県立音楽堂で聞いてきました。指揮はベテラン指揮者の大山平一郎さんでした。プログラムは,ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲,スメタナの交響詩「モルダウ」,チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」という,ロマン派のオーケストラの名曲3曲でした。

例年,この定期演奏会は,年が明けたセンター試験の頃に行うのが恒例でしたが,今年は年末に行われました。平日の18:30開演ということで,ちょっと慌ただしくなりましたが,今年の「締め」のオーケストラ公演を楽しんできました。

大山さんの指揮ぶりには,弛緩したところがなく,たっぷりとしたボリューム感よりは,ちょっと辛口の引き締まった演奏を聞かせてくれました。特に「悲愴」は,過度に甘くなったり,思い入れたっぷりになったりすることなく,悲しさに挑むような強さを感じました。第1楽章冒頭のファゴットや展開部の直前の弱音などでは,ピリピリするような弱音で演奏されることがありますが,今回の演奏では,積極性のようなものを感じました。

反対に第3楽章は,やや遅めのテンポで,非常に冷静でくっきりとした演奏を聞かせてくれ,ただのお祭り騒ぎとは一線を画していました。第4楽章は,また速目のテンポになり,運命に立ち向かっていくような強さを感じさせてくれました。

「悲愴」と言えば,悲しさとロマンティシズムに溢れた,たっぷりとした大曲という印象を持っていたのですが,それを裏切るような挑戦的な演奏だったと思います。

金大フィルの演奏では,透明感を感じさせてくれる弦楽器の演奏が特に印象的でした。管楽器の方は,やや粗が目立つところはありましたが,冒頭のファゴットであるとか,要所で活躍するフルートなどが特に立派な演奏を聞かせてくれたと思いました。第3楽章でのティンパニ,大太鼓,シンバルの演奏も安定感があり,楽章全体を大変聞きごたえのあるものにしていました。

前半のワーグナーとスメタナの方も,スケールの大きなロマンティックな演奏というよりは,引き締まったテンポでぐいぐい攻めてくるような雰囲気があり,大変若々しいと思いました。どの曲もそうだったのですが,大山さんのエネルギーが金大フィルの演奏に非常によく反映していると思いました。

というわけで,今年の演奏会通いもこの演奏会でおしまいにする予定です。

2016/12/23

石川県音文協年末,本日は荘厳ミサを聞いてきました。やはり素晴らしい作品です。1年を振り返りつつ,平和を祈ってきました

石川県音楽文化協会の年末公演。先日の第9公演に続き,本日行われた荘厳ミサ曲の公演も聞いてきました。今年は北陸聖歌合唱団のメサイアも聞いて来たので,冬のトリプル・クラウン(?)制覇といったところです。

荘厳ミサを実演で聞くのも久しぶりですが,聞いた後は素晴らしい曲だな,といつも感じます。指揮の山口泰志さんのテンポ設定はゆっくり目で(我が家にある荘厳ミサのCDは1枚に収まっているので,そう感じたのかもしれませんが,90分ぐらいかかっていたと思います),すべての存在を暖かく包み込むような包容力を感じました。50年以上この曲を歌っている石川県合唱協会県民合唱団の,熱さと渋さを兼ね備えた歌にぴったりの雰囲気がありました。

オーケストラは第9に続いて,石川フィルでした。第9の時は追加メンバーが居たようですが,こちら方は,石川フィルのみによる演奏でした。短期間で大曲2曲を演奏するのは,大変だと思いますが,こちらも渾身の演奏だったと思います。特に第4曲後半のベネディクトゥスに出てくる,コンサートマスターが声楽の独唱者たちと一緒に演奏する天上の音楽が印象的でした。

独唱は,お馴染みのソプラノの石川公美さんに加え,テノールの倉石真さん,バスの清水宏樹さんが大変バランスの良い歌を聞かせてくれました。今年は,日伊国交150周年記念ということで,イタリアのメゾ・ソプラノのフランチェスカ・ロマーナ・イオリオさんが,メゾ・ソプラノで参加していました。イオリオさんの声は,すっきりとしているけれども,細かくヴィブラートが掛かっているような独特の声で,しっかり存在感を示していました。

全曲の中では,戦争の雰囲気の後,平和の祈りへとつながる,最終楽章がやはり印象的でした。じっくりとテンポを落として,噛みしめるように締められました。

この日,指揮者の山口さんによるプレトークが行われました。「荘厳ミサは平和を祈る曲,第9はそれを受けて,平和に至るには人類が兄弟にならねばならないと方法を示した曲(意訳)」と語られていましたが,なるほどと思いました。

ミサに先立って演奏された,モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスともども,クリスマス気分と同時に平和への祈りを強く感じた演奏会でした。

2016/12/18

石川フィル+県民合唱団による音文協年末公演第54回第九公演@金沢歌劇座。久しぶりに師走に第9を楽しんできました

年末のクラシック音楽といえば,全国的にはベートーヴェンの第9交響曲という人が多いのですが,金沢では,「メサイア」や「くるみ割り人形」の公演も多いこともあり,ここ数年,年末に第9は聞いて来ませんでした。これは,故岩城宏之さんの「第9は特別な時のために,なるべく指揮しないようにしていた」といった発言の影響もあるかもしれません(といいつつ,最晩年の岩城さんは毎年「全交響曲」を指揮していましたが...)。

今年は私の家族の知人が合唱団で出演するということで,石川県音楽文化協会による第9公演のチケットが私まで巡って来ました。そのこともあり,久しぶりに「師走の第9」に行くことにしました。12月に聞くのは,金聖響さんがOEKと作った交響曲全集用のライブ録音の時以来だと思います。

実は,本日はそれ以外にも,石川県立音楽堂では「ランドセルシリーズ」としてベートーヴェンの交響曲の抜粋を演奏していたので,OEKファンとしては,こちらに行くべきところでしたが...「小学生のための音楽会」ということなので,さすがに止めておきました。

さて今回の第9ですが,オーケストラの方が石川フィルハーモニー交響楽団をベースとした特別編成県民オーケストラ。合唱団の方も石川県合唱協会県民合唱団ということで,ソリスト以外は,すべてアマチュアによる公演でした。音文協では,このスタイルでベートーヴェンの荘厳ミサ曲も毎年演奏していますが,大変立派な取り組みだと思います。今年からはオーケストラのメンバーについても,公募でメンバーを追加しているとのことで,県民自身による第9路線がさらに強くなっていると思いました。

今回の指揮は,おなじみの花本康二さんでした。さすがに金沢歌劇座で聞くと,細かい部分で粗が目立つところがあったり,苦労しているなぁと感じさせる部分はありましたが,この大曲を堂々と聞かせてくれました。特に第4楽章の最後の部分での,しっかりと音を鳴らし切った充実感が見事でした。合唱の方は,50年以上に渡って歌っている団体ということで,こちらもまた堂々とした貫禄を感じさせてくれる,のびのびとした歌を聞かせてくれました。

ソリストの方もお馴染みのソプラノの石川公実さん,メゾ・ソプラノの小泉詠子さんなど,石川県出身の者が入っているのがうれしかったですね。男声2人も若々しい声を聞かせてくれました。

第9の前に石川県三曲協会,金沢邦楽アンサンブルとオーケストラ,合唱との共演で千鳥の曲が演奏されました。この取り合わせも定番となっています。大編成だけれども,実に古雅な雰囲気があり,和洋が溶け合った独特の気分を作っていました。

音文教の年末公演ですが,荘厳ミサの方は,12月23日に石川県立音楽堂で行われます。こちらの方もできれば聞きに行ってみたいと思います。

2016/11/27

今月2回目のマーラーの交響曲5番の実演。西本智実指揮エルサレム交響楽団で聞いてきました

西本智実指揮エルサレム交響楽団による演奏会が,石川県立音楽堂コンサートホールで行われたので聞いてきました。西本さんの指揮については,数年前のラ・フォル・ジュルネ金沢で聞いて以来のことですが,今回もマーラーの5番を中心に大曲をたっぷりと聞かせてくれました。

エルサルム交響楽団については,実演を聞くのも初めてでしがが,名前を聞くのも初めてでした。聞いた印象としては,超一流のヴィルトーゾ・オーケストラという感じではなく,フル編成にしてはやや響きが薄めな気がしました(今回,3階席で聞いたこともあるかもしれません)。どこか鄙びた感じもしましたが,マーラーの5番の”肝”である,トランペットもホルンも好調で,最終楽章の最後の輝かしいフィナーレでは,充実した音を聞かせてくれました。

第1,2楽章では,テンポ感が重苦しく,停滞した感じがしましたが,第3楽章辺りから変化に富んだ軽やかさが出てきました。この変化に富んだ気分はマーラーらしいな,と思いました。第4楽章アダージェットもじっくりと演奏されましたが,終盤に行くと音楽が高揚し,どこか華麗な雰囲気が出てくるのも西本さんらしいと思いました。

前半に演奏された,ドヴォルザークのチェロ協奏曲は,ドミトリ・ヤブロンスキーさんとの共演でした。この方は,20年以上前にOEKと共演したことがある方です。その時の印象はすっかり残っていないのですが,今回の演奏については,全体的にテンションが低い印象で,やや物足りなさが残りました。それと,やはりマーラーと組み合わせるプログラムとしては,やや長すぎるかなと思いました。

マーラーの5番については,今月前半に石川フィルの演奏でも聞いたばかりでした。一月の間に2回実演で聞いたのは初めてのことでしたが,それぞれに面白い演奏だったと思います。何よりも,曲自体が素晴らしいなぁと実感できました。

2016/11/06

石川フィルハーモニー交響楽団第30回定期演奏会でマーラーの交響曲第5番を聞いてきました。堂々たる演奏でした。

本日は午後から,石川フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聞いてきました。今回は記念すべき第30回ということもあり,大曲,マーラーの交響曲第5番を中心としたプログラムでした。金沢でマーラーの交響曲が演奏される機会は少ないので,聞き逃すわけにはいきません。

石川フィルのマーラーとしては,過去,第1番「巨人」,第2番「復活」,第9番を聞いたことがありますが,大変難易度の高い作品ということで,このオーケストラにとっても記念すべき演奏会になったのではないかと思います。全曲を通じて大変どっしりとしたテンポ設定で,マーラーの交響曲の中では,いちばん純音楽的といっても良い名曲を堂々と聞かせてくれました。

まず冒頭のトランペットが聞きものです。プレッシャーがかかる部分ですが,柔らかい音で安定した音を聞かせてくれ,お見事でした。その後のしっとりとした弦楽器の音も良いなぁと思いました。マーラーの交響曲といえば,「大仰で派手」という印象もあるのですが,この日の演奏は,この部分以外でも,チェロなどの弦楽器の合奏をしっとり聞かせる部分がとても丁寧に演奏しており,いいなぁと思いました。第2楽章では,音楽の動きが増し,最後の部分で大きく盛り上がります。第5楽章の最後を予想させるような部分ですが,この部分がとても爽やかだと思いました。

第3楽章はホルンが大活躍します。細かい部分ではミスはあったかと思いますが,7人のホルンが一丸となって,充実感のある音を聞かせてくれました。木管楽器は,時折かなり高くベルアップしていましたが,恐らくマーラーの指示通りに演奏していたのだと思います。こういう部分を見るのが,実演の面白さだと思います。3拍子の楽章ということで,もう少しくだけた雰囲気があっても良いと思いましたが,他の楽章同様に,誠実さを感じさせてくれる演奏だったと思います。

第4楽章のアダージェットもじっくりとしたテンポで演奏されました。この楽章だけは,管楽器,打楽器はお休みということで,全曲のオアシスのような雰囲気がありました。世紀末的なミステリアスさよりは,過ぎ去る時間を惜しんでいるような,どこか不思議な浮遊感を感じさせてくれました。

第5楽章は全曲のゴールという高揚感がありました。複雑に絡み合う音楽が続いた後,最後の最後,霧が晴れるようにトランペット4人によるファンファーレが聞こえてくると,いつも解放された気持ちになります。この日のトランペットは特に爽快だったと思います。疲れを全く感じさせないような瑞々しさがありました。

演奏会の前半では,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲「セリオーソ」の弦楽合奏版が演奏されました。この編曲者がマーラーということで,後半とのつながりのある選曲となっていました。オリジナルの弦楽四重奏版だと冒頭部などは,切り込むような鋭さがあるのすが,弦楽合奏版だとそれが少し薄まってしまうところがあります。その分,暗めの弦楽セレナーデを聞いているような聞きやすさがあると思いました。

というようなわけで,前半後半ともに,マーラーの楽譜に真っ直ぐ取り組んで,丁寧かつストレートに音楽の魅力を伝えてくれた素晴らしい演奏会だったと思います。

2016/10/13

オルガン・フェスティバルVol.1 エドガー・クラップさんの正統的な演奏で,J.S.バッハのオルガン名曲集とウィドールのオルガン交響曲第6番。特にヴィドールは大変分かりやすく楽しめる作品

本日は,「オルガン・フェスティバルVol.1 J.S.バッハ&ウィドール」として石川県立音楽堂で行われた,ドイツのオルガン奏者,エドガー・クラップさんのリサイタルを聴いてきました。音楽堂のパイプオルガンを使った演奏会を聴くのは,一年前の「パイプ・オルガンの日」以来,ほぼ1年ぶりのことです。

今回の内容は,前半がバッハのオルガン名曲集,後半がヴィダールのオルガン交響曲第6番という構成で,石川県立音楽堂のパイプオルガンの素晴らしさを堪能できました。

前半のバッハのオルガン曲集は,本当に名曲ばかりが集められていました。トッカータとフーガ 二短調, BWV.565は,言うまでもない名曲中の名曲。コラール前奏曲「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」とコラール「主よ人の望みの喜びよ」は,どちらもバッハの曲の中でもメロディの美しさで知られる曲だと思います。

幻想曲とフーガ ト短調,BWV.542は,聞いたことのない曲かな,と思ったのですが,プログラムの解説にあったとおり,プーランクのオルガン協奏曲の出だしの「元ネタ」ということで,聞き覚えがありました。前半最後に演奏された,パッサカリアとフーガ ハ短調, BWV.582は,前半を締めるのにふさわしい,堂々たる歩みを持った曲であり演奏でした。

クラップさんの演奏は,非常にオーソドックスで,太い幹の大木を仰ぎ見るような揺るぎのない安定感を感じました。2曲のコラールの方は,管楽器を思わせる音色を使い,対照的にホッとさせてくれるような素朴な手触りを感じさせてくれました。

後半のヴィダールのオルガン交響曲第6番は,初めて聞く大曲でしたが(30分ぐらいあったと思います),本当に楽しませてくれました。前半のバッハのトラディショナルな気分と対照的に,明るく開放的な音楽を聞かせてくれました。全5楽章からなる曲で,古典的なバランスの良さのある楽章配置でした。1,3,5楽章がエネルギッシュな感じ,2,4楽章が甘く歌わせるような静かな楽章ということで,サン=サーンスの曲に通じるような分かりやすさがあると思いました。

クラップさんの演奏は,前半同様,ストレートに曲の素晴らしさを感じさせてくれるような演奏で,聞いていて爽やかさを感じました。ヴィドールはオルガン交響曲を10曲も書いているということなので,機会があれば,他のオルガン交響曲も聞いてみたいものです。

演奏後,クラップさんは,盛大な拍手を受けながら,しきりと「音楽堂のオルガンが素晴らしいんですよ」ということをアピールしていました。「オルガン・フェスティバル」というほど,お祭り気分のコンサートではありませんでしたが,年に数回は「オルガンの日」を作って,じっくりと楽しんでみたいものんだと思いました。

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